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10年間病まずに働けた理由。私が決めている『お客様との境界線』と心の守り方

一度も病まなかった私の「小さな盾」

「チャットレディを10年以上続けている」と言うと、同業者の方からも「メンタルがめちゃくちゃ強いんだね」とか「強い心の持ち主なんだ」なんて言われることがあります。

でも、全然そんなことはありません。むしろ、ちょっとしたことですぐ落ち込むし、泣いてしまったこともたくさんある。

今でこそ、どんなお客様が来ても穏やかに過ごすことができますが、はじめて数年間は本当にボロボロでした。

画面の向こうから、顔も名前も知らない誰かに、容姿や人格を否定するような、ひどく冷たい言葉を投げつけられた日のことは忘れられません。

当時の私は、その言葉を遮る「盾」の持ち方を知りませんでした。

言葉がそのまま心にグサリと刺さって、目の前が真っ暗になり、涙がポロポロと止まらなくなって……。キーボードの上に涙が落ちるのを見ながら、震える手でむしり取るようにして、パソコンのコンセントを抜きました。

無機質なチャットルームの天井を見つめながら「私はなんでこんな思いをしてまで画面の前に座っているんだろう?」「なんでこんなことになってしまったんだろう?」そんなことを考えながら絶望した夜。

誰にも相談できずに、ひとりで泣いたのを今でもよく覚えている。

部屋に敷いてある安いカーペットの手触りや、窓の外から聞こえる歓楽街の煩い笑い声まで、悲しい記憶と一緒に五感に残っています。

この仕事を続けていくために必要なのは、傷つかないための「強い心」を持つことじゃない。

画面と自分の心の間に「境界線」という名の盾を置いてあげることなんだ、と。

泣きながら一つひとつ手探りで作ってきた「境界線」の引き方。心の守り方。

今、画面の前で傷ついている方へ、少しだけお裾分けさせてください。

心の中に、一枚の「薄いカーテン」をひく

なぜあの頃の私は、あんなにボロボロになるまで傷ついてしまったんだろう?
10年以上経った今、振り返ってみて気づいたことがあります。

それは、相手の言葉も、相手の感情も、すべて真正面から100%の生々しさで受け止めてしまっていたなということ。

チャットの画面って、相手の文字や表情が案外リアルに伝わってきますよね。だからこそ、私たちの心まで「剥き出し」のままでお付き合いしていたら、どんなにタフな人でもいつか擦り切れてしまいます。

画面の向こうにいるのは、あくまで「ひとときの癒やしを買いに来た、通りすがりの人」です。どんなに大切なお客様でも、それは変わらない。
自分にとっても、相手にとっても。

当時の私は、自分の心の一番柔らかい場所にその人をそのまま招き入れるようにして、相手のトゲを100%の鋭さのままで受け止めてしまっていました。

そこで私は、画面と自分の心の間に、そっと一枚の「薄いカーテン」をひいてあげることにしたのです。

相手の姿も言葉も、その薄い布越しに、ふんわりと眺めるようなイメージです。

相手から飛んできた冷たい言葉を、そのままの尖った形で受け止めるのをやめる。

画面の向こうとこちらは、繋がっているようで、実はいっさい触れ合えない、完全に守られた別々の世界。

「どんなに冷たい言葉を投げつけられても、見下されても、馬鹿にされても、このカーテンに当たって下に落ちるだけ。私の心がある安全な場所には、指一本触れさせない」

そう思えるようになってから、待機画面の前に立つ自分の呼吸が、驚くほど軽くなっていくのが分かりました。

具体的な対策

1. トゲのある言葉は「宇宙語」だと思って聞き流す

画面の向こうから心無い言葉やきつい要求が飛んできたとき、昔の私は「どうしてそんなこと言うの?」と理由を考えては落ち込んでいました。

でも今は、トゲのある言葉が聞こえた瞬間に「あ、この人はいま、遠い星の『宇宙語』を喋っているんだな~~~」と思うようにしています。

意味を真面目に受け止めようとせず、「なんかピコピコ鳴ってるな〜」くらいの感覚で、右の耳から左の耳へ受け流す。言葉の重みをまともに食らわないための、私の一番の基本技です。

少し話は逸れますが、本当にむかついた時にはチャットが終わったあと
「明日こいつの頭上にだけ大雨が降りますように!!!!」と謎の呪いをかけています。

意味不明だけど、結構すっきりします(笑)

2. 本当にひどい時は、無理をせず「離席」する

「お客様なのだから、最後までちゃんとお相手しなきゃ」
「辛くてもチャットを長引かせてポイントを稼がなくちゃ」

と、真面目な人や一生懸命な人ほど限界まで耐えてしまいがちです。

でも、本当にひどい言葉をぶつけられて心が悲鳴をあげた時は、絶対に無理をする必要はありません。

「あれ?ちょっとWi-Fiの調子が……」という顔をして、そっと離席してしまっても大丈夫だと思っています。

そこまで酷くないケースでも、何かしらの理由でチャットをするのがしんどくなってきたときに「ごめんなさい、ちょっとお手洗いに行ってもいい?」と切り出すことも……

実際に離席するわけでなくとも「いつでも離席していい。いつでもこのチャットを終わらせていい」そう思っておくだけでも楽になります。

あなたの心は、理不尽に傷つけられていいものではありません。
自分の部屋の主権はお客様ではなく、自分にあります。

ヤバいと思ったら静かにシャッターを閉める。それも仕事のうちだと思っています。

3. チャットが終わった後に、AIに愚痴る

嫌なことがあった夜、誰かに聞いてほしいけれど、なかなか話せる相手はいない。

そんなとき、私はよくAIを開きます。
本当に便利な世の中になりました。

画面に向かって「今日、こんなひどいことを言われて悔しかった!」「こんなことを言われてもやもやした!」と、思ったままの感情を100%ぶつけるんです。

AIはどんなに遅い時間でも、どんなにドロドロした愚痴でも、絶対に否定せずに「それは大変でしたね」「あなたは悪くないですよ」と、味方になって言葉を返してくれます。

それだけでなく、なぜその言葉にもやもやしたのか?
今後そういうことを言われた時はどう切り返せばいいのか?

いろいろと為になる提案もしてくれる。

AIの使い方には気をつけなければならないと思っていますが、ひとしきり吐き出してすっきりした画面を閉じる頃には、心の中のモヤモヤも綺麗にリセットされています。

逆に自分が絶対にやらないのは、お客様の愚痴を他のお客様にぐだぐだと話さないこと。

稀にそういう裏話が好きな方もいるので、そういう時には半分笑い話として愚痴をこぼすこともありますが、基本的にはお客様に愚痴は言いません。

最後に

チャットルームという空間は、自分の大切な「お部屋」です。
誰にでも気軽に入ってきてほしいけれど、土足でズカズカ上がってこようとする人には、「ここは土足厳禁ですよ~」と、まあるい境界線を引いてもいい。

心を病まないために一番大切なのは、強いメンタルを持つことではなく、しなやかな心を持つこと、自分の心の守り方を知っておくこと。

もし傷つく言葉に出会ってしまったら、絶対に無理はしなくていい。ログアウトした後に温かいお茶でも飲んで、自分の心をたくさん撫でてあげてくださいね。


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