タワーリングほにゃらら
スカイツリーのエレベーターが停止して、5時間半動かなかった…というニュースを見て、思い出した。
子どものころ、エレベーターに乗るのが怖かった。
明確な理由がある。まだ小学校にあがるまえ、母に連れられて見た映画のせい。
察しのいい方はもうおわかりの通り(今回タイトルを少しぼかしてみたのだけれど早くもネタバレ)、
作品名は『タワーリング・インフェルノ』。高層ビルの火災がテーマのパニック映画。
名作…なんだろうと思う。思うけれども、幼い子を連れて行くだろうか?その映画に。
エレベーターの中からよろめくように出てきた人の背中に炎が!というシーンが強烈に印象に残って、
10才ちかくなるまでエレベーターがこわかった。
もちろん母は、自分が見たい映画にわたしを連れて行ったのである。スティーブ・マックイーンのファンだったらしい。
小さすぎて家には置いて行けない。なら連れて行くか!というノリ。ちなみに数年後、
またしても母に連れられて見た映画はシャチが人を襲うという(明らかに『ジョー○』のパクリかと思われる)映画で、
そのあとしばらく海に入るのがこわかった。
母にはあっけらかんとしたところがあり、悪気は何もないのである。そして実をいうと、わたしも人のことは言えない。なにしろわが子がまだ幼いころに、
はじめて連れて行った映画は『塔の上のラプンツェル』だったから。
え、こわくないよね?むしろいい映画だよね。ノープロブレムだよね?
はい。子どもが戦隊モノを愛する「息子」でさえなければ…。
「え?なにコレおひめさまの話?」
どん引きした息子は絵の美しさにもストーリーのおもしろさにもまったく反応してくれず、文句タラタラであった。しかもその日は彼の誕生日でもあったというオマケつき。誕生日に映画を見てケンカしいしい帰宅する母と子…。
まぁのちにはテレビで見たラプンツェルもいい作品だと認めてくれたし、なんならディズニーリゾートでのデートだって、話を知っていたからこそ楽しめたに違いない(詳しく聞いてないのでわかりません…)。
そんなこんなで、映画はひとりで思いきり没入して見るにかぎると思っている。そして、配信で見られる便利な世の中になってもやっぱり、大きなスクリーンで見るのがいちばんわくわくする。
ちなみに『タワーリング・インフェルノ』は実は先月テレビで放送していて、母はしっかり自宅で最後まで見たらしい。
「見たんかーい!」
と、もちろんツッコミを入れておいた。やっぱり今でもスティーブ・マックイーンが好きなようだ。
「あらあなたは見なかったの?」
しれっと言う母にはやっぱりかなわず、ふたりして笑ってしまった。
そして何のことはない、わたしは毎日エレベーターに乗る暮らしをしているのだった。
