水辺の扉を開けてみた
数年前のこと。
テレビで斉藤由貴さんと、生田絵梨花さんが並んで『卒業』を歌っていた。
当時絶賛反抗期だった子どもいわく、
「右の人いらなくね?」
なんだとう!さ、さ、斉藤由貴ちゃんが本家本元なのよ!!と怒った昭和生まれ、しかし反論は控えておいた。何を言っても無駄だと分かっていたからだ(そんな時期だよ。刺激しない刺激しない)。
特にファンというわけでもなかった。でも彼女の歌声は好きだった。そりゃ絵梨花さまに比べたら、ちょっと音程がヨロヨロしてるかもしれない。なのになんだろう、聴いてて心地よいのだ。彼女の声は。
時は流れて、何十年かぶりでライブというものに行きたいと思いついたタイミングで、斉藤由貴さんの40周年コンサートツアーが開かれた。
なにしろ最後に行ったのがBOΦWYのライブ(世代バレバレ。遠い目…)。立ってペンライトを振り続ける体力に自信のない私はくいついた。
「座ってゆっくり聴けるかも…」
なんと消極的な。
いや、由貴さん好きだし、シングルならほぼ知ってるし、武部聡志さんのピアノも聴けるなんて至福…という理由もあったんだって!そもそも生であの声聴きたいって、それはそれで動機としては成立するのでは?
で、参戦。
40th anniversary tour『水辺の扉』。
感想は、ファンの方や詳しい方がたくさんあげていらっしゃると思うので、にわかな私が今さら述べることもないとは思うが…
結論から言うと、とても幸せな時間を過ごさせていただいた。
私より年上なのに、アクスタが速攻で売り切れとる!という衝撃に始まり、
曲ごとに別の人が憑依しているのかと錯覚するような女優魂に心奪われ、
最後はみんな!なぜ立ってペンライト振らないんだ!(どの口が言うか)とすっかり盛り上がって終わったのだった。
ひそかに楽しみにしていたMCも、由貴節サクレツで大満足。ライブ参戦にあたり、いろいろ予習して行ったのだが、トーク番組でかいまみる、
・地元のパン屋を激推し
・娘の成人式、朝から準備にてんてこまい
のフツーのお母さんな姿と、歌の世界で少女になったり小悪魔になったり憂いを秘めた女性になったりの変幻自在な美しい生き物とのギャップに、
やられてしまったかもしれない。
そんなこんなで、今にいたるまでついついテレビで彼女の姿を追ってしまう生活を続けているのだが(今さらだけど春日局の演技すごすぎ)、
たとえ超絶歌うまい人の後で歌うことになろうとも、
「私こんな感じですけど需要があるなら歌いますよ」
的な謎のスタンスでマイペースに歌う姿はやっぱりなんだかかっこいい。そして先日、『レ・ミゼラブル』の「夢やぶれて」の歌唱に、
またしても女優魂に圧倒されて、ころりと感動してしまったのだった。ファンテーヌがここにいる…!
表現者である彼女の中のいくつもの扉を、観客である私たちは開いて見ることができる。いったいどれだけあるのか、いくつ見せてくれるのか分からないけれど、それはそれでわくわくするし楽しみだ。
ライブってやっぱりいいな。
自分の中にも、外にも扉はたくさんあるはずなので、重い腰を上げてライブに行ったように、また勇気を出して新しい扉を開いてみようと思う。
そう思わせてくれた斉藤由貴さんに、感謝。
(Blu-rayも予約してしまった…)
