自動生成系AIによるプレゼン資料作成 各種ツールの比較 2025年春
本記事ではプレゼンテーション用スライド資料を作成するAIツール6種類の性能を比較します。簡単, 無料, 『全自動』の観点からの評価となります。キーワードから実践的な資料が作成できるAIを高得点としています。比較対象は以下の6つのAIとなります。① Felo ② Irusiru ③ Canva ④ Gamma ⑤ SlidesAI ⑥ Genspark
0. はじめに 現在のAIでどれくらい時短できる?
プレゼン用スライドと一言でいっても多くの種類があります。AIの観点から難しいものでいえば, 学会発表のスライドやビジネスなどで用いる報告書があります。これらは私たちが難しい考え (考察) や複雑な図表, 自分で用意したデータを入力する必要があり, 自動化は難しいと言われています。

しかし, 逆にインターネットやAIのみで完結する情報で作成できる資料はほぼ全自動で作成でき圧倒的な時短が期待できます。たとえば『チョコレートの歴史』などほぼ普遍的な内容や

特定の鎮痛薬の作用をまとめた勉強会の資料など, こちら側 (user, 人間) の情報が不要な場合がこれにあたります。

1. 方法
1.1 簡単なプロンプト
複数のプレゼン生成ツールに簡単なお題, キーワードを与えて自動でどのようなスライドを作成してくれるかを比較します。

今回のお題は『空気清浄機』にします。現在, 花粉症の季節ということで, 空気清浄機が注目される季節でもあります。
自動AIプレゼンへ渡す簡単なキーワード:
空気清浄機の歴史と花粉症への効果について。
6枚のスライドにまとめてください。1.2 より詳細なプロンプト 簡単な原案を渡す
すでにword文書などが手元にあり, それを元にpowerpointなどのプレゼン資料を作成する方法です。ChatGPT4oに原案を作成してもらいました。簡単なプロンプトで作成できないAIにはこちらの方法で作成を依頼したいと思います。
ChatGPTへ渡したprompt:
空気清浄機の歴史と花粉症への効果について。
6枚のスライド原案下さい。200文字×6スライド= 1200文字程度の原案が出来ました。

Wordファイルとして準備しておきます。

評価の基準
キーワードから『全自動』でプレゼン資料を作成できるかどうかを重点的に評価しました。そのため, 詳細に指示したら高性能なものを作れるというAIは低めになります。
お勧め度を主観で三段階で評価したいと思います。
★☆☆~★★★お勧め
2. 各種ツールの比較
2.1 Felo フェロー ★★☆

基本無料 (Google連携でサイインイン) の国産のAIエージェントです。AI検索 (AIが補助してくれる深い検索エンジン) で有名でしたが, 最近, パワーポイントスライドを自動で作成してくれることでも注目されています。
top画面から① Felo Agent→② AI パワーポイント作成ツールを選びます。

プロンプトを入力し→マークを押します。

1分位でアウトラインなど方向性となる下書きを作成してくれました。テキストを編集することでこの時点でタイトルやアウトラインを変更できます。

テンプレートは200種類くらいでしょうか。

1-2分待つとスライドが作成されますのでダウンロードします。

6枚のスライド枚数を指定しましたが, 実際には6トピック (テーマ) で合計15枚のパワポスライドが完成しました。

パワポとしてもちろん編集可能です。全体的にはシンプルな内容ですが原案, 下書きとして考えるなら十分の出来と思われます。これを元に内容を拡張, 修正していけばプレゼン資料として形になり時短されます。

気になったところとしては数字がところどころ抜けていました。

標準的なtoolだと思いますので評価は★★☆とさせていただきます。以降はこれを基準に評価したいと思います。
2.2 Irusiru イルシル ★★⯪

Google連携でログインしてみます。無料トライアルが3回出来ます。

当方無料での上限 (3個まで作成) に達してしまったため, 今回有料バージョンで検証してみました。

『AIスライド作成』を選びます。

キーワードから作る方法と文書ファイルから生成する方法が問われますのでキーワードから作ってみます。

先ほどと同様に『空気清浄機』をキーワードに作成していきます。しかし, ここで深刻なバグが発生し, アウトラインは全く関係ない他のプロジェクト (1年前に作った別のスライドの内容) が生成されてしまいました。

