5分のために。
忘れられない言葉があります。
高校サッカーの現場で、ある選手が何気なく話してくれた一言です。
派手な言葉ではありません。
でも、私は今でもその言葉を覚えています。
高校サッカーの現場では、試合に出る選手だけが戦っているわけではありません。
ピッチでプレーする選手。
ベンチから出番を待つ選手。
メンバーに入ることができず、スタンドから仲間へ声援を送り続ける選手。
ドリンクを準備する選手。
補食を運ぶ選手。
試合後の片付けを手伝ってくれる選手。
それぞれが違う場所で、それぞれの役割を果たしながら、一つの試合を戦っています。
トレーナーとして帯同していると、そんな選手たちと話す機会が自然と増えていきます。
ドリンクを準備しながら。
補食を運びながら。
そんな何気ない時間に交わした会話の中で、一人の選手がぽつりと話してくれました。
「5分の出場のために、1時間準備します。」
その言葉に、思わず胸を打たれました。
彼は決して多くの出場時間が約束されている選手ではありませんでした。
それでも、誰よりも丁寧にウォーミングアップを行い、
身体の状態を確認し、いつ呼ばれてもいいように準備を続けていました。
そして実際に与えられた時間は、わずか5分。
でも、その5分を全力で走り切る姿がありました。
私たちは、結果ばかりを見てしまいます。
何分出場したのか。
何点決めたのか。
勝ったのか、負けたのか。
もちろん、結果は大切です。
でも、その結果を支えているのは、誰にも見えない時間なのかもしれません。
呼ばれるかどうかわからない中でも続けた準備。
誰も見ていないところで積み重ねた努力。
その一つひとつがあったからこそ、たった5分という時間に、自分のすべてを注ぐことができたのだと思います。
仕事も、子育ても、勉強も、きっと同じです。
私たちは、本番の数分や数時間だけを見てしまいがちです。
でも、その裏には、人には見えない準備の時間があります。
だから私は、あの日の一言を、ときどき思い出します。
「5分の出場のために、1時間準備します。」
あの言葉は、サッカーの話ではありませんでした。
見えない時間をどう過ごすか。
その積み重ねが、自分らしい一歩につながっていく。
そんなことを、一人の高校生が教えてくれたような気がしています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
数年前、一人の高校生が何気なく話してくれた言葉。
その一言は、今でも私の心に残り、ふとした瞬間に思い出す大切な言葉になっています。
この記事が、皆さんにとって何か一つでも人生を豊かにする気づきにつながれば嬉しいです。
日々の出来事には、きっと誰かの人生を豊かにする気づきがある。
そんな一つひとつを、これからも「つむぐ」で紡いでいきます。
つむぐ
