#12_今後下水道管を起因とする事故はどのあたりでおきそうなのか?
前回は、これまでも下水道管路の問題は取りざたされ、対策も検討されてきたにも関わらず、それが事故の回避につながらなかったのは構造的な問題や人手不足に起因するのではないか、という話をした。では、これをどう解決していくべきかを考えていく必要があるが、その前に、同じような事故が今後どこで起きやすいのかを見てみたいと思う。結論から言えば、それは主に大都市。
日本における下水道の歴史
下水道の歴史を世界に目を向ければ、古代インドのモヘンジョ=ダロでは紀元前2000年ごろにすでに下水道が存在していた。ただ、さすがにそこまでさかのぼると話が長くなるので、日本の近代下水道に焦点を当ててみたい。
1873年(明治6年):東京・銀座に排水施設が整備された記録。
1884年(明治17年):「神田下水」着手。汚水や雨水を排除する、本格的な近代下水道の始まり。
1922年(大正11年):日本初の下水処理場「三河島汚水処分場」が東京に完成。散水ろ床法という処理方式を採用し、ここから近代的な下水処理が全国に広がっていった。
つまり、日本の下水道はすでに100年以上の歴史を持ち、敷設から長期間が経過している管路もそれなりにあるのでは、、、ということ。
ちなみに三河島汚水処分場は、日本で最初の近代下水道施設で、国指定重要文化財に指定されている施設となる。以下のような当時作られた下水設計図等貴重な資産も併せて紹介される動画を東京都下水道局が公開しているので、是非みてほしい。
この処分場は東京市の技師である米元さんが欧米48都市の施設を視察してまとめた「下水道調査報告書」を元に設計されている。当時の人の執念はすごいものだったのだろうと想像してしまう。このくらいの熱意を持って課題に取り組んでいきたい。

https://tokyodouga.metro.tokyo.lg.jp/kyg4bjun2xa.html
これね↓
下水道管路老朽化が先んじておこるエリア
国土交通省が平成20年後半に公開した資料によれば、全国の下水道管路延長のうち、敷設から50年を経過した管路は約1万km(総延長の2%)に達していた。さらに10年後には約4万km(9%)、20年後には約11万km(24%)に拡大すると予測されてた。
そして重要なのは、その約6割が政令指定都市に集中しているという点。大都市は下水道整備が早かった分、老朽化リスクも先に顕在化する。一方で、人口10万人未満の小規模都市では当時50年超の管路はほとんどなかったが、20年後には1万kmを超えると見込まれてた。
当時から色々とわかっていた。

なぜ予測できていたのに防げなかったのか
大都市は下水道整備が早かった分、老朽化リスクも先に顕在化していく。このことは当時から分かっていた。だからこそ、国も様々な施策を打ち、莫大な予算を投じてきた。本来であれば、大都市から老朽化リスクに直面する → そこで最新技術を使って対策を実行 → 技術がこなれてコストも下がってきた段階で中小規模向けにカスタマイズ → 中小規模エリアで導入して事故を回避、という流れが期待されていたのだろうと思う。
中小規模の地域はそもそも下水道がまだ十分に普及していないところもある。そうしたエリアでは、現時点で考えられる最適策を導入することが大切であり、場合によっては下水道管に無理につなぐのではなく、浄化槽への切り替えといった選択肢も当然視野に入るだろうことも想定されていたと思う。
つまり、当時から今の事態は予測できていたはずなのに、事故が繰り返され、業界的にも行き詰まり感があるのはなぜか?ここに切り込まなければならないのではないかと感じている。
まとめ
以上のことから、下水道の老朽化リスクはまず大都市から先行して顕在化する。陥没事故などのリスクが政令市などの大規模事業体で発生しやすいのは、構造的に必然といえる(改めて言うことでもないけど、、、)。
でも、だからこそ、大都市では先んじてストックマネジメント計画の立案等様々な予防策が打たれてきたわけなんだが、、、、
