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ヴァイオリンを始める前に

ヴァイオリンを習おうと決意した時に
・・・そういえば実家にヴァイオリンがあったなぁ
と思い出した。

そのヴァイオリンは黒いがっちりしたケースに入っていたが、母が幼少の頃、船長をしていた父親がドイツに行った際に娘へのお土産に買ってきたものだったらしい。
しかし母は習うことなく、そのままずっと忘れ去られたまま押し入れに眠っていた。
ヴァイオリンというのは弦の両側にf字孔が空いているが、その穴からのぞくとstradivari(ストラディバリ)と書かれてあったのだが、兄が
「あのヴァイオリンは高く売れるぞ!」
なんて言っていた。

押し入れにケースごと入っていたそれは、弦も張られていないし、使えるかどうかもわからない。
早速楽器店に持って行って査定してもらったが、とても残念な結果だった。

ストラディバリであることは確かだったが、それはおそらく昭和初期か10年代辺り、量産されていたタイプで、高価なものではなかった。
しかも、当時ドイツのストラディバリを生産している会社は、日本に下請けに出してヴァイオリンを作らせていたそうだ。
その事実にも驚いたが、恐らく日本のヴァイオリン会社はその時の技術を習得し、独自に日本製の良いものを作れるようになったのではないかと思った。

因みに私も後から知ったことだが、あの有名な名器「ストラディバリ」は、イタリア人のストラディバリウス作がオリジナル。
後にドイツの楽器店がその有名なストラディバリの木型を、許可を得て作り、それらが「ストラディバリ」モデルとして売られているようだ。

さて、我が家にあったストラディバリは大きくひびが入っていた。
東京大空襲の池袋を逃げ回った経験のある母であるから、ヴァイオリンもそれなりに大変な目にあっての負傷かもしれない。
楽器店の話では、直すのに14,5万かかるし、直したところでよい音が出るようになるかも疑問だと言われた。
とても残念だったが諦めて、私は新たに中古ヴァイオリンを購入したのだった。

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