【おはなし】 夕暮れ時の台所 #3つのお題に空想のひらめきを
今回も昭和ノスタルジーで参加させていただきます。
(ChatGPTの画像を使用させていただきました)
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①「自転車と夕立」
「なぁお母ちゃん、うちなぁ、今日すっごいもん見たんやよ!」
夏子は足をぶらぶらさせながら、母の背に話しかけた。
今日はすごくいいお天気だった。
いいお天気過ぎて、何だかジメジメしていて。
お昼過ぎに、急に空が真っ暗になったのだ。
嫌な風がビュービュー吹いて。
雷もゴロゴロ鳴って。
写真を撮るみたいに空がピカリと光って。
泣いてしまう子もいた。
何より、雨がバラバラ音を立てて降って……何だか嫌なことが起きる前触れみたいで。
ものすごく、怖かった。
「でもなぁ、本当にすごいねん!帰る時になったら急に止んでん!」
真っ赤になる前のお日様は金色で。
雨で濡れた道路は、お空を映してて。
そこに金色の道が出来ていて……。
「うちなぁ、すごーくきれいやったから、その金色の道を走ってん。そしたらなぁ、何があったと思う?」
「うーん……難しい問題ね。何があったの?」
「あんな、夢中になりすぎて、おっきい車にぶつかりそうになってん!」
「……だからだったのね。それを見てたお隣の昌平君が、自転車で慌てて伝えに来てくれたのよ。
夏子ちゃん、お母さんも心配になるから、もうお空への道へは、行かないでね」

②:「アイスキャンディーの当たり棒」
「そういえばな!今日の朝、すごいことあってん!昌平にぃちゃんの弟の和弘くんがな、アイスキャンディーのあたりを出したんやって!」
今日はみんなで約束をして、10円玉を握りしめて、小林商店に行ったのだ。
「海ちゃんは海なのに桃色のいちご味にして、山ちゃんは山なのに空色のソーダ味を買うたんよ。なんかおかしいやろ?
それでな、和弘くんもソーダ味にしたんやけどな、お金で買うた後に、そのあたりくじを出してん。
そいでな、おばちゃんに「また明日も買いにおいで」って言われとったわ」
「そんなことがあったのね。夏子ちゃんは何色のアイスにしたの?」
「それは秘密や。ヒントはな……うちのが一番冷え冷えでぇ、アイスからいっぱい湯気が出とった!」
「わぁ……それは難しい問題ね」
「そんなことないよ。うちの好きな色やもん」
「じゃあ簡単。お母さん、もうわかっちゃった」
「えー、お母ちゃん早すぎやわ」

③:「母のエプロン」
「なぁお母ちゃん、そいでなぁ……そいでぇ」
「なぁに?」
「そいで……さっきから、ええ匂いするんやけど、今日のお夕飯は何なん?」
夏子は鼻をクンクンさせながら、待ちきれなさそうに尋ねる。
「それは……秘密。でもヒントはね……ジャガイモと、タマネギと、ニンジンとお肉が入ってる、あれよ」
「わぁ!それは難しいわぁ。その材料やと、いっぱい変身するやん……夏子、いろいろ思いついてしもうて、わからんわ〜」
バタバタ足をばたつかせ、夏子はうめいてしまう。
「なぁお母ちゃん、も一つヒント夏子にくれへん?」
母親はニコリと笑って、夏子の顔を見た。
「ヒントは……カレーじゃなくてね、肉じゃがじゃなくてね。……あなたの一番好きな色のもの」
「え!シチュー?今日はシチューなん?うち今日食べたい気分やってん!なぁお母ちゃんはなんでうちの思ってたことわかってもうたん?」
「だって夏子ちゃんの好きな色は白色でしょう?」
「うん、そうや!お母ちゃんのエプロンの色!だから夏子、一番っ白色が好きやねん!」
黄金色の夕暮れ時……母と夏子の台所。
窓から差し込む夕方の色。
目にまぶしい母のエプロン。
美味しい匂いに、白い湯気。
何だかそれが嬉しくて。
夏子の足もパタパタ揺れる。
それらに誘われて、いったい今日は、どんななぞなぞが飛び出すのやら。
