幽霊飼育日記 2026.6.6
ふと、「幽霊インタビュー」が映画化されていると耳にした。私もせっかく子幽霊を飼っているのに、その生態を世の中に広め、収益化していないのはもったいない。ということで、私も子幽霊インタビューをしてみたいと思う。私自身、本業ではディレクター時代に数多くのインタビューを行ってきた。素人相手のインタビューはかなり得意だし、相手の笑顔を引き出すことや、話す言葉を整理してもらう質問の仕方は、代理店やクライアントからも評価されていた。
私がインタビューのときに気を付けていることは二つある。
一つは、無言の時間を作らないこと。相手が「間違ったことを言ってしまっているのかな?」と不安になったり、気まずい雰囲気になったりすると、いい回答は出てこない。リラックスして、気楽におしゃべりをしているような雰囲気づくりが重要だ。
もう一つは、相手自身の言葉で説明してもらうこと。映像では特にこれが重要で、“はい”“いいえ”だけの返事だと、編集が成立しなくなる。なので、あえてこちらの言葉を濁して、相手に話してもらうという技をちょいちょい使っている。自分の頭で考えて説明してもらうと、そのあとに補足を話し始めてくれる可能性も高い。この回答が使い所として一番面白い部分になる。個性がそこにでるからだ。“はい”“いいえ”だけだと、こちらの誘導に答えているだけの状況になってしまい、ただのアンケートに成り下がってしまう。そうなると、面白い回答は得られない。
インタビュー中は、片方の頭で相手の話を聞きつつ、もう片方の頭で次の質問の展開を考えているようなイメージだ。左右の脳みそが同時にぐるぐる回っている感じである。なので、非常に脳みそが疲れる。
しかし、子幽霊インタビューがうまくいけば、書籍化や映画化だって夢ではないだろう。この技術は幽霊にも通用するに違いない。ここが業界27年の腕の見せ所だ。では、さっそく子幽霊インタビューの記録をここに記そう。
【子幽霊インタビュー】
私:本日は足元の悪い中、ご足労いただきありがとうございます。
子幽霊:いえいえ、仕事ですので。
私:さっそくですが、本題に入らせていただければと思います。
子幽霊:どうぞ。
私:好きな食べ物はなんですか?
子幽霊:そうですね。好きな食べ物は、セコマのカツ丼ですね。
私:ほう、カツ丼。
子幽霊:はい、セコマの。
私:・・・なるほど。
子幽霊:・・・はい。
私:・・・。
子幽霊:・・・。
ここで30分ほど沈黙。
私:話はうって変わりますが、最近はどんな番組をみてますか?
子幽霊:あまりテレビは見ないですね。
私:Youtubeとかですか?
子幽霊:Youtubeも見ないですね。
私:何を見てますか?
子幽霊:何も見てないですね。
私:私もです。
子幽霊:ほう。
私:ちなみに今日はもうご飯は食べられましたか?
子幽霊:はい。
私:なるほどですね。もうご飯は食べたといういことで間違いないですね。
子幽霊:はい。
私:おいしかったですか?
子幽霊:はい。
私:なるほど。
子幽霊:ええ。
私:最近どうですか?
子幽霊:普通ですね。
私:どれくらい普通ですか?
子幽霊:うーん、けっこう普通です。
私:けっこう普通ですか。
子幽霊:けっこう普通です。
私:なるほど。
子幽霊:はい。
私:探し物はありますか?
子幽霊:はい。
私:見つけにくいものですか?
子幽霊:はい。
私:カバンの中もつくえの中も探しましたか?
子幽霊:はい。
私:まだまだ探す気ですか?
子幽霊:はい。
私:それより私と踊りませんか?
子幽霊:いいえ。
私:夢の中へ行ってみたいと思いませんか?
子幽霊:いいえ。
私:ありがとうございました。
子幽霊:いえいえ、こちらこそ。
以上である。
私のインタビューはいかがだったろうか。
子幽霊のまだ知られていない情報を聞き出せた気がする。
まとめるとこうだ。
子幽霊インタビューまとめ
・仕事だと足元が悪くても来る。
・番組は見ていない。(私も)
・もうご飯は食べた。おいしかった。
・最近は普通。
・探し物はあるが、踊りたくないし、夢の中へは行きたくない。
子幽霊の独占インタビューである。これは書籍化や映画化もあり得る出来事だろう。また次回気が向いたらインタビューをしてみたいと思う。

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