という訳で先ほどGPT4oに準備してもらったアウトライン1200文字を渡してみます。

10秒ほどでスライド6枚の構成, AIへの本文の指示が出来上がります。『本文テキストをAI生成』します

数秒で本文が出来ました。『スライドに反映』します。

数秒待つとスライドの完成版ができました。

デザインテンプレートが豊富で少し確認したところ何百種類はありました。イルシルは伝統的に緑を基調とした配色が多い印象です (緑しかない?)。

『ファイル』→『書き出し』でパワポ形式に変換します。

パワポでフォントサイズなどの調整も問題なくできました。

専用ソフトということで全体的に使いやすいと感じました。★★⯪ (星2.5) とさせていただきます。
2.3 Canva キャンバ ★☆☆

『ドキュメント』を選びます。

① 『⊕マーク』→ ② 『マジック作文』でCanva AIに自動で原案を作ってもらいます。

簡単なキーワードを入れて『生成 Ctrl+Enter』を押します。

30秒ほどでアウトラインが作成されました。問題なければ『追加Enter』を押します。修正が必要であれば『少し修正』, こちらはFeloと異なりテキストを直接編集する形式ではなくAIに修正を言語で依頼するタイプでした。

さらに30秒ほどで原案となる文章ができました。この文章を『① マジック変換』→『② プレゼンテーションに変換』で独自のプレゼンスライド形式に変換してもらいます。

無料版ではデザインはシンプルな6種類からしか選べませんでした。

『① ファイル』→『② ダウンロード』でパワーポイント形式 (.ppt) で保存します。

もちろん通常のパワーポイントファイルと同様に編集が可能です。スライド本文の内容は問題なかったですが, デザインが質素, 特にイラスト, 写真などがないことがマイナスポイントでした。

内容的には分かりやすい文章ですが, 前後のつながりなど構成的には課題がのこるスライドでした。(※そのあたりはChapter 3, 4で解説していますので興味があればご覧ください。)

Canva自体すごく良いツールと定評がありますが, 今回の『全自動』で即実用レベルのプレゼン資料が出来るという観点では低めの点数となってしまいます…
★☆☆
2.4 Gamma ガンマ ★★★

ここ数年, 自動生成プレゼン資料作成サービスで最も評価されているツールです。Google連携で初回ログイン時に500クレジットが付与されます。

『+新規作成AI』から作っていきます。

『1行のプロンプトから数秒で作成する』を選びます。もちろん他のファイルなどからも作成することが出来ます。

同様に空気清浄機に関するプレゼン資料の指示を簡単にしてみます。画面のボタン, 操作性 (UI: ユーザーインターフェース) などが分かりやすいのは高評価です。後にパワポでダウンロードするために『トラディショナルサイズ』を選んでおきます。

瞬時にアウトラインが作成されました。ここで直接アウトラインのテキストを編集可能です。

テーマや1スライド当たりの文章量を設定していきます。テーマはぱっと見, 50個以上から選ぶことができました。

挿絵画像の選択も豊富にありました。Googleの画像生成AI Imagen 3を選んでみます。

1分弱で生成されました。全体的にハイクオリティなスライドが生成されました。

もちろんパワポとして保存, 再編集可能です。

念のため用いられているグラフや数字などのデータを他のリサーチ系AIで真偽判定 (ファクトチェック) しましたが誤りはありませんでした。

10クレジット消費すれば挿絵を作ることができます。またGamma上で配色やフォントサイズの変更もある程度可能でした。

パワポ上で修正を行えば, ほんの少し追加の手間となりますが, 微妙な位置, 色, font sizeなど好みにカスタマイズできます。個人的にGammaの最も優れている点は『デザイン性』ではないかと思っています。

