【短編物語】 したたかに笑って〜アマノ文筆クラブ〜
甘野さんの企画に参加させていただきます。
お題…『したたかに笑って』
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きつく抱きしめ合う……互いの吐息だけが、耳に届いていた。
むんと辺りに立ち込めるのは、濃い血の匂い。
それは……つい先程まで、敵だったものたち。
または、味方だった者たちの……成れの果て。
互いの身体は、その返り血で赤く染まっていた。
どちらともなく叫び、最後に打ち合った剣と剣がきれいな音をたてたのは覚えている。
……まるで、それが合図のように。
2人で乱舞を舞うように、剣を繰り広げ全ての命を壊滅させた。
ようやく見つけた愛しい人と、共に生きるため。
全ては……長年の切望の上にあった。
だが『仕方がなかった』などという言い訳をしようとは思わなかった。
これが最善の策だと言い聞かせ、自分が負った罪を……那茅にも同じく負わせてしまったのだから。
「ごめん……」
その思いは、口をついて出てきていた。
でも。
「……何、言ってるの?」
耳元で……那茅は、不思議な声音でそうささやいたのだった。
「世の中、理不尽だし思い通りにならないし、傷つくことばかり。ずっとそうだったじゃない。……だからみんなも、泣きたいなら泣けばいい。恨みたいなら恨めばいい」
声には、わずかに苦渋の響きがにじんでいる。
ここに至るまでのいろいろを思うと……確かにその通りだ。
するりと腕から逃れるようにして、那茅はうつむいていた顔を上げた。
「でも、四の五の言ってても仕方がない。もう選んでしまったんだもの。この際私たち、したたかに笑って生きていきましょう」
それは、とても前向きな言葉で。
迷いのない瞳をしていて。
彼女は、自らの意思でこの道を選んでくれたのだと……そう思えた。
……ふっと、肩の力が抜けていく。
今まで会えなかった苦しみも、探し続けてきた苦労も、湧き出てきそうな後悔も。
全て、半分以上持っていかれたような気がしてしまう。
「明日も、その次の日も、そのまた先も……。私、幸せになってやるんだから」
そう言って笑う那茅の顔は、血まみれなのにとても美しくて。
もう過去を全て断ち切ったように見える彼女に、底しれぬ強さを感じた。
……だからこそ、自分は彼女を求めたのだろう。
那茅でなければだめだと思った。
自分に空いた穴は、二度と塞げないと思って。
ようやく見つけて、救い出せたと思ったのに。これでは、助け出されたのは自分の方みたいではないか……。
「うん、幸せにする。2人で幸せになろう」
カッコ悪いような気持ちを取り繕うように、しっかり思いを込めた声で、そう告げる。
「3人よ」
那茅は満面の笑みをたたえた。
「………え?」
「3人。あなたの、赤ちゃん」
「は?」
「産まれたのよ」
「ええぇっ!?」
とんでもない告白に、頭は真っ白だ。
身に覚えはないことはない。
ーーでもそれって……えっと……。
ただ、急なことに気持ちは全くついていかないし、完全に思考は停止状態だ。
「早く!茅那が待ってるわ。預けたままなのよ」
こちらにお構いなしといった様子で、那茅は手を差し伸べる。
その笑顔は……なぜかしたたかに見えた。
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むかーし書いてた…懐かしい話のスピンオフです😅。厨二病😂💦
甘野さん、紹介ありがとうございました😊
