まだ見えない役割のために。
役員会にオブザーバーとして参加し、
私は、はっきりわかった。
私には、
経営幹部としての能力はないということを。
勤続年数が長くても、
現場経験がいくらあっても、
上場を目指す会社で求められる力は、
まったく別のものだった。
ちなみに、
大宮店で一緒に働いていた部下のともこさんが、
女性として初めて役員になった。
ともこさんの役員就任は、
本当に嬉しかった。
心から応援しようと思った。
でも、その一方で、
私はどうなんだろう。
そんな思いが、
心の中に静かに浮かんでいた。
私はもう長く現場を離れていた。
数字や売上からも遠ざかっていた。
年齢や体力を考えても、
もう一度現場マネージャーに戻ることは、
ないと思った。
では、
このまま研修チームの一員として働き続けるのか。
続けられなくはない。
でも、
どこかマンネリを感じていた。
新しい知識も学ばず、
研修スキルも磨かず、
このまま続けるのは違うと思った。
では、
私は何を学べばいいのだろう。
そう考えた時、
ふと頭に浮かんだのが、
**「コーチング」**だった。
会社でも研修に取り入れていたが、
私は体系的に学んだことがなかった。
だから、
一度きちんと学んでみようと思った。
学んだことを、
どう活かせるのかは、
まだ分からなかった。
でも、
このまま立ち止まっていたくなかった。
会社の中で、
自分にできることを、
もう一度増やしたかった。
そうして、
2015年2月。
60歳の誕生日に、
私はコーチングスクールへ入学した。
会社の教育訓練給付金制度を利用したため、
社長も、
私が学び始めたことを知っていた。
その時の私は、
まだ知らなかった。
この学びが、
数か月後、
思いもよらない新しい役割へ、
つながっていくことを。
