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【タイドラマ】Until We Meet Againがやはり良すぎるという話

なぜ今更。否、今だからこそ敢えて言わせてくれ、「Until We Meet Again~運命の赤い糸~」はやはりタイドラマでも最高傑作の一つである、と……。
布教などと自分の技量に余る大それた話ではなく、再見して生まれたこの溢れんばかりのクソデカ感情をただただ昇華させて頂きたい。
よってネタバレも含むのでこれから視聴しようかという方には注意されたし。

コロナ渦に「タイ沼」にまんまとハマって早5年。とはいえここ2年程はジオブロや版権の高過ぎる壁に阻まれ特定の俳優さんの同行をチェックするくらいで、ドラマは追えていなかった。
が、直近に念願のタイ旅行を控え、久しぶりにタイ沼につかりたい欲求に襲われ、とりあえず円盤を持っている表題の名作、「Until We Meet Again~運命の赤い糸~」を引っ張り出してきたわけである。


冒頭10分で泣ける!?本作のあらまし

「Until We Meet Again~運命の赤い糸~」、略称「UWMA」。表記では短くなるけど「ユーダブリューエムエー」と口にすると全く略称にならないよなとどうでもいいことを思い続けている。

さて、日本公式の作品概要は下記の通り。
”大学に入学したパームは、友達になったティームとマナウに誘われ、水泳部の入部テストを見学することに。しかし、水泳部のキャプテンであるディーンを見た瞬間、胸が締めつけられる感覚に襲われたパーム。ディーンの存在が気になるも、彼と会うのを怖がっていた。一方、ディーンは水泳部の入部テストの見学に来ていたパームを見て、理由も分からず目頭を熱くする。偶然にも合宿の買い出しに来ていたスーパーでパームを見つけたディーンたが…。見つめ合う2人の頭の中に浮かぶのは、幼い頃から探し続けてきた、夢の中に現れる“誰か”の存在だった。”

当時、「冒頭10分で泣ける!」という謳い文句で話題になっていて、「開始早々感動させられるなんてそんなことがあるわけ」と見始めたわけだが、事実、私も泣いた。しかしそれは思っていた「感動の涙」ではなく、そこに待ち受けていたのは「絶望」だった。
今回、数年ぶりに見直して改めてこの恐ろしい手法が心に刺さる。むしろ、ストーリーの全容を知って時間をおいた今の方がより深く刺さった。

では具体的にどこがどう良いのか、自分なりに整理しつつ述べていきたい。

とにかくストーリーが良い

ボキャ貧オタクが通ります、失礼。なんともIQの低そうな小見出しになってしまった。しかし、やはりこの作品の最も評価されている点は緻密なストーリーではないだろうか。
(あえてする必要もないが)例え主人公が男女であっても十二分に楽しめる内容、と何年か前に読んだタイドラマ紹介雑誌で、本作の監督もインタビューで言っていた。と思う。

本作品は所謂「転生もの」。ただし、かつて愛し合った二人がただ転生して再び出会い惹かれあうだけ、ではない。前世の二人(コーンとイン)とその生まれ変わりである二人の主人公ら(ディーンとパーム)とには強い繋がりがあり、シリーズを通してその繋がりが明らかになっていき、その事実が主人公らに重く、試練としてのしかかっていく。
時間を扱う物語では「それは無理があるだろう」という強引な設定に出くわすことが少なくないが、本作では緻密な設定と、その設定が構成や役者の演技を通して丁寧に表現されており、知らず知らずのうちに世界観に引き込まれている。
現代のストーリーを主軸に、前世の記憶が断片的に、時系列もバラバラに出てくるのだが、その記憶が徐々に繋がっていき現代とリンクしていく様も見事である。解説めいたセリフや場面が特にあるわけでもないのにすんなりと心に入ってくるのだ。
また、断片的に露になるからこそ、それら一つ一つの記憶の重みが増しているように思う。

例えば、物語序盤第3話でディーンとパームが自己紹介をし合うシーンがあるのだが、その中で「海辺と川が好き」「僕もです!」と二人の共通点が発覚する。ただただ初々しく可愛らしいこの場面だが後の第8話にて、インの猛アタックの末、前世の二人が結ばれるシーンがある。ロケーションは……海……。
「だ、だからか~~~~~~!!!」
「コーンは多くは語らないけれど、ディーンが潜在的に”海が好き”ということは、コーンにとってもこの瞬間はとても幸せでかけがえのないものだったのだ」とたまらなく胸を締め付けられた。一見不規則で実は緻密に計算された演出によって過去と現代がリンクする。憎すぎる。

先に触れた「前世二人と現代の二人の強い繋がり」に関しては、初見ではやや複雑に感じたが、決して無理やりだとは思わなかった。真実に辿り着くまでの過程が丁寧に描かれているので、作者の表現したかったものがズンと心にのしかかる。当然、あくまでも私の解釈だが。
――コーンの生まれ変わりであるディーンがインの名前と指輪を受け継ぐこと、インの生まれ変わりでありコーンの家系に生まれたパームがそれらを受け止め「許す」ということ。
そして運命の最終話――やはり試される「コーンとインの生まれ変わり」としてではなく、「ディーンとパーム」としての本当の想い。
あまりに最後の最後にこの流れを持ってくる(最終話の残り30分で切り出される)ので最後まで気が抜けない。
とはいえ、ディーンとパームは端から人格や精神が形成されているのでその点の危うさや心配は見ていてもほぼない。この二人なら必ず乗り越えてくれる信頼と実績がある。
強いて言うなら、パームがインに同調しすぎているな、という場面が随所にあったが(そしてしっかりそのフラグも回収され、震えるようなフルたんの演技を見せつけられるわけだが)それもパームの優しさ故だろうな。

