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アナーキー・イン・ザ・U.K.が生んだ大きな誤解 -ロックとキリスト教の関係性-

I am an Antichrist
I am an Anarchist

ロック史上、最も有名な歌詞の一つが
セックスピストルズのアナーキー・イン・ザ・UK
の出だしのこの一節だ

この歌詞が大きな誤解を生んだ

何に対する誤解かというと
キリスト教に対する誤解だ

まず、はじめにはっきりと言っておこう
ジョン・ライドンはクリスチャンだ

YouTubeで彼の親しい友人がジョンは
敬虔なクリスチャンだと発言しているし

何より彼自身がカトリックの学校に
通っていたと、自伝ドキュメンタリー

「The Public Image
Is Rotten」で語っている

では何故彼はアナーキー・イン・ザ・U.K.
の出だしの歌詞で

俺はアンチクライストだ
俺はアナーキストだ
と歌ったのか

その理由はイギリスの君主制と
宗教のシステムにあると俺は理解する

イギリスは国教の最高統治者が
国王になるシステムだ
(※国家と宗教の一体化)

彼はこの支配システムが納得できなくて
自分はアンチクライストだと歌ったのである

そしてその国家システムに反抗する自分の
ことをアナーキストだと歌ったのであろう

この曲がパンクのアンセムとして定着した
日本ではアンチ・クライストであることが

パンクであるといったような
間違った考えが蔓延った

実は俺もその考えに惑わされた一人である

俺は落ちこぼれクリスチャンだった

田舎で生まれた俺は街の
中高一貫教育の学校に進学した

地元では有名な進学校だ
俺のクラスからは2人が東大に進学した

そのうち1人は全国模試でトップをとって
日本一勉強ができる高校生として
東大医学部に入学した

もちろん俺は落ちこぼれだ

中学の頃から、ロックと女の子に夢中だった
勉強なんてできるはずもない

そんな俺だが、中学1年生の頃は
まじめな少年だった

まだロックも聴いてなかった

家が遠くて電車で通うには時間がかかるため
学校の近くの学生寮に住んでいた

その学生寮では週に何度か
アメリカ人の先生による聖書の時間があった

「あなたは神を信じますか」

今でもはっきりと覚えている
いつも必ずその一言で始まるのだ

俺は悩んだ

「神様って本当にいるんだろうか」

純粋無垢な俺は考えた

「よし、頑張って聖書を勉強だ」

俺は集中して
そのアメリカ人の先生の聖書の朗読を聞いた

しかし、いかんせん
その先生の日本語はひどかった

ただでさえ難しい内容の聖書を
たどたどしい日本語で朗読されるのだ

理解できるはずがない

今だったら批判精神があるから

「そんなひどい日本語で
朗読されても聖書わからねえよ」

と突っぱねるのだが
なにしろその頃は無垢な中学生だ

俺は自分が聖書が理解できない
ダメな人間だとすっかり思い込んでしまった

その後、俺がパンクロックに出会った頃は
もうキリスト教を信じるところか

逆のベクトルに向かってしまい
挙句の果てには

アナーキー・イン・ザ・U.K.の歌詞に
影響されてアンチ・クライストだ

もしあそこでレコード会社や
ロックマスコミの連中が

イギリス国教のからくりについて
解説していてくれれば

俺はアンチ・クライストという
恐ろしい悪魔の所業に
陥ってしまうことはなかったと思う

俺はアンチ・クライストのまま
人生を歩み、音楽を演奏した

ある時期、俺は小さなスターだったが
今考えると色々と不勉強だったと思う

不勉強な結果、何が起きたかというと
俺は悪になり自滅した

そしてその悪が頂点に達した時に
俺は自分を変えねばいかんと思い
海沿いにある教会を訪ねた

教会に行くとマリオ様という神父様が
俺を迎えてくれた

マリオ様は70歳という高齢だったが
大変素晴らしい方だった

今までの人生で出会った人々の中で
最も神に近い存在だと思い、俺は彼を尊敬した

マリオ様はブラックジョークの好きな方で
行く末の短い自分を面白がって笑った

いつも聖書を勉強する会に出ていたのだが
彼のブラックジョークを聴いて
参加者全員が押し黙っている中

俺は一人で笑い転げた
イタリアンジョークって最高だなと俺は思った

俺はマリオ様のサポートの元
全力で教会に通った

その結果、悪魔は俺から去った

この原稿で俺が何を言いたいのかというと
皆さんにキリスト教への入信を
勧めているわけではない

俺が言いたいのはロックは
クリスチャン・ミュージックだということだ

欧米のロック・ミュージシャンの
殆どがクリスチャンで

皆の好きなあの人もこの人も
みんなクリスチャンである

では日本はどうだろう

実はクリスチャンの
ロック・ミュージシャンの方は大変多い

私はクリスチャンですと公言はしないが
みなさんサインを出している

ある人はアルバムタイトルで
ある人はバンド名で

ある人は歌詞で
ある人はステージのバックドロップで

見る人が見ればわかる
それがサインというものだ

ロック=悪というのは間違った概念で
ロック=善であるべきだと認識してほしい

この複雑怪奇な世の中で善でいるのは難しい

だが音楽好きやロック好きは唯一
善であることのできる正しい人々であると
俺は信じている

だから皆さん、善でいきましょう 
間違えずに

なぜならジョニーも今はいい子だから


解説:
最後のラインはジョン・ライドンの
ドキュメンタリーの中から

Johnny is good boy now
という彼の発言を訳したものです

Johnny=Johnny Rotten
=John Lydonです


追記:見出しの写真は
ヴィヴィアン・ウエストウッドの
ドキュメンタリー映画

「Westwood:
Punk, Icon, Activist」
の中から

キングスロード430番地で
今も営業するショップ

「Worlds End」
のある晴れた日の一コマ

オリジナル・タイトルの方が
邦題よりも彼女自身を
よく表していると思うので

そちらを採用して敬意を表しつつ
敬虔なクリスチャンであった
彼女にこの原稿を捧げます





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