文法は「必要か不要か」ではなくて「いつやるか」が重要な気がする件
私が第二外国語の学習に手を染め始めてからたっぷり20年ほどが経過しました。で、この間に私が考えるようになったのは「文法という概念が如何にトリッキーな存在であるか」ということです。
インターネッツを見ていると、「文法は不要」みたいなことを言う勢力と、「文法をがっつり覚えなければならない」みたいなことを言う勢力が併存しています。
前者は「ネイティブスピーカーは文法なんていちいち考えてない、ネイティブスピーカーの子供は文法なぞ習わなくても話せるようになる」などと宣い、後者は「非ネイティブはネイティブの子供とは違う!文法をちゃんと勉強しないと浅い英語しか話せなくなるぞ!」などと謳います。
で、私がどちらに与するかというと、どっちもそこそこ正しく、どっちもそこそこ間違っていると思っています😇
というより、「文法」という概念自体が多分誤解されていることが多いと思います。
「文法」はあとづけである
まず、これは結構見落とされがちなのですが、「文法」というのは「あとづけで言語を描写するもの」なんですね。「文法規則がまず存在して、言語はそれに従って構成される」とかそんなんじゃなく、まず生の言語が存在して、それにあとづけでああだこうだと場合によっては半ばコジツケのように説明をあとからつけていったものの総体を「文法」と呼んでいるわけです。
だから文法書をどれだけ完璧に覚えて作文をしても、ネイティブスピーカーには「文法的には正しいけどそんな話し方するやつはいないよ^^」とか言われてしまうわけです。実際に言語でやり取りをする際には、場面、文脈、空気、人間関係、その他諸々の要素が絡み合っており、文法だけでは手に負えません。
私は以前日本語の「は」と「が」の使い分けに関する説明をいろいろな本で読んでみたことがありますが、正直に言うとどの説明も「ほんとぉ???」としか思えないものでした。どれも例外を挙げようと思えばいくらでも出てくる気がしてしまって。
「は」と「が」の使い分けがきっちり明確に説明されているのであれば、その説明を見れば誰もが使い方をマスターできるはずです。そんな説明があるのであればこれらの格助詞の使い方で混乱する外国人はいないはずですが、どうもそんな状況にはなっていないようです。
日本人同士で「すごくおいしい」を「すごいおいしい」と言ってもフツーに通じます。むしろ「いやいや、『すごいおいしい』って文法おかしいよ?正しくは『すごくおいしい』だよ?」とか言う人がいたらたちどころに友達がいなくなるでしょう。
他にも「ら抜き言葉だ!」とか「さ入れ言葉だ!」とか「〇〇させていただきます」は文法的におかしいとか色々言われることもあるのですが、結局使われる頻度が多くなって普通に通じるようになればそのうち辞書や文法書にも載るようになるわけです。
テレビを見ていてもニュースキャスターが普通に格助詞間違ってたりするし、一般市民が取材を受けて喋ってるのとか聞いてても文法的におかしな言い方がいくらでも出てきますが、それでも私達は普段そんなことをいちいち意識していません。
私は最近中国語をやっていますが、「了」という語の使い方が文法説明だけでは全く納得が行かず、「これはもう大量に中国語を読んで聞いて感覚で覚えるしかないやつだな」と思っています😇
自分で作文して中国AIのQwenさんに色々教えてもらうのですが、「なんでこれがOKなのにこっちはだめなんや・・・」みたいなことがしょっちゅう起こります。文法書で系統立てられた説明を見ても、「結局何でもありなんじゃないか??」という不完全燃焼感が募るだけという有様です。
Qwenさんが一通り説明してくれたけど正直区別がさっぱり分からないから「これもう実践通して慣れるしかねぇな」みたいなことを(中国語で😂)言ったところ、↓のような提案をしてくれて即採用です😇
1️⃣ 听到带"了"的句子 → 暂停 ⏸️
2️⃣ 小声模仿说一遍 🗣️
3️⃣ 想想:这个"了"是"完成"还是"变化"?🤔
①"了"が入ってる台詞が出てきたら一時停止
②真似して言ってみる
③この"了"が「動作の完了」を表すのか「状態の変化」を表すのか考える
下段の日本語訳はワイ
ドラマの台詞で出てくる「了」を片っ端から狩るという画期的な提案です。なんやかんやでこれで慣れるのが一番早そう。
若干話が逸れましたが、要するに「ある言語の構成を文法だけで全て説明する」というのはほぼ不可能なんじゃないかということです。どうしても例外や感覚的にしっくり来ないものが出てくる。
とはいえ、じゃぁネイティブの子供みたいに大量に聞いたり話したりする中で全ての文法事項を習得しろと言われてもそれは時間的にも環境的にもほぼ無理な場合が多いです。
ではどうしたらいいのか?
