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おじいさんの古時計

 歌志内市本町に、大正時代に建った煉瓦造りの蔵がある。
その名も「大正館」。
現在は、画家の個人所有となっており、普段は中を見ることはできないのだが、これからのゴールデンウイーク中4月29日(火曜日・祝日昭和の日)と5月6日(火曜日・祝日こどもの日振替休日)の二日間、特別に開館・公開される。(両日とも10:00~17:00)

 ここが入ってびっくりの空間なのだ。壁面を埋め尽くす古い時計のコレクション。蓄音機や、床屋の古い椅子、足踏みオルガンにビスクドール・・・・古い生活雑貨が所狭しとびっしり並んでいる。
これらの8割は歌志内市の市内にあったものだという。

 炭鉱が休みなく稼働していたころ、この町がどれほど豊かで賑わっていたかの証拠だろう。様々な骨董品が並ぶ中、歌志内では「ランプ」が発見されることが少ないという。それは、産炭地は電気の普及が日本中でどこよりも早く、こんな山の中のまちなのに、農村などに比べるとかなり早い時期に電気の照明器が普及したからなのだとか。バイクとテレビの普及もずいぶん早かったそうだ。

農村とも漁村とも違う、旧産炭地の生活文化。その片鱗を、大正館で垣間見ることができる。
足を踏み入れたとたんに、タイムスリップできそうなこの素敵な空間のオーナー、画家の本城義雄さんによると、この膨大な骨董品のコレクションは、そもそも「絵のモチーフとして」集め始めたものだとか。

 そういえば本城画伯の作品を見ると、必ずどこかに古い時計が描き込まれている。ねじ巻き式の古い時計が時を刻む音、カチ、カチ、カチ、・・・という音の合間に、時を告げるボーン、ボーン、という懐かしい音。これらをイメージの源泉にした絵画作品。どれも時が止まったような、あるいは永遠の中に身を置いているような静謐さに満ちている。
「私はね、モノを描いているんじゃないんだ。時間を描いているんだよ。そして、最近思うのは、私はモノの間にある空気を描いているんだ。」
半世紀以上、絵を描き続けてこられた本城画伯の言葉、深いなあ。
たった二日間の公開日、本城画伯から直接、説明が聞ける貴重な機会。
ぜひ訪ねてみてほしい。
(歌志内市地域おこし協力隊・石井葉子)


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