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最強の勉強法は『HUNTER×HUNTER』に書いてあった!

今回は入試、資格、スキルアップ、あらゆる”勉強”に使える究極の学習方法を伝授しようと思う。それは…

などと振りかぶってみたものの、今回おススメする勉強”方法”は非常にありきたりだ。即ち、「参考書をよく読んで、問題を解き、諦めずに理解できるまでやる」ことだ。超簡単な一発逆転の勉強方法があると思った方、ごめんなさい。

だが勉強の”方法”が同じでも、取り組むときにの”意識”は違う。ここが本記事の要点だ。ずばり、勉強は「鎖を具現化するようなイメージ」で取り組むべきなのだ。そうすればどんな試験も上手くいく(と思う)。

こんな「クラピカ式勉強法」の話をしていこう。

『言語の本質』という本の中で、言語を習得するにあたって著者らは”記号接地問題”に注目している。

ところで「ことばがわかる」とはどういうことだろうか。例えば「リンゴ」とは「赤くて丸い甘いもの」であるといった時、これは「リンゴ」を理解していると言えるだろうか。

この場合、あることばを別のことばで言い換えただけに過ぎず、無限に別のことばで言い換えるという循環が発生している(記号から記号へのメリーゴーランド)。

この循環を止めるには、「リンゴ」についてことばで還元できない身体的な経験を持つ必要がある。どこかの時点で記号の循環が、物理的・身体的な経験に”接地”していないといけない。これが”記号接地問題”だ。


また同書では、多くの子供たちが数学(算数)の基礎的な知識である分数の大小を間違えるという事例を挙げている。例えば、

① 99/100 < 100 < 101/100
② 99/100 < 101/100 < 100 

上記のような問題に対し、試験を受けた中学二年生の正答率は36%だったらしい(答えは②)。著者らは、多くの中学生が分数の概念を設置できていないためとしている。

同書では言及されていないし、実験について記載のある元ソースを確認したわけではないので細かいことは分からないが、恐らくこの中学生たちも慎重に順序だてて考えれば、上記のような問題(分数の大小)は正解できるのだと思う。

しかし、いきなりパっと問題を出されると、そういう理屈を追っている余裕がないから、”99”とか”101”とかの数字につられて誤った解答をしてしまうのではないか。

『ケーキの切れない非行少年たち』のような境界知能や、目先のものに飛びついた後で「これでいいのか」と熟慮する認知反射レベルの多寡と言った問題は此処では無視している。

テストにおいては理屈を追わなくても感覚的に分数の大きさを把握できるくらい、”分数”という概念を接地している必要があるのである。

分数という基礎的な概念にも記号接地が必要なのであれば、より難解な”微積分”や”電磁気学”、はたまた”IT技術”や”会計”といったものなら尚更必要に思える。

つまり習得すべき概念を理屈で分かっているだけでは、テストなどの土壇場で間違えたり、パターンとして覚えている解法の問題しか解けなかったりするのではないだろうか。


ここで思い出すのは、世界のヒットメーカー・イチローの名言である。

「天才は、なぜヒットを打てたか説明できない。ぼくは、きちんと説明できる。だから天才じゃない」

イチロー

天才は往々にして、始めから記号接地ができている人間だ。元々感覚的に分かってしまうため、それを後から理屈で説明することが出来ない。「なんで分からないのか分からない」という感じだ。

一方で普通の人は記号接地に時間がかかる。その過程で理屈を追ってみたり色々試したりしていくうちに、次第にその概念が感覚的に馴染んでいき接地される。

ここで重要なのは記号接地と理屈の関係だ。つまり、理屈を積み上げることで感覚に落とし込むことが出来るし、感覚的なモノを理屈で説明することもできる、という示唆である。

勉強の目標を「概念の記号接地」とするなら、採りうる勉強方法はまさに『HUNTER×HUNTER』のクラピカが行っていた念能力の修行が参考になる。

クラピカは鎖を武器として具現化するために、徹底的に本物の鎖をいじる修行をしていた。眺めて、嗅いで、鳴らして、舐めて…。次第に鎖がなくても鎖を感じられるようになる。最終的には何もないところに鎖を具現化することが出来るようになった。

クラピカの修行を実際の勉強に当てはめるとどうなるか。

例えば微分を接地しようとするときには、微分の求め方を追ってみたり、微分を使って問題を解いたり、歴史を調べてみたり、とにかくいろんな方法・いろんな観点でその概念に触れることが大事だ。

こうした目標をもって勉強に取り組んでみよう。目的は試験合格でもスキルアップでもなんでもいいが、その知識を身に着けるうえで目指すのは、その概念を接地させることだ。記号接地が出来れば、「問題を解く」というのはある概念を別の視点から見たものに過ぎない。「リンゴ」が分かっている人にとっては、ウサギの形だろうとリンゴが分かるのと同じだ。


私の高校時代の実体験からも、記号接地と勉強というのは腑に落ちるところがある。

高校時代、私は物理が全くできなかった。テストで10点とかだった。何が難しかったのかと言えば、”力”や”仕事”や”エネルギー”と言った物理特有の概念が全くピンとこなかったのだ。「エネルギーとは仕事をする能力のこと」とか言われても何のこっちゃ分からなかった。問題演習などで解き方を教われば、その通りに計算して答えを出せたが、見たことのない問題にはひとたまりもない。だって自分が何を計算しているのか分からず、扱っている概念にピンと来ていなかったのだから。

「これはまずい」と一念発起した僕は、まず参考書を読み込み問題演習を繰り返した。どうしても分からないところがあれば学校の授業や映像授業にヒントを求めた(質問はシャイなので出来なかった)。

やっていることは多くの高校生と同じだが、その質はだいぶ違ったと思う(自分で言うのもだが)。基礎的な概念の導出は、何も見ずに書き出せるまで読んで書き出したし、問題は解いて解法を理解するだけじゃなく、その現象が感覚的にピンとくるようになるまで取り組んだ。

ピンと来なければ、時間を空けて次の日もまた次の日も、身体に馴染むまで考え触れた結果、分からなかった概念が身体化され接地した。目に見える世界に今までになかった”エネルギー”や”仕事”という概念が加わった。何だかスピリチュアルだが、記号接地されるとはそういうことなのだろう。

物理の点数は飛躍的に上がり、一番の得点源になった。旧帝大の入試で満点をとれるくらいだ。


自慢が過ぎたが、もし皆さんが勉強する機会があれば、”記号接地”という意識をもって取り組んでみてほしい。クラピカ式勉強法、おススメだ。


参考文献

『言語の本質』 著:今井むつみ 秋田喜美

著者の一人である今井むつみさんのことは、Youtubeの『ゆる言語学ラジオ』というチャンネルで知った。その動画の赤ちゃんの言語習得の話が面白かったので購入し、本書の”記号接地”と自身の経験が重なったため本記事の元ネタになった。

『HUNTER×HUNTER』 著:冨樫義博

人生で大事なことは大体『HUNTER×HUNTER』に書いてある。水見式も勿論真似した。余談だが、学生時代先輩に「ラーメンおごってやるよ」と言われついていったら、1時間半くらい歩かされた事件はハンター試験と言われていた。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』 著:山口周

イチローの名言は此処から。この本は結構面白いが、美意識を鍛えればエリートになれるわけではない。命題の逆は必ずしも真ではないのだ。








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