撮影が楽しい
私は被写体をするのが好きだ。
カメラを向けられると、
少しだけ違う自分になれる気がする。
普段の私は、
案外ぼんやりしている。
でも、
シャッターが切られる瞬間だけは、
景色の一部になれる。
撮影の日は、
どこへ行くのかも楽しみだ。
古い建物だったり、
静かな喫茶店だったり、
何気ない路地だったり。
「こんな場所があったんだ」と思うことがよくある。
写真を撮ってもらっている時間は、
自分をうまく見せようというより、
その場の空気を楽しんでいる。
風が吹いたり。
髪が乱れたり。
思わず笑ってしまったり。
そんな予定どおりじゃない一枚が、
意外とお気に入りになったりする。
撮影が終わって写真を見ると、
「これ、本当に私なのかな」と思うことがある。
いつもの鏡とは違う私が、
そこに写っている。
だから被写体は面白い。
自分では気づかなかった表情を、
カメラがそっと見つけてくれるから。
今日もまた、
誰かのレンズの向こうで、
知らなかった自分に出会える気がするのである。
