血流イズライフ|働く母が週4銭湯で疲れをリセットするワケ
銭湯の回数券が5400円になった日と思い出の湯けむり
いつも通っている銭湯の張り紙の前で、ふと立ち止まった。
回数券の値段が、5400円になっていた。ああ、値上げか――。
どんどんスーパー銭湯価格に近寄って来ている。
そういえば『湯を沸かすほどの熱い愛』って映画、あんなに泣いたのに、内容はほとんど覚えていないな。宮沢りえの演技素晴らしかった。最後だけギョッとしたような……。
今日は、そんな湯けむりまじりの話。
昔の銭湯、青い網戸とミシミシ鳴る床
中学生の頃、自宅の風呂が工事中で、しばらく銭湯通いをしていた。
母にもらった350円とコーヒー牛乳代を握って、近所の昔ながらのお風呂屋さんへ。
番台から脱衣所が丸見えの、あのタイプ。
古いけど清潔で、風情があった。
お客さんが自分ひとりの日があって、地味に嬉しくて長湯した。
脱衣所には縁側がついていて、青い網戸。
板の間がミシッと鳴るのが、妙に落ち着いた。
船堀の「布放題」パラダイス
千葉に住む叔父一家とよく行っていた、船堀の健康ランド。
温泉、薬湯、サウナ、大きなスイミングプール。
一日中館内をはだしで遊び回れた。
なにより「布放題」。
館内着、バスタオル、フェイスタオルもどんどん使ってよかった。
乾燥機の匂い(あれ好き)、変な味の歯磨き粉付きの歯ブラシ、スケルトンブラシ。どれも特別だった。
大広間にはカラオケステージがあって、100円で歌える。
父は、なぜかCDを出したこともある。十八番は『昴』。
一体何度聞いたかわからない。
みんな、他のお客さんの前で歌える度胸がすごい。
2階には大きなスクリーンで、映画を観ながら横になれるスペース。
北斗の拳など子供向けと、大人向けが1台ずつ流れていた。
ゲームコーナー、カラオケBOX……本当に楽しかった。
今あったら絶対また行くけど、もうないらしい。
ちょっと違うけど、草加健康センターは少し風情が似ている。薬湯とかも。
だから好きなのかもな。
京都の温泉と、サウナでのおしゃべり
高校~学生時代も、旅行や合宿で温泉に入る機会が多かった。
京都に住んでいた頃は、友人や先輩と車でふらっと温泉へ。
サウナで小声でずっとおしゃべりして、暑くなったら水風呂へ。
このサイクルは、この頃に覚えた。
白骨温泉、鞍馬温泉……いい湯だったなぁ。
ホーム銭湯と、しきじの水
いまは家族と一緒に行くことが増えた。
旅行を決めるときも、まずチェックするのは温泉情報。
年明けには念願だった「サウナしきじ」に行けた。
サウナーの聖地を訪れることが出来て感無量。
評判通り、最高だった。
しかし、入口で男女別になったら、退館まで合流出来ない仕組みだったのは驚いた。
本当は食事したりのんびり過ごす予定にしていたけど、寂しがりのホシノさん(夫)は男一人でつまらなそうにしていたので、切り上げることになった。
こんこんと湧き出る水を飲んでみたら、びっくりするほどおいしかった。
体内の水、全部しきじの水で入れ替えたくなった。
ペットボトルを持参しなかったことが悔やまれた。
一週間くらい住みたい。しきじに。
旅行先ではもちろん、スーパー銭湯や地元の銭湯にも。
週末どころか、平日でも行けるなら行っている。
ホーム銭湯の水質が、これまた素晴らしい。
ここの水風呂が私のベスト水風呂トップ3に入っている。
清潔で、ホッとする。浴槽の設計もさり気ないのに実に優秀。
好みの深さが選べて、バイブラの有無も自在。
意外と、こういう浴槽って少ないんだよね。
それに、一昨日ふと気づいた。
脱衣所の扇風機が、なんとSANYO製!
私の宝物のアイロンと同じメーカー。
こちらも30年選手かもしれない。
子供が小さいうちは、一緒に銭湯に行くと、お主(ヌシ)さんらしい人に風呂場で飴をいただいて仰天したり。
子供が脱いだ服をたたんでいる様を褒めてもらったり。
お湯熱いんじゃないと水をたしてもらったり。
そんな交流も少し楽しかった。
自宅の風呂では得られないものが、銭湯にはある。
ときどき塩素の匂いが気になることもあるけれど……それでも、やめられない。
湯にある、風呂を超えたちから
あらためて考えてみた。
なぜ、あんなに気持ちいいんだろう。
理由を挙げてみたら、止まらなかった。
深さによる水圧が心地いい
浴槽の段差で好みの水深で入れる
血流がよくなって元気が出る
単純に、機嫌がよくなる
水質がいいと、髪、肌、気分もととのう
デジタルデトックスができる
思春期真っただ中の次女と、たくさんおしゃべりできる
湯上がりにアイスを買ってあげて、横顔を眺めるしあわせ
所作から、子どもの成長を感じる
一人で行くと、静かな一人時間になる
スイッチをオフにして、気分転換できる
……メリット多すぎる。全部書ききれない。
湯けむりと、ミントの肺
『テルマエ・ロマエ』を漫画で読んで、ローマ人までお風呂好きだったと知ったとき、なんだか感心した。「そうだよね、風呂ってすごいよね」って、心の中でうなずいた。
次女は風呂好きで水質がわかるタイプ。
「ここのお湯やわらかいね」
「ここのお湯はすべるね」
「水風呂に入ると肺が冷えて、空気の通り道がミントになる」
……とか言う。その語録もまた、かわいい。
値上げしても、やっぱり通う
5400円の回数券。昔と比べると高くなった。
でもお値段以上のメリットがいっぱいある。
今回書ききれなかった魅力も、実はまだまだある。これはまたいつか……。
これからも私は、銭湯に向かう。
誰かのために、自分のために。
湯気の向こうで、機嫌よく生きていきたいから。
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