【短編小説】 『怨念』といえば…(つづき)
たまらず続きを作ってしまいました😅。
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……その時だ。
ガチャリ……と取っ手が回り、買い出しに行った康彦がドアのすき間から顔をのぞかせた。
背後から現れた影に、湘太がビビって「ひぃっ」と変な声を出したため……静かに怒りつつも、呆れ顔だ。
「お前たち……静かに店番できないなら、出禁にするぞ?」
そういえば今はクローズタイム……。
「マスターごめんなさい!でも違うの、さっきは湘太くんが急に叫んだから、ついつられちゃって……」
言いかけた繭子に、湘太が不満げな声を被せた。
「言いがかりだって!やっさんがいきなり背中をたたいて驚かせたからだぞ!」
「……え?」
全員の声がかぶる。
たった今ドアから入ってきた康彦は……両手にビニール袋を下げていた。
「いや、だって……背中に、ポン。……って、おいおい……」
何か言いかけた湘太が……笑おうとして、失敗する。
引きつるような、湘太の乾いた笑いをかき消すように、繭子がいつもより大きめな声を上げた。
「……今日は、おしまいにしよ!すっかり寒くなってきたし!」
「あんた、何言ってんのよ」
どさくさに紛れて湘太の腕の中を堪能した奈穂が、赤らんだ顔をごまかすように膨れて見せる。
「一番はじめに怪談しようって言い出したの、ユッコじゃない……」
が。
繭子はキョトンとした顔を見せた。
「え?私そんなこと言ってないよ?」
「……え?」
ほんとそうだ!と言おうとした湘太が、奈帆と顔を見合わせる。
「うん、繭子はそんなこと言ってないよ。お前ら、勝手に怪談を始めたんだろ?」
嘘を言わない遭汰のひと言に、二人の顔が青ざめていく。
「あ……」
急に聞こえた泰彦のつぶやきに、その肩がビクビクとふるえた。
「……っていうかさ。もう、これ以上呼び込まれると困るんだけど」
一瞬。店の隅へ視線を彷徨わせた、康彦のその追い打ちをかけるような言葉に。
二人は青い顔のまま、無音で片付けをしたかと思うと。競い合うように、店を走り出て行った。
さすが体育委員の夫婦コンビと言いたくなるような……疾風の如き素早さだった。
「店のチラシ、配るの手伝ってくれないか?そういえば、賢也が勝手に置いて行ったんだった」
店の隅にあった紙の束を手に、康彦が振り返ると……二人のその姿は、もうすっかり消えた後で。
「ん?……あいつら、急にどうした?」
どこか抜けているいつものマスターっぷりと、諸々の絶妙とも言えるタイミングの良さに。
遭汰と繭子は同時に笑い出してしまった。
