【マッキンゼー】ケース面接を現役戦略コンサルが本気で解いてみた?!|Talbot Trucks(EVトラック投資)
■ はじめに
現役の戦略コンサルタントが、マッキンゼー公式サイトに掲載されている実際のケース問題「Talbot Trucks」を解いていきます。
この問題は、マッキンゼーが採用選考の練習用に公開しているもので、誰でも読むことができますし、公式解説もHPにあります。ただ公式HPの解答案はなんとなく無味乾燥感というか、要素として羅列されているだけで、思考プロセスそのものはあまり見てとれません。(これはMaCはじめ多くのコンサルタントも同意すると思います)この記事では、一応現役コンサルとして解くとしたらどうなるか?という部分に力点を置き思考の流れそのものを分かりやすく再構成することを目指します。
尚私のフェルミやケース対策は面接官とのスクリプトベースではなく、設問ごとに問いのポイントやアプローチを明記するスタイルを取っております。
(別記事のベイン対策も同様のスタイルを取っております)
(スクリプトベースは面接直前期やそのまま覚えて臨みたいという方には良いのですが(そもそもそのスタイルは推奨しませんが)、何がポイントか会話ベースで読み取るのが若干難しくこと、スクリプトを暗記したとて毎回の面接の状況は変わるので、エッセンスを抑えて、あとは面接ごとにアレンジする方が効果的と考えます。もしスクリプトベースでフェルミ、ケース対策をしたい!という方がいれば他にも良記事がたくさんありますのでそちらをご覧ください)
■ マッキンゼーのケース面接の特徴(他ファームとの違い)
問題に入る前に、まずマッキンゼーのケース面接がどんな形式なのかを押さえておきましょう。ここには、他のファームとはっきり違う特徴があります。
・世界共通の形式:マッキンゼーのケースは、国や拠点を問わず、ほぼ完全に統一された形式で行われます。フェルミ推定とケースをそれぞれ一問一答で解いていく他ファームの進め方とは、ここが大きく異なります(たとえばベインやBCGは、フェルミ推定とケースが別々に用意される形式が主流です)。
・冒頭に状況説明が与えられる:まず、クライアントが置かれている状況の概要を記した文章が示されます。英語で書かれていることもあり結構長文です。この文章を丁寧に読み解くことが、後の設問すべての土台になります。
・設問は1問ずつ進む:設問は一つずつ提示され、最初にすべての問いを見渡すことはできません。目の前の問いに集中しながらも、次に何を問われそうかを予測して進める必要があります。
・設問どうしがつながる(誘導形式):それぞれの設問は独立しておらず、前の問いが次の問いへの布石になっています。たとえば、最初の設問で論点を洗い出したときに自分が挙げたキーワードが、そのまま次の設問のテーマになる、という具合です。だからこそ、序盤の論点出しを雑にすると、後半でそのツケが回ってきやすいです。
この記事で扱う Talbot Trucks も、まさにこの形式です。冒頭に状況設定があり、設問1(情報収集=論点出し)→ 設問2(データの解釈)→ 設問3(計算)と、前の問いを受けて次が展開されていきます。
■ 状況設定(Situation Description)
まずは問題の舞台設定です。英語の原文はマッキンゼー公式サイトに掲載されているので、ここでは事実関係を保ったまま要約したものを掲載します。正確な原文は、末尾の公式リンクからご確認ください。
EN(要約):
Talbot Trucks is a privately held European truck maker that sells worldwide and is known for build quality. Its customers range from large fleets running thousands of trucks to owner-operators with only a few. Trucks today run on diesel. The company wants to cut its fleet's carbon footprint and is looking specifically at electric trucks ("eTrucks"). ETrucks differ from diesel in design (an e-motor plus batteries vs. a combustion engine) and in fueling (slow charging vs. quick diesel refills) — a shift that is disruptive for the maker and for customers of every size. The CEO has asked McKinsey to judge how attractive it would be to invest in building eTrucks for the European market.
