本当の悪魔とは、巨大に膨れ上がったときの民意だよ。
タイトルはドラマ『リーガル・ハイ』の主人公・古美門研介のセリフだ。
以下がセリフの全文。
本当の悪魔とは巨大に膨れ上がったときの民意だよ。
自分を善人だと信じて疑わず、薄汚い野良犬がドブに落ちると一斉に集まって袋だたきにしてしまう。そんな善良な市民たちだ。
年が明けて間もない2020年1月2日、脚本家の上原正三が亡くなった。
上原の逝去が報じられると、Twitterでは「怪獣使いと少年」というワードがトレンドとなっている。
怪獣使いと少年とは1971年11月19日に放送された『帰ってきたウルトラマン』第33話のタイトルである。
ウルトラシリーズ屈指の傑作エピソードと評される一方で、最大の問題作とも言われる作品だ。
そして脚本家・上原正三の名を世に知らしめた作品でもある。
人目を忍んで静かに暮らす少年と老人。
彼らを差別し、迫害するごく普通の市民たち。
彼らは郷秀樹(ウルトラマン)が必死に制止するのも聞かずに暴徒化し、老人を殺す。
老人の死により封印が解かれ、暴れだす怪獣。
怪獣が現れた途端に恐れおののき、みっともなく助けを求め逃げ惑うごく普通の市民たち。
自分勝手で醜く浅ましいごく普通の市民たちに怒り、絶望し、戦うのを放棄するウルトラマン。
そして救いのない結末。
約50年前に作られた話だが、現在でも強烈なリアリティを放っている。
ごく普通の市民たちは、今も正義を振りかざしたがり、その正義にそぐわない誰かを袋叩きにしたがっている。
うだつの上がらない自分の人生から目をそらすために弱った誰かを徹底的に痛めつける。
そのくせ自分がちょっとでもうまく行かなけりゃみっともなく感情を垂れ流し、同情を誘いやがる。
バッカじゃねえの?
しかし「自分はそんな奴らとは違う」と言うのは傲慢というものだろう。
ごく普通の市民たちは私であり、あなたであり、あの人なのだ。
時がたっても人間は全く成長していない。
でも悪くなってもいない。
ごく普通の市民たちの中にも少年に優しく接していたパン屋の娘さんがいた。
彼女だって私であり、あなたであり、あの人だ。
ウルトラマンだってそうに違いない。
そうでも思わなけりゃ…
上原正三を偲んで円谷プロダクションのホームページ上では『怪獣使いと少年』が無料配信されている。
