【短編物語】旅するクジラ #3つのお題に空想のひらめきを
みかんさんの企画に参加させていただきます。(企画のイラストをお借りしています)
●ファンタジー
お題①:「風船で旅するクジラ」
***
昔むかし、海を旅するクジラがおりました。
生まれた海は、サファイアブルー。
サックスブルーの海を渡って、真っ白な氷河の輝きを反射するシアンの海を見て。
インディゴに染まる地底から、ネイビーブルーの深海をのぞき。
南の海では、どこまでも続くセルリアンブルーのに目を奪われて……。
旅は、毎日幸せブルー。
どこもかしこも、ため息が出るくらい、素敵な青色に染まる美しい海で……。
ーーあぁでも。何度も行ったり、あちこち泳いで向かうには、もう骨が折れる。どうにか一望できる方法はないだろうか……。
旅好きクジラは、一人悩みを抱えておりました。
そんなある日のこと。
夢色の風船を膨らませる、小さな舟に出会ったのです。
「素敵な風船ですね。何をしているのですか?」
クジラは、舟人に話しかけてみると。
『不思議な風船を手に入れたんです』
舟人はコッソリ秘密を教えてくれた。
これは不思議な風船で、夢見る力が大きければ大きいほど浮力が働く……というものらしい。
舟人は、『気球や飛行艇のように空を飛んでみたい』と、夢を語った。
でも……風船は舟人を浮かせるので精一杯。
ーーあっ、いいことを思いついたぞ!
クジラは、うつむく舟人に申し出てみた。
「一緒に旅に出ませんか?」
クジラの夢は壮大で。
あっという間に舟を乗せたまま……ふわりと宙に浮き上がった。
ふと見下ろした海は、太陽の光を反射して、チカチカ金の色を煌めかせていた。
「これはすごい!」
いつもとはまた違う海の姿に、クジラは嬉しくなって、つい喜びの咆哮を上げる。
その声に、風船は、更にぐんぐんと空高くのぼっていく……。
「さあ、冒険に出かけよう!」
今度の旅は、きっと、今までのどの旅よりも、不思議で満ちているのだろう。
空飛ぶクジラは、三日月の浮かぶ星空を、力強くぐんぐんと泳いで行く。
七色の海を見下ろすために……まずは故郷に舵を取る。
夢で、胸をいっぱいに膨らませて……。

みかんさん、ありがとうございます☺️
