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【短編物語】 雨を待ち、天に願う #3つのお題に空想のひらめきを


みかんさんの企画に参加させていただきます🥰。(画像は、企画のchatGPTのイラストを使用させていただきました)

🎈お題①:「百年桜」
🐾お題②:「天女の羽衣」
⏳お題③:「雨を待つ龍」

        ***

百年桜

「わぁ……仁ちゃん見て!今年も桜の花が満開!」

村外れの神社にある桜の様子を見に来た桜夜が、感嘆の声を上げた。

「そりゃあ、春なんだから花は咲くだろぅ」

そう言いつつ、仁太はあくびをかみしめる。


今日も朝からやることはいっぱいだ。

温かくなった途端に、草が元気に伸び出したから……最近は田んぼや畑の作業の駆り出される日々。
疲れて帰っても、山のような手伝いが待っている。

ーーだからって、まさか早朝にたたき起こされるとは思わなかったな。

でも。

桜夜の頼み事だ。なんだかんだ言いつつ、全然嫌じゃなかった。

朝日を浴びたばかりの空には、まだ夜の片鱗があって。

朝焼けにぼんやり浮かぶ桜は、キラキラ輝いて見えた。

……あくびの涙のせいかもだけど。


「百年桜、最後に見れて良かった……」

桜夜がつぶやいたのだが。

桜に見とれていたから……うっかり聞き逃してしまった。


「ねぇ、仁ちゃんは知ってる?百年桜のいわれ」

「いわれ?」

「昔、おばばさまに聞いたんだ……」

そう言って、朝露が光る中……桜夜は昔話をはじめた。


天女の羽衣

むかしむかし……月が青く輝く美しい夜のこと。
天女が空から舞い降りて、不思議な池を見つけた。

その池の水は、昼間でも青く青く澄み渡っていることで有名だった。

あまりの清らかさに、水につかった倒木すら、何年もの間、朽ちずに水底で横たわっていて。
それが、息を潜める龍にも見え……村人たちに神域だと恐れられていた。

天女が地に降り立ったその時。

清らかに月の光を浴びるその池は、青白い光をそのまま、鏡のように空に跳ね返していたのだった。

天女は身体を清めようと思い立った。

だが。
羽衣が濡れてしまったら、もう天には戻れない。

天女は、羽衣を木にそっとかけた。

そして、その池の水でつま先を湿らせた……その時だ。

池の中にあった倒木が光りはじめ……一匹の龍に姿を変えた。

輝く銀の鱗に、青く澄んだ石の瞳。

天女は驚き、茂みの中に姿を隠したのだが……。

龍は、静かに池を出ると、そっと池に背を向けた。

まるで、羽衣を守り天女の水浴びの番人をするかのように。

それから……天女は水浴びをしに鏡の池を訪れるようになった。

言葉は交わさない、一年に一度の静かな逢瀬。

その青い満月の日だけが、龍の楽しみだった。

雨を待つ龍

だが。

少しずつ、少しずつ雨が減り。
ひどい日照りが何年も続いた。

田畑はひび割れ、川の水は消えた。

鏡池の水も日に日に小さくなっていき……神域と呼ばれていたその土地すら、人々が踏みにじるようになった。

龍は、一人静かに空を見た。

人の行いに怒りがわくが……怒りに身を任せたら最後、空はそれに応えこの地を跡形もなく消し去るのだろう。

だが……雨は遠い。

雨雲を呼ぶのは容易いが……それは己の姿が消えること。

かの人が愛した、この土地を守る術を……龍は一人静かに思案した。

         *

「それでね……ここに、この桜の木があるんですって。ねぇ仁ちゃん、ちゃんと聞いてた?」

ふいに桜夜の声が響いて、はっと目を開いた。

ーー桜が、なんだって?

肝心なところが、すっぽり聞こえていない気がする。
うたた寝でもしたのだろうか……切ない龍の夢を見た気がした。

一人で空を見上げ、天女を待つ龍の気持ちが己のことのように思えて……涙が溢れていて。

慌てて、袖で乱暴に顔をぬぐう。

「もう、仁ちゃんてば……寝てたんでしょ?もしや、今よだれを拭いたなぁ?」

そう言われても。正直に話すには気恥ずかしい。

「そんなことねぇし!もういいから帰ろうぜ。桜なんて、またいつでも見に連れてきてやるって」

何も知らずにそう言うと……桜夜は少し驚いたような顔をした。

「私が、ここに来れなかったら?」

まだ世界はとても狭くて。
日常は同じことの繰り返しだと思っていたから……それを、冗談だと思った。

「追いかけて声かけるから、心配すんな。また一緒にここに来ようぜ」

小さな頃の、そんな口約束。

それが、自分をどんな未来に連れて行くのか……。

その時はまだ、仁太は何も知らなかった。


        ***

こちらも、書けていない本編のスピンオフみたいになりました……💦。

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