第2章 ⑱ 主人の「ごめん」を聞いて頭が真っ白になった
「ゴホン、ゴホンッ」
何だか変な咳をしているのが気になった。
病気になる前、主人はタバコを吸っていて、たまに咳をすることはあった。
でも、その日の咳は明らかに違った。
耳に残るような、嫌な咳だった。
病院の予約が取れたのは、それから1か月半後だった。
先生も忙しく、なかなか予約が取れなかった。
主人自身も、その咳が気になっていたんだと思う。
ようやく予約が取れて、少し安心していた。
当日は私が車で送る予定だった。
でも、娘の皮膚科の予約と重なり、主人は一人でバスで病院へ向かった。
私はバタバタと用事を済ませ、お昼前に帰宅した。
娘は車の中でぐっすり眠っていた。
起こさないようにそっと抱き上げ、布団に寝かせた。
まだ、主人から電話がない。
メールも入っていない。
いつもなら診察が終わると、状況をメールで知らせてくれるのに。
「どうしたんだろう……」
理由もなく胸がザワザワして、落ち着かなかった。
気を紛らわせたくて、家中をいつも以上に丁寧に掃除した。
それでも、胸のざわつきは消えない。
ガレージからほうきとちりとりを持ってきて、玄関の掃き掃除まで始めた。
その時だった。
「ブーブー」
携帯のバイブレーションが鳴った。
主人からだった。
電話に出ると、聞こえてきたのは震えるような声。
「ごめん……」
その一言で、胸がザワザワしていた理由が分かった。
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