最初にざっと洗う→あとは実用に全振り
私は今の中国語学習でも中国ドラマや中国語のニュース記事、中国AIとの中国語でのチャット等などとにかく実用を重視して学習を進めています。
しかし、じゃぁ全く何も知らない状態で始めたかと言うとそういうことはなく、過去には中国語の初級文法の本を最初の方だけやって飽きて止めたり、NHKの「テレビで中国語」を半年くらい見て飽きて止めたりとそれなりに(?)中国語文法に触れてきました。ピンインの読み方は半年前にYoutubeで真面目にやるまで超デタラメでしたが。
英語で言うと、実践するにしても流石にaとかtheとかbe動詞、「主語+動詞」の文型とかそういうのを全く知らない状態で突撃をかますのは苦しいので、基礎文法の薄い本をさっと一周してその後実用に行くのが良いと思います。
この基礎文法の本は練習問題とか全部すっ飛ばして書いてあることをほとんど忘れても構いません。とりあえずどういう概念が存在しているかちらっと認識して、実用してる中で必要に応じて知りたいことを調べられればそれで良いです。TOEICの文法問題で満点取れるまでとかそういうスタート地点を無駄に遠くに置くようなことはしなくてよいかと。
「実用」というとスピーキングのことだと思う人が多いかもしれませんが、最初の頃はリーディングやリスニング等のインプット優先です。私も去年中国語を始めてから半年くらいはITニュースに含まれているAI関連の専門用語をノートに抜き書きしたり、ドラマを見て台詞を解読したりそんなことをしていました。
数週間前から中国AIのZhipuとQwenのアカウントを作って中国語縛りでチャットしたりしてちょっとずつアウトプットの練習もしています。
で、この時に「文法を覚えるのに一番いいタイミング」が私の中で確定した感があります。
既にある程度のインプット量があって、かつ自分でもアウトプットしたい時がベストタイミング
はい、個人的にはこれが文法を覚えるベストなタイミングだと思います。
私には以前、「文法書や辞書で必要な文型や単語を集めて作文をしまくれば文法も単語も勝手に覚えられるだろう」と思っていた時期があったのですが、結論から言うとこれは間違いでした。ロシア語とかポルトガル語とか結構色んな言語で試したのですが、この方法だと少し放置するとまたたく間に単語も文法も自分で書いた作文も全部脳内から消滅します。
「色々な単語や文法で実際の文を作っていけば、いずれそれらがつながって文法の体系的な知識になるだろう」と思っていたのですが、これは高望みでした。文法体型を網羅できるような量の文をゼロから大量に作るというのは相当に難しかったです。
この問題を打破する方法は韓国ドラマを通して覚えた韓国語で偶然見つかりました。
まず、最初に実際の場面や文脈を通した大量のインプットをしておきます。そうすると、頭の中に実際の文や単語、構文、それらを組み合わせて作った表現などが文脈とセットで大量にストックされます。
この段階でアウトプットをしようとすると、自分のよく知らない文法や間違って覚えていた文法などが次々と炙り出されてきます。聞いたり読んだりしている時にはなんとなく理解できていたことも、自分で言ったり書いたりするには正確に使い方を知っている必要がありますから、分からなかったらそれが際立ちます。「どうやって言うんだっけ?」と疑問がつのります。
で、AIに聞くなり辞書や文法書で調べるなりすると、「あー!なるほどね!」みたいになる。そんな感じで一度分かるようになると、「そういえばドラマの台詞に同じ構文のものがあったな」とか「先週あたりに読んだニュースに同じような表現が出てきた気がする」みたいな感じで、調べて出てきたものが単体ではなく、既に頭の中にあるインプットに紐付けられて記憶に残るわけです。実際にその表現が出てきたドラマのシーンやニュース記事などを改めて見るとなお良しです。
文法書でゼロから順番に文法をやっていくという勉強法の問題点は
・文脈がない
・与えられた順番で受け身的にやるので、そもそも「強烈に知りたい!」という動機がない
・バラバラに覚えるだけで既存のインプットとの紐付けがない
↓
退屈&すぐ忘れる
これです。私は脳科学が云々とかそういう難しいことは分かりませんが、よく考えたら逆にこれで覚えられる方がすごい、みたいな要素のフルコースです😇
