高IQ団体「MENSA」を、自分には無縁だと思っている方へ
MENSA(メンサ)という名前を、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「IQが高い人たちの団体」
「一部の特別な人だけが入れる場所」
「自分とは関係のない世界」
そのような印象を持っている方は、少なくないと思います。
そして、その印象ゆえに、興味を持ちながらも最初から距離を置いてしまう方もいるはずです。
けれども、MENSAは単なるイメージや噂だけで語れるものではありません。
そこには、きちんと制度としての入口があります。
今回は、MENSAとは何か、どのような入会方法があるのか。
そしてなぜ、「自分には関係ない」と思っていた方にこそ、一度知っていただきたいのか。
その点を静かに整理してみたいと思います。
第1章:MENSAとは何か
MENSAは、一般には「高い知能指数を持つ人々の国際的な団体」として知られています。
国際MENSAは、入会条件を「承認された知能検査において、一般人口の上位2%に入ること」と案内しています。
日本にはその支部としてJAPAN MENSAがあり、入会制度や判定方法が整備されています。
ここで興味深いのは、多くの人がMENSAを、どこか神秘的で、自分とは無縁の閉じた領域のように捉えてしまうことです。
しかし実際には、MENSAは曖昧な“選ばれし者の集まり”ではありません。
そこには、少なくとも制度としての入口があります。
つまり、感覚的な憧れや思い込みの対象である以前に、一定の条件に基づいて判定される仕組みとして存在しているのです。
この見方に変えるだけでも、MENSAというものの輪郭は少し変わるはずです。
遠い象徴ではなく、条件のもとに成り立つ現実の制度として見えてきます。
第2章:入会方法について
MENSAに入りたいと考えたとき、多くの方は「MENSA独自の入会テストを受けるしかない」と思われるかもしれません。
もちろん、その認識はまったくの誤りではありません。
JAPAN MENSAでは、15歳以上を対象とした入会テストが案内されています。
受験機会は公式サイトで案内されており、不合格の場合も、前回受験から1年以上空ければ生涯3回まで受けられるとされています。
ただ、入口はそれだけではありません。
JAPAN MENSAには、証明書による判定という別の方法もあります。
公式案内によれば、証明書判定で受け付けられるのは、申請書類発送日から1年以内に受けた、
WAIS-III・WISC-III・WAIS-IV・WISC-IV・WISC-V
の結果証明書です。
WAISは主に成人、WISCは主に子どもを対象とした知能検査で、一般には病院や専門機関などで実施されます。
JAPAN MENSA自身がこれらの検査を行っているわけではないため、必要な結果証明書は、検査を受けた医療機関や実施機関に依頼して発行してもらうことになります。
その際は、日本語で記載され、MENSAの判定要件を満たす内容の結果証明書を発行してもらえるかどうかを、事前に確認しておくと安心です。
申請から結果の連絡までは約1か月とされています。
つまり、少なくとも制度上、MENSAへの入口は次の2つに整理できます。
1.JAPAN MENSAの入会テストを受けること
2.指定された知能検査の結果証明書により判定を受けること
この2つ目の方法を知らない方は、意外に多いのではないかと思います。
第3章:無理だと決める前に
ここで大切なのは、「入会方法が複数ある」という事実そのもの以上に、何も知らないまま自分を最初から対象外に置く必要はないということです。
MENSAに少し興味がある。
けれども同時に、「自分には関係のない話だ」と感じている。
その感覚は、決して不自然ではありません。
むしろ、多くの方にとって自然な反応だと思います。
ただ、その「無理だ」という感覚は、十分に情報を得たうえでの判断でしょうか。
あるいは、漠然としたイメージの上に築かれた、先回りした諦めではないでしょうか。
JAPAN MENSAには、入会テストだけでなく、証明書による判定ルートもあります。
この事実だけでも、「MENSAは遠い世界の話だ」という認識は、少し揺らぐはずです。
少なくとも、制度として見れば、最初から完全に閉ざされたものではありません。
もちろん、ここで期待を過剰に膨らませるべきではありません。
条件は厳密で、最終的な判定は公式の基準に基づいて行われます。
