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【アホ毛躍るかえりみち】

5月上旬の空気はいよいよ湿度を含み始め、肌は汗ばみ、憎らしいアホ毛は本領を発揮しだした。

何故皆の髪は綺麗にまとまっているのだろう。
私の髪はまとまることを知らないらしく、頭頂には常にアホ毛が踊り、前髪はうねるように割れていて
更にはその間から縮れた髪が見え隠れする。

「髪をまとめたい!」
その一心でケープやマトメージュ、スタイリング剤更にはアホ毛スティックを髪に馴染ませ続けてきた。

ケープを髪にかけたあと、くしを通す。
しかし不自然に束がうまれ、その間からうねった髪の毛が覗いてくる。失敗。

ピンクのマトメージュを憎らしいアホ毛を潰すように髪の毛に塗る。
数時間後、頭を動かすたびに何か変な臭いがする。嗅いだことのある臭い…胃液だ。
普段はこんな臭い、絶対にしない。
おそらく、マトメージュが時間とともに酸化し?
または私の元の頭皮の臭いと混ざり合い、とんでもない臭いが生み出されているのだろう。失敗。

グリーンのスタイリング剤適量を手に取り、もむようにして髪に馴染ませる。これはマトメージュと違い不快な臭いは一切せず常に良い香りを纏う。
しかし、アホ毛対策には向いていない。失敗。

マスカラならぬアホ毛スティックを撫でるようにして髪につける。しかし不自然にテカテカと濡れている。これでは常に髪が濡れている人と思われてしまうだろう。失敗。

「髪をまとめたい!」
そんな乙女の願望と健気な足掻きむなしく、すべては失敗に終わっていく。
私はこれ以上どうすればいいのか。心優しい方、教えてください。

そんなことを考えながら、自転車を走らせ家路につく。割に涼しい風に吹かれながら、私はあることを思いついた。
そうだ、アイス買お。

自転車をローソンまで走らせる。
自転車初心者なもので、車沿いを走るのは正直怖く
内心ドキドキしているものだが、ワクワクするほうが勝っていた。
今、凄く青春してる気がする。

自転車を停め、ローファーをコツコツと鳴らしながら店内を回る。
少々迷った結果、久方ぶりのガリガリ君に決めた。
冷たいソーダの塊を、体が欲していた。

自転車のもとへ戻り、内心盗まれていないことに安堵しながら自転車に跨る。
薄い雲に隠れつつも地上に放射される太陽の光を浴びて、薄く張った氷の膜がキラキラ輝いていた。

高校が始まって3週間あまり。
毎日気疲れしているから、この時のような1人の世界に入った時、ふと思ってしまった。
1人って、やっぱり楽だな。

残りのガリガリ君を頬張り、あとはいつもの家路についた。
また学校帰りにお買い物しよう。





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