韓国ドラマは日本語字幕がついたものを大量に見てある程度分かるようになったのですが、韓国語字幕が全くない状態で見たので分かるようになるまで相当時間がかかりました。
一方、ここ半年くらいで見た中国ドラマはたった2つ(両方とも45分×35話)なのですが(あと映画も7タイトルくらい見ました)、全ての台詞に中国語字幕がついているという神がかった仕様のため、知りたい台詞は辞書引き放題、意味も発音も調べ放題で天国です😂 韓国ドラマでは複雑な台詞を聞き取れるようになるまで色々なタイトルを1000時間くらい視聴しましたが、中国ドラマは少ないタイトルでいくらでも学習が出来るので韓国語字幕がなかった韓国ドラマより学習効率がかなり良いです。
まとめ
「文法は不要!ネイティブの子供は文法なんて考えずに覚えてる!」という説は半分は正しいと思われます。「とりあえずインプットぶっこみ→その後アウトプットする時にインプットと紐付けて丸ごと使える表現を増やしていく」というのを繰り返せば、文法についてうちゃうちゃ考えるのを最低限に抑えられます。とはいえ、ネイティブスピーカーは文法を知らぬ間に覚えるだけで、知らないわけではありません。
その一方で、「非ネイティブは文法をちゃんとやらないと複雑な文を使いこなせない」という主張も正しいと思います。文法を全くのゼロからインプットだけで全て身につけるというのは非現実的です。しかし、この手の主張をする方々は文法書や試験勉強を過度にやり込みすぎる傾向があるように私には見えます。
私的には(語学学習に文法学者的な楽しみを求めている人を除いて)文法書を覚えこもうとする時間があるのならインプットであれアウトプットであれ、実際に使ったほうが最終的には定着しやすいのではないかと思っています。
この方法は序盤にはまどろっこしく感じられますが、ひとたび文脈、文法、構文、単語、その他の表現などがひとかたまりになって脳味噌に蓄積されると記憶の維持がかなり容易になるのが美味しいところです。
去年数ヶ月放置してからベトナム語のニュース記事を読んだ時があったのですが、長い間ベトナム語をろくに読んでいなかったにも関わらず特に問題なくニュースが読めました。
韓国語に関しても、韓国ドラマとKpopコンテンツを多分もう2000時間以上は見ているので、半年や1年放置して韓国語をきれいサッパリ忘れる、みたいなことは多分出来ません😇
アウトプットに関しては放置するとちょっと出が悪くなりますが、何日かトライしていればそのうちある程度カンが戻ります。以前ベトナムに行った時、初日に英語で話そうとして「Yesterdayが思い出せない(地獄)」みたいな状態になりましたが、3日後くらいには「The owner told me to ask you that」みたいな言葉が割とスラスラ出るようになりましたから、多少リハビリが必要でも完全に忘れるということはないです。
今回は文法に絞って話をしたのですが、ぶっちゃけ単語でもフレーズでも基本的には文法と同じだと思います。実物をガンガン脳味噌にぶっこんであとは未知の表現をそれらと関連付けて雪だるま式に増やしていく感じです。
序盤はインプットに全振りでろくに話したり書いたり出来るようにならないので続かない人は続かないかもしれませんが、私の場合はドラマとかニュースとか自分の好きなものを延々と見てる分にはそこまで苦痛にならなかった感じです。
といっても恋愛ドラマとかコメディとかは緊張感がなくて私には全く面白くないので、大体序盤のインプットは日常からかけ離れた物騒なジャンルに偏りがちなのですが🤣(今中国語で毎日見てるドラマなんて登場人物が軍人とマフィアしかいないぜ!😂)
どうしてもすぐにアウトプットがしたい場合は文法書を2週間〜1ヶ月くらいで2〜3周して(実物のインプットがないので、そこを多少なりとも埋めるために練習問題の類も全部解きます)その後直ちにアウトプットに全振りすることが多いですが、この場合は飽きてしばらく放置すると学習内容が全てあの世に旅立つことを前提にしています😂(と言っても、これを3回以上繰り返すと流石に幾ばくかの知識はずっと頭に残るようになります。が、1回だけではほぼ全部記憶から消滅する印象です😇) 記憶維持の要は序盤にどれだけ意味のあるインプットを貯められるかな気がします。
「まとめ」って章題なのに全然まとまってないっすね(白目)
お礼

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