ですから、ここで申し上げたいのは「誰にでも可能性があります」という無責任な希望ではありません。
そうではなく、何も知らないまま「自分には無理だ」と決めてしまうのは、少し早いかもしれません、ということです。
第4章:WAISという選択肢
この文脈で、無視できないのがWAISです。
JAPAN MENSAの証明書判定では、対象となる検査の中に WAIS-III および WAIS-IV が含まれています。
したがって、制度上は、WAISで所定の条件を満たす結果証明書を取得できれば、証明書ルートによる判定を受けることが可能です。
これは、MENSAに関心を持つ方にとって、決して小さくない情報だと思います。
なぜなら、MENSAへの関わり方が、MENSA独自のテストを受けるという一方向だけではなく、別の正式な知能検査を通じて、自分の位置を確認する道にも開かれているからです。
ただし、ここでも慎重であるべきです。
WAISを受ければ入れる、という話ではありません。
高い結果が出れば自動的に決まる、と単純に言えるものでもありません。
あくまで、公式に用意されている判定ルートのひとつとして考えるべきものです。
ですから、より正確に言うならば、こうなるでしょう。
WAISは、「もしかしたらMENSAに入れるかもしれない」と考える方にとって、現実的に検討する価値のある公式ルートのひとつです。
第5章:本当に面白いのは、その先かもしれない
ここから先は、少しだけ視点を変えてみたいと思います。
MENSAに関心を持つ方の多くは、おそらく「入れるかどうか」を気にされるはずです。
それは当然のことですし、ごく自然な感情です。
ただ、そこで話を終えてしまうのは、少し惜しいようにも感じます。
WAISのような知能検査は、単純に「頭がいいか悪いか」を大まかに切り分けるためだけのものではありません。
少なくとも、以前私が書いた記事では、WAIS-IVを「頭の良さ」ではなく「頭の使い方」を測る検査として捉え、言語・視覚・記憶・スピードのバランスから“知能の地図”を見るものとして整理しました。
つまり、知能とは単一の力ではなく、いくつかの異なる働きの重なりとして現れるものです。
その意味で、知能検査に関心を持つことは、単に数値を知ることではなく、自分の思考の癖や処理の特性に目を向けることにもつながります。
MENSAに入りたい方にとっても。
知能というものに漠然と惹かれている方にとっても。
本当に面白いのは、もしかすると、「入れるかどうか」の先にあるのかもしれません。
第6章:もし少しでも気になったなら
ここまで読んでくださった方の中に、
「MENSAは思っていたより遠い話ではないのかもしれない」
「自分にも可能性があるかどうか、一度知ってみたい」
「知能というもの自体に、少し興味が湧いてきた」
そう感じてくださる方がいれば、この文章には十分な意味があったと思います。
繰り返しますが、私はここで、誰かに「あなたは入れます」と断言することはできません。
そのようなことを言うべきでもありません。
MENSAの判定には条件があり、最終的な結果は個々に異なるからです。
ただ、最初から諦めてしまう必要もない。
少なくとも、その可能性や仕組みを知ったうえで考える価値はある。
私はそう思っています。
そしてもし、
「WAIS-IVとは実際にどのような検査なのか」
「どのような力を見ているのか」
「受ける前に、全体像を理解しておきたい」
そのように感じられた方がいらっしゃれば、以前書いたこちらの記事が参考になるかもしれません。
検査の構造や出題の方向性について、自分なりに丁寧に整理した記事です。
もちろん、合格を保証するものでも、攻略法を断言するものでもありません。
けれども、自分の思考の傾向を見つめるための一助にはなるかもしれません。
MENSAに入りたい方にも。
MENSAに興味はあっても、自分には無理だと思っていた方にも。
MENSAのことをよく知らなかったけれど、知能というテーマに惹かれた方にも。
知ることには、それだけで意味があります。
最初から、自分を世界の外に置く必要はありません。
まずは知ることから始めても、遅くはないはずです。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
知ることは、すぐに何かを変えるためだけにあるのではなく、見えなかった輪郭を静かに浮かび上がらせるためにもあるのだと思います。
この文章が、そのための小さな補助線になれていたなら幸いです。
