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渋谷ロゴスキーのつぼ焼き

渋谷ロゴスキーには、3種類のつぼ焼きがあった。

渋谷ロゴスキーのメニュー(2015年3月筆者撮影)

渋谷ロゴスキーの入り口にはメニューの展示もあった。
2015年3月22日に東急プラザが閉館することになり、渋谷ロゴスキーも閉店することとなった。
2015年1月から、できる限り渋谷ロゴスキーへ通い、写真を撮ることにした。
それまでは、写真を撮るという発想がなく、全く撮っていなかったが、記録しておきたいと思った。

渋谷ロゴスキーの入り口のつぼ焼きメニュー(2015年3月筆者撮影)


渋谷ロゴスキーのきのこと鶏肉のつぼ焼き(2015年3月筆者撮影)

初めは、パンの部分をつついて、壺の中に落として食べていたが、ある日、長屋晃さんが食べ方を教えてくださった。
長屋晃さんは、渋谷ロゴスキーの創業者の息子さん。
壺にかぶさっているパンをはがして食べるといいそうだ。

渋谷ロゴスキーのきのこと鶏肉のつぼ焼きのパンを外したところ(2015年3月筆者撮影)


そして、青い壺もある。
こちらは、エビとホタテ入りの漁師風海の幸のつぼ焼きだ。

渋谷ロゴスキーの漁師風海の幸のつぼ焼き(2015年3月筆者撮影)
渋谷ロゴスキーの漁師風海の幸のつぼ焼きのパンを外したところ(2015年3月筆者撮影)

パンをかぶせてしまったら、きのこと鶏肉のつぼ焼きなのか、海の幸のつぼ焼きなのかが分からなくなってしまうため、壺の色を変えていたのだ。

さらに、大食いの私にとって、嬉しいボリュームたっぷりのきこり風きのことじゃが芋のつぼ焼き。
他の2つの壺と違って、これは、大きい。

渋谷ロゴスキーのきこり風きのことじゃが芋のつぼ焼き(2015年3月筆者撮影)

普通の女性なら、この1品で十分お腹がいっぱいになる分量。

渋谷ロゴスキーのきこり風きのことじゃが芋のつぼ焼きのパンを外したところ
(2015年3月筆者撮影)

エノキ、シメジ、マッシュルームときのこがたっぷりで、じゃがいもと豚肉入りのスープは絶品。

渋谷ロゴスキーのきこり風きのことじゃが芋のつぼ焼き(2015年3月筆者撮影)

つぼ焼きの味ももちろんだが、ロゴスキー特注の壺も私は好きだった。
カタカナで『ロゴスキー』。

2015年3月筆者撮影

ロシア語で『Роговский』。

2015年3月筆者撮影
2015年3月筆者撮影
2015年3月筆者撮影
2015年3月筆者撮影

というのも、パンをかぶせやすくするためか、壺の口が狭くなっているのだ。
東京のデパートやスーパーの食器売場を歩いて見ても、耐熱性のこういう器を見つけることができなかった。
口が広くなっているものやまっすぐのものばかりであった。

なかなかロゴスキーが使っているような形の器に出会えなかった。
それもそのはずで、渋谷ロゴスキーでは、特注の器を使っていたようだ。

渋谷ロゴスキーのファンだったから、デパートで行われる催事へ行くこともあった。
催事でもつぼ焼きが売られているのだ。
何回か催事に行くと、だんだん器がたまってくる。捨てるのももったいないし。
それで、その器を使うことにした。幸い、口が広がっていなくてまっすぐだから、パンをかぶせやすい。

つぼ焼きを焼く前(筆者撮影)


つぼ焼きを焼いた後(筆者撮影)

渋谷ロゴスキーは、器だけでなく、オーブンもこだわり、最良のものを使っていた。
一人暮らしをするときにたまたま家にあったから持ってきたという我が家のオーブンとは雲泥の差だ。
そのため、渋谷ロゴスキーとまったく同じというわけにはいかないが、なんとかつぼ焼きを作ることができた。

実は、ここに至るまでいろいろあった。

まず、渋谷ロゴスキーで食べたつぼ焼きを作ってみたいと思った。
作ってみたいと思っても、どうやって作るのか分からない。
そこで、近所の図書館に行き、ロシア料理やソビエト料理という昭和時代に発行された本などを借りてレシピを見てみた。
どれも、一度に作る分量が多すぎて、一人暮らしの私が気楽に作れる分量ではなかった。
それならば、レシピに書いてある分量の比はそのままに、少なめに作ろうと思って挑戦してみた。
ところが、つぼ焼きに入れるスープは何とかできたものの、壺にかぶせるパンの生地がまとまらず、かぶせることができなかったのだ。
パン作りをしている人はきっと朝飯前だと思う。
「学校でパンを焼くから、オーブンがあるご家庭は、貸してください。」とお手紙をもらい、「うちにあるから、持って行きます。」とオーブントースターを学校に届けた母親の娘である。
そのため、パンを自分で焼いたことはなかった。
パン生地をこねるというのがよく分からなかった。今ならYouTubeなどで動画を見てすぐに分かると思うが、当時は、本のみ。写真はできあがりのみで、作っている過程は、文のみ。
1回目は、たまたま失敗しただけだと思い、2回目も挑戦してみた。
しかし、また生地がまとまらなかった。
それで、渋谷ロゴスキーの副社長さんに、失敗した話をしてみた。
すると、渋谷ロゴスキーで作っているパン生地の分量比をメモに書いて下さったのだ。
かなりの企業秘密だ。
私が同じようなロシア料理の仕事をしているわけでもなく、商売にするわけでもなく、ただ自宅で作って食べるということだったから、分量だけ教えてくださったのだ。
作る過程や、スープの分量などは自力だ。
パン生地の分量をもとに、再度挑戦した。
すると、今までまとまらなかったパン生地がまとまったのだ。
ド素人が作るから、なめらかさとかはないが、まとまった。

そして、器にかぶせてオーブンで焼いてみた。もちろん、渋谷ロゴスキーが使っているような素晴らしいオーブンではないため、仕上がりは違ったが、何とかできたのだ。

筆者撮影

冬の寒い時期は、時々自宅で作るようになった。

そんな時だった。
渋谷ロゴスキーの特注のあのつぼ焼きを数量限定でお店で売るというのだ。
その情報を得たら、喜び勇んですぐに買いに行った。
店頭にいくつか並んでいた。一つ一つ手作りだから、器の口の傾斜がそれぞれ違う。

筆者撮影

並んでいる中で、一番傾斜角度が大きい物を選んだ。

そして、家で作ってみた。

筆者撮影

パン生地がまとまらなかった私が、なんとか自分で作ったつぼ焼きだ。
渋谷ロゴスキーとまったく同じ味というわけにはいかないが、ロゴスキーの器で作ったつぼ焼きは格別だった。


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