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第2章 ㉔ 主人が生きるための正しい選択とは


「そうですか……。」


「少し、夫婦で考える時間を下さい。」


そう言って、主治医との話し合いはいったん終わった。


病室へは戻らず、誰も居ない談話室へ向かった。


しばらく、お互い何も話せなかった。


ようやく主人が口を開いた。


「手術するにしても……。」


「うーん……。」


また沈黙。


「500円玉くらいの腫瘍がさ……。」


深いため息だけが聞こえた。


私も主人も答えを持っていなかった。


主治医から提案されたのは、両肺の手術だった。


新しい抗がん剤の効果は、思うように出ていないと突きつけられた。


腫瘍マーカーは少し下がっていた。


でも、肺にある腫瘍の大きさは、ほとんど変わっていなかった。


「こちらとしては、両肺の手術も視野に入れています。」


どこかで厳しい話になることは想像していた。


ただ、その言葉には続きがあった。


「両肺の手術になるため、長時間の手術になります。」


「そして、手術が成功したとしても、今後は酸素が必要な生活になる可能性があります。」


頭では理解している。


でも、心が全く追いつかなかった。


その場で答えなんて、出せるはずがなかった。


「少し考えさせて下さい。」


そうお願いして、数日間、夫婦で考え続けた。


仕事は続けられるのだろうか。


娘の運動会には行けるのだろうか。


家族旅行は。


寝る時も酸素をつけるのだろうか。


それに、娘との思い出の写真に写る主人は、いつも酸素をつけているのだろうか。


考えれば考えるほど、


何が正しいのか分からなくなった。


主人のためになる選択は、どれなんだろう。


答えは、何日経っても見つからなかった。


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