文句なし★★★です。
2.5 SlidesAI スライズエーアイ ★☆☆

普段からGoogle Slideを使っている人にはお勧めです。まずは以下のリンクからソフトをインストールしておきます。
右上の『↓SlidesAIをインストールする』をクリックするだけです。

以下からGoogle スライドにログインします。
『① 拡張機能』→ ② 『Generate New Slides 新しいスライドを作る』を選びます。

初期設定は英語なので左下の『文/A』アイコンから日本語に変更しておきます。

同様に以下の簡単なキーワードを入力してみます。
自動AIプレゼンへ渡す簡単なキーワード:
空気清浄機の歴史と花粉症への効果について。
7枚 (1枚タイトル 6枚本文) のスライドにまとめてください。追加で指示があれば300文字まで任意で可能とのことです。特に指示せずに自由に作ってもらいました。

プレゼンの所要時間など他の設定も基本フリーで作成してもらいました。

全体的にシンプルなスライドが完成しました。本文は特に指示しなかったためか少なめのテキスト文量でした。挿絵画像に関しては独自の画像生成AIが用いられていました。最新のImage Fx ではなさそうです。

勿論, 他のAIと同様パワーポイントとして保存, 再編集可能です。

無料では一カ月に1プレゼンテーションとかなり制限があります。

2.6 Genspark ジェンスパーク ★★☆

Feloと同様, AI検索エンジンとして有名でしたが最近, 一新されGenspark スーパーエージェントとして生まれ変わりました。例にもれずこちらもGoogle連携でサインインして使ってみます。無料版では1日に200クレジットがもらえます。通常の会話で5-30位消費, 6枚のプレゼン資料作成では100位消費されました。

他のプレゼンAIツールと異なり, HTMLコード (Webブラウザで開くファイル形式)が作成されました。しかも比較的長時間 (4分30秒) 要しています。

テキストの内容, 位置や構成的には全く問題ありません出来でした。論理構造がしっかりしており, 自然な流れでスライド間の話の切り替えが出来ていました。

イラスト図解の生成が苦手みたいで意図が伝わりにくい図でした。

pptへ変換してみます。まずは『コピー』を押して, コードを流用します。

クレジット消費を避けるためにChatGPTでpowerpoint fileに変換してもらいます。
ChatGPTへのprompt:
pptとしてダウンロードできるようにしてください。ChatGPTのChat欄に貼り付けます。

さらにコードを変換する時間が数分かかりました…

リンクをクリックしてダウンロードします。文字化け? (位置やサイズの乱れが多い) やイラストの再現などいまいちでした。

内容自体は凄く良いですが, 全体的に時間効率などを考えると実用性は高くないかもです… ★★☆
(Tome トーム ☆☆☆)

かなり優秀なAIでしたがちょうど今月で使えなくなっていました。今までありがとうございました。

3. 結果まとめ
テキスト, スライド構成の評価
6つのプレゼンテキストを同時にAIに渡して100点満点で評価してもらいました。

評価するAIはGoogle Gemini, Anthropic Claude 3.7 Sonnet, Open AI o1の3種類です。平均点は以下の通りです。
① Felo 80 ② Irusiru 84 ③ Canva 79 ④ Gamma 92 ⑤ SlidesAI 64
⑥ Genspark 93

特に高得点なのはGenspark, Gammaでした。2000文字とややビジーなスライドでしたが, 内容, 構成的には非の打ちどころがないスライドでした。
SlidesAIは文章が少なすぎて (500文字), オーディエンス (聴講者, 聞き手) はプレゼンを聞いていても内容を理解しにくいと考えます。

Canvaに関しては900文字と分量的には適していましたが, 事実の羅列にとどまっており, 文脈を意識した構成ではなく, 減点対象となっています。
① Felo B+ ② Irusiru B ③ Canva B− ④ Gamma A+ ⑤ SlidesAI C−
⑥ Genspark A
デザイン性の評価
ChatGPT4oに各種AIが作成したスライドの画像を渡して評価してもらいました。
ChatGPTに渡したprompt:
デザインを評価してください。
A+からD-で。
色や使われている画像, 各種パーツ (テキスト, 図表などのオブジェクト) の配置バランスなど正しく評価されている印象でした。

