【短編物語】#せりふ三題噺(いちご、パジャマ、文鳥)
はらとけいさんの企画に参加させていただきます!
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うちに……居候がきた。
いや、来たというのはおかしいか。
終電間近の電車の中で騒ぐ酔っ払いが、まさかの知り合いで。
放っておけずに店に連行したのだ。
『夏休みいっぱい、こっちで住み込みのバイトを探して、お金を貯めるんだ!』
なんて言ってる若者のことなど、放置しておけばいいのに。
それが……甥っ子の幼馴染の同級生。
しかも親族の子だから……そうもいかない。
ーーだいたい、なんでこんなとこまで出てきてるんだよ。
田舎育ちの、わがまま、身勝手、傍若無人な一族のお姫様……。
それを具現化したような女子高生。
加えて、世間知らずと来た。
ーーっていうか、酔っ払いなんてアウトだろ……。
そんなのを……世に野放しにしておくわけにはいかない。
それで……今に至る。
カフェ・ケニアの2階は住居になっている。
もともと甥っ子を呼ぶ予定でいたから、部屋にも空きがある。
甥っ子はさっさと下宿先を見つけ、ルームメイトと楽しくやっているようだから……その空き部屋も、しばらく使う予定はない。
そう伝えたまではよかった。
「いいの?助かる〜!ありがとう」
さすがは結衣というのか。
警戒心のけの字も、遠慮のえの字もなく。
当たり前のように部屋に入っていった……。
ドタン、ガタン……ドス!
朝っぱらから、何やら大きな物音をたてている。
ーーおい……滞在って、夏休み中だけだよな?
……何というか、嫌な気しかしない。
もうここは、保護者としてひと言ガツンと言ってやらねばと……部屋の前に立つ。
ーー引っ越しおめでとう!なんて言うつもりないぞ……。
荷解きも、何一つ手伝うつもりはない。
ーーだって近所迷惑だろ……。
……ただ様子が気になっただけ。
コンコン……。
「結衣?何してる?」
ふいに静まり返ったっきり……応答がないのも気になり、カチリとノブを回す。
……それでも。何の反応もない。
「結衣、開けるぞ?」
ドアを開けた瞬間……。
「ヤスさん助けてぇっ!」
急に抱きつかれた。
ふわふわの……パジャマだろうか。
水玉柄かと思ったら、白い文鳥の模様。意外と可愛いもの好きらしい。
その、甘い柔軟剤の香りに包まれる。
……が。
結衣の方は一大事といった様子だった。
「ど……同居人と格闘してたっ!何あの業務サイズッ」
必死の形相で訴えられても……何がなんだか、よくわからない。
「……何のことだ?」
「あれだよ!カブトムシとかコオロギに似てるけど、全然違う『G』!もうっ、名前まで言わせないでっ!」
……涙目で言われてもだ。
ーーいや、業務サイズって何のことだよ……。
結衣が震えながら指さした方向を、とりあえず見てみる。
さっそく部屋干しをした洗濯物なのだろうか。
まさかのいちご柄パンツに、大きなGが……。
ーー朝っぱらから、災難だな……。
なかなか衝撃的な光景に……変なつぶやきが口から漏れた。
「そりゃ……おめでとう」
