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【時巡りの島】 エピソード0


淡路島の南端にある小さな漁村、阿那賀浦。
そこで小さなレストラン【Araqtai】を営む料理人、青島亮太郎はとある日、ふと立ち寄った骨董品屋で、一冊の古い料理文献を手に入れた。

そこに記されていたのは、淡路国に伝わる神話と結びついた、不思議な料理の数々だった。

月の神に捧げる膳。
国生みの海を映した一皿。
神々の宴を思わせる、名もなき料理。

その書を残したのは幕末、長州藩に身を置きながらも、歴史の表舞台には名を残さなかった人物、高良健心。

動乱の幕末において、刀を置き料理を選び、
争いではなく食卓で人と人とを結ぼうとした男。

書物に導かれるように青島が向かったのは霊峰・先山の麓に広がる内膳の地。
古代より牛が飼われ、朝廷に「蘇」を献上していた土地でもある。
先山の山頂に鎮座する岩戸神社には天照大神にまつわる古い伝承が今も息づいている。

高良が求めた料理は人のための料理ではなく、天照大神へ捧げる膳であった。
青島はその記述を手がかりに、神話の時代に供された料理を現代に甦らせようとする。

それは単なる再現ではない。
料理に宿る記憶を辿り、人と神、過去と現在を結び直す旅の始まりだった。

料理は時を超えて語りかける。
そしてその一皿はそっと、私たちの心にも火を灯す・・・

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