JP(日本語訳):
Talbot Trucks は、世界中で販売網を持つ非上場の欧州トラックメーカーです。品質の高さに定評があります。顧客は、数千台を保有する大手運送会社から、数台だけを持つ個人事業主まで、幅広く分かれています。現在、同社の主力はディーゼル車です。同社は保有車両の環境負荷(CO2)を下げたいと考えており、なかでもEVトラック(以下eTruck)に関心を持っています。eTruckはディーゼル車と、設計面(内燃機関ではなく、eモーターと電池で走る)でも、燃料補給の面(素早い給油ではなく、時間のかかる充電)でも大きく異なります。これはメーカー側にとっても、大小さまざまな顧客にとっても、これまでの前提を覆す変化です。そこでCEOは、欧州市場に向けてeTruckの製造に投資することがどれだけ魅力的か、マッキンゼーに判断を依頼しました。
■ 状況設定から読み取るキーポイント
ケースを解くとき、状況設定の文章は「ただの前置き」ではありません。ここには、後の議論で効いてくるヒントが埋め込まれています。まず、英文のどの語句が、どのキーポイントの根拠になっているのかを整理しておきましょう。下の図で、英文本体の該当箇所に色付きの下線を引いています。青がキーポイント1、金がキーポイント2に対応します。キーポイント3については、あえて下線がありません。

キーポイント1:品質で選ばれる、非上場の欧州メーカー
英文の「privately held(非上場)」「known for build quality(品質に定評)」から読み取れます。品質で選ばれているということは、値引き合戦に持ち込みにくい、つまり価格ではなく価値で戦うタイプの会社だということです。さらに非上場である点も見逃せません。上場企業のように四半期ごとの株価プレッシャーにさらされないため、目先の利益より、長期を見据えた大きな投資判断がしやすい立場にあります。
キーポイント2:顧客層は「大手フリート」と「個人事業主」の両極
英文の「customers range from large fleets … to owner-operators(大手フリートから個人事業主まで)」、そして「slow charging(遅い充電)」から読み取れます。同じトラックの顧客でも、この両極では事情がまったく違います。買う理由も違えば、充電をどう確保するかも違う。たとえば大手フリートなら自社の車庫に充電設備を整えられますが、個人事業主は公共の充電インフラに頼らざるを得ません。この違いを分解することが、設問1の核心になります。
キーポイント3:競合のイメージ(欧州大手+中国勢)
実は、状況設定の英文には競合の話が一文も出てきません。それでも、これは重要な論点です。なぜなら「投資が魅力的かどうか」を判断する以上、その市場で誰と戦うことになるのかを避けて通れないからです。欧州には Daimler Truck、Volvo/Renault、Traton系(Scania・MAN)といった大手商用車メーカーがあり、いずれも同じようにEV化を進めています。加えて、低価格で攻めてくる新興・中国勢の存在も無視できません。このキーポイント2だけは、本文には書かれておらず、業界の一般知識で補った論点です。
■設問一覧
ここで公式サイトで掲載されている3つの設問を載せておきます。それぞれ、原文と日本語訳を併記します。MBBはじめコンサル対策中の方は設問ごとに目を止め、自分でまずは解いて頂くことを推奨します。何事もそうですが、その方が解答例への理解度が格段に変わります。
設問1
EN:What information would you gather to judge how attractive it is for Talbot to build and sell eTrucks in Europe?
JP:Talbotが欧州でeTruckを製造・販売することがどれだけ魅力的かを判断するために、どんな情報を集めたいか。
設問2
EN:From the TCO data, what differences between diesel trucks and eTrucks can you read off?
JP:TCO(総保有コスト)のデータから、ディーゼル車とeTruckの違いについて何が読み取れるか。
設問3
EN:Holding the other figures constant, what is the highest price Talbot can charge for an eTruck so that its TCO matches a diesel truck (today €100,000)?
JP:他の数値を一定とすると、eTruckのTCOがディーゼル車(現在10万ユーロ)と等しくなるのは、価格をいくらまで上げたときか。
■ 設問1の解き方:情報収集をどう構造化するか
設問1
EN:What information would you gather to judge how attractive it is for Talbot to build and sell eTrucks in Europe?
JP:Talbotが欧州でeTruckを製造・販売することがどれだけ魅力的かを判断するために、どんな情報を集めたいか。
設問1は「どんな情報を集めるか」を問うものです。ここで一番やってはいけないのが、思いついた項目をひたすら羅列することです。面接官が見ているのは、項目の多さではなく、論点を整理する筋の良さであるからです。
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