ただ、強い二人ではあるがどう乗り越えるのか。
そこで見るコーンとインの夢ーーしかし今までとは明らかに異なり、記憶ではないインとコーンの夢――パームの目の前に幸せそうに笑い合う二人がいる。そしてインがパームを振り返り「ありがとう」と告げ、旅行に行こうとインとコーンは部屋を去っていく……。
初見はなんと嗚咽したものか。まぁ改めて見てもしっかり大号泣だったが、当初よりやや冷静さをもって見るとやはりエグいことしてるなこの作品と思った。
16話〜17話にかけて怒涛の展開、明かされる二人が死んだ後の話。
こんなにみんなが救われる方法があるのかと。インとコーン、ディーンとパーム、その周りの人々、そして視聴者までもが救われる。
緻密な設定とストーリー、それが丁寧に表現されることによって成し得たところだろうな。

優しさにあふれる台詞回し

台詞回しは、なんというか……心地よい。とても優しいのだ。
私が最も好きなシーンの一つ、ディーンが自身の祖母でありインの姉であるPアンに会いに行き、自分がコーンの生まれ変わりだと伝える場面。
自分の恋人が男性であることを打ち明けた瞬間、恐らくインとコーンの悲劇を思い出したのであろう悲痛な表情のPアンを見つめ、「何があっても絶対に命は絶たない。同じ過ちは繰り返さない」と婉曲的にコーンとインについて知っているということを言及し、「インを守れなくてごめんなさい」というセリフで自分はコーンの生まれ変わりであると伝えるこの流れが、なんとまあ……!
きっとどうなるか全く予測も付かず不安もあったはずなのに相手の表情を読み取りながら打ち明けていくディーンの強さと優しさがすごく良く伝わるシーンだと思う。
そしてPアンが「あなたにはコーンの記憶が宿っているのね」「辛かったでしょう」というセリフ……前世だとか生まれ変わりとかではなく、あくまでも”あなたは私の大切な孫のディーン”と捉えているのが伝わる。

他の重要な場面でも台詞回しでキャラクター性や、誰かを守りたい優しさが垣間見えて作品の丁寧さがうかがい知れる。

光の演出がよすぎる

見た人全ての脳裏に焼き付くであろうシーン――ディーンとパームが結ばれ唇を交わすシーンである。やさしい日差しに包まれた教室、二人だけの世界……光の射し方あまりにも完璧では?芸術と言わずしてなんと言う。
最もつらいシーンは雨、内容的にも画面的にも暗い部分が結構多い為、より太陽の温かみ、幸福感が染みるのかもしれない。

なお、本作の監督が手掛けた前作「Love By Chance」のエーとピートの更衣室でのキスシーンも同様に光の演出にも、ともすれば汗臭さ漂う男子更衣室があんなにもキラキラと輝き尊い場所になるのかと震えた。神聖さすら覚える。ああ……ラブバイチャンスももう一回見たいな……。
光の演出に並々ならぬこだわりを感じる監督である……。

尺と間の取り方が大好き

このドラマ、結構独特な間がある。人によっては早送りや10秒スキップしてしまうのでは、と思うほどたっぷり無言の時間があったり、何気ないシーンがノーカットでじっくり描かれたりしている。
放送時間の調整なだけかもしれないが、その間や尺が、日常的な場面では現場の臨場感や楽しさが伝わるし、シリアスなシーンでは独特の緊張感を生み出していてなんとも大好きなのである。
特に、図書室でパームが居眠りするディーンを見かけるシーン。パームが自分の席からディーンのいる席に静かに歩み寄るまでがワンカットで撮られていて、空間や距離感がリアルな情報として入ってくるので、恐る恐る、ゆっくりと、しかし確実にディーンに近づくパームの緊張感が痛く伝わる。
あと思わず盗撮しちゃう上にその写真をスマホの待ち受け画面に設定しちゃうパームらしくない行動が可愛いし、運命の赤い糸云々とは別に単純にディーンの顔面大好きなのでは?と勝手に考察しニンマリするオタクがいる。

タイ料理を通じて知れるタイ文化

この作品の大切な要素の一つが「料理」である。このドラマに限らず、タイドラマには食事のシーンが多い印象だが、本作は登場する料理一つ一つに大切な意味が込められているのでより興味をそそられる。もはやカイジャオ(卵焼き)やルームグルン、カノムプラパーイ等伝統菓子の方がスットヨートくんより重要な登場人物達であると言っても過言ではない。
この作品を見た後、興味本位で友人とルークチュップを作ってみた。めちゃくちゃ大変だった。
あれ手作りするもんじゃないぞ。

垣間見える雑さが愛おしい

主に音声なんですけど。急に雑音まみれになったり、衣擦れの音がめちゃくちゃ入ったりして思わずクスリとなる。
パームとディーンのクリスマスデートにて、噴水に囲まれてのキスシーン。ロマンチックな場面のはずなのにセリフとともに噴水のバシャシャシャ!という音、そして周りが結構ビチャビチャなので二人が濡れそうで心配になる。
ツッコミどころがままあるあたりもタイドラマらしさがあって愛おしい。

まとめ

その他、サブCPも良いし、ディーンとパームの恋人としてのあれやこれが確実にステップアップしてゆく様や、仲良し三人組の可愛さ等々……良~~~~と思う箇所に枚挙