① Felo A- ② Irusiru B ③ Canva C+ ④ Gamma A+ ⑤ SlidesAI C
⑥ Genspark A

速度の評価
単純な生成速度で言えば Genspark<<他のAIとなりますが, 高品質なものを自動で作るという意味での時短ではGamma>>他のAIという結果となりました。
まとめ比較表

4. 参考 評価法の詳細
テキスト, スライド構成の評価の詳細
まずは出力されたプレゼンから全テキスト情報の抽出方法についてです。方法としてはいくつかありますが, PDFからのぬきだすのが簡単かもしれません。PowerPointを開き ① 『ファイル』→② 『名前を付けて保存』→③ 『PDF』に変換します。

Adobe Acrobat (無料版) でPDFを開きます。最新版では制限が多くctrl+Aでテキストの全体選択が出来ません… 代わりに ① 『1ページ目の初めの文字を選択』→② 『サイドバーをスクロールし最後のページまでいく』→③ 『PDF』に変換します。

汎用AI (ChatGPTなど) ではPPTからのテキスト抽出機能は乏しく, Claude 3.7で画像から文字起こしが一番手っ取り早いかもしれません。

採点時のプロンプトは極めてシンプルなものを採用しました。最近のAIは人間側が中途半端な採点基準を作るよりも全て任した方が公平な採点を行うことが多いです。
採点依頼時のprompt:
以下の6つは各種スライド自動生成AIに同じリクエストをした際に出力された文章です。
プレゼンテーションのテキストとしての質を評価してください。100点満点で結果のみください。
(↓ テキストを貼り付ける)
結果としては6. Genspark, 4 Gammaが高評価, 3. Canva, 5. SlidesAIが低評価でした。前者2つの高評価AIは単純に文字数が多いことによって内容が詳細なだけではなく, 論理構造, 前後の文脈つながりなどがしっかりしており, プレゼンを聞いている人が分かりやすい文章内容でした。

種明かしをしますと今回, 敢えて『意地悪』をしてAIに独立した二つのテーマを織り交ぜて作りにくいものをどのように克服するか試してみました。

これは極めて実践的で普段私たちがプレゼンスライドを作成するときも, 『独立した』テーマをうまくまとめる能力が求められます。これは非常に骨の折れるタスクで, 間違えると聞いている側は『何を言っているのかわからない』プレゼンが完成してしまいます。

これをうまくクリアしたのはGensparkとGammaでした。多くの独立したテーマを聞いている人が自然なながれになるように, うまくまとめあげていたのではないでしょうか。


デザイン性の評価の詳細
ChatGPTのここ最近のアップデートで画像認識能力が劇的に向上しました。また, 以下はAIが配色, 視覚要素の使い方などを, (人間の評価と相関するレベルで)正しく評価できることを検証した論文です。
現在のChatGPT4oで十分にプレゼンテーションスライドの総合的な『デザイン性』 (レイアウト, 色, バランスもろもろ…) が可能であると一部で評されています。私自身4oでデザインを評価してもらいましたが4oとほぼ同じ感想でした。
オマケ
今回はインターネット上の情報から作れるプレゼンテーションスライドの自動生成に注目しました。今後, AIの進歩でより高難易度のプレゼンスライドの自動生成が可能になると思います。毎年, 高難易度スライドの作成において, AI自身にどれくらい時短ができるか聞いています。
プロンプト:
学会発表やビジネスの報告書, 勉強会資料など高度な考察, インフォグラフィックなど含む
プレゼン資料においてAIによる時短はどれくらい可能ですか?
そのAIツールを一からまなぶ時間も考慮にいれて
100%:完全自動化
0%:手動と変わらない
ここ1年ではほとんど変化がなかったとのことです。

