〈欠けたピースと白紙の〉
なんでもない日
何かが起こりそうな日
期待と不安が風船のように膨らんでは
どこかでパチんと、弾けて遠くの空まで飛んでいく
のを期待している自分もいる
何かがひとつその日は足りなかった
いつものあれだ
友達の言葉、近所への挨拶、近くのスーパーの入り口に置いてあるトマトの赤色
なにかパッとするものが欠けた
私の中のひとつのピースが泣いている
いつも側にあったはずの大切なもの
そんな日に限って教えてくれた、君はおらず
私は一人で空を見上げている
雲の流れ方は流動的で
予測なんて出来ない
いつか昔聞いた話、うろこ雲が目に入った時は
いいことが起こるよ、なんて
嘘だったのかと疑い落胆する
なんでもない日
街に人がいて、いつものお店は明日が定休日だ
期待と不安が風船のように大きく膨らむ
まるで赤い紙風船が、人の息に触れて大きくなるように
あたたかい
なんでもない一日は
何かが起こりそうな日
そんな日に限って靴下の片方が見当たらないし
ベランダに干した洗濯物は風に吹かれ
一枚白いシャツが空を舞って飛んでいった
何かがひとつ足りない
なんて、私がすべてを白紙に戻したいだけ
そんな我儘はこの世の中に通る訳がない
積み重ねてできた物にこそ、本当の意志が宿ると
気付いたいまに
先程飛んだ、ベランダの白いシャツを探しに
玄関の扉を開ける
あったこれだ、くしゃくしゃになりながら草陰の中に埋もれていたそれを手に取り鼻水をすすった
人生白紙になんてできない
なんでもない日が一日をつくる。
仕事終わり白米をかけこみ、漬物を噛んだ。
お酢の匂いが口を通して鼻いっぱいに膨らみ
私は深く安堵する
今日も一日お疲れ様でした。と
欠けたものひとつのピースが何であったかを
頭の中で考えながら
目の前のテレビの中の芸人さんはえらくひどく
笑い転げて笑っている
おわり.
「人生は白紙に戻せない」何でもない一日が愛おしくなる。心に沁みる、日常の断片。 #note
♩.•¨•.¸¸♩.•*¨*•.¸♬♩.•¨•.¸¸♩.•*¨*•.¸
お世話になっています¸♩.•*¨*•.¸
お読みいただいて、ありがとうございました。
こちらの記事は#風まかせ文芸部 さんの企画に
投稿させていただきます。
宜しくお願いいたします。
風まかせ文芸部|ふわっとことばあそび【白紙】|i 様
♩.•¨•.¸¸♩.•*¨*•.¸♬♩.•¨•.¸¸♩.•*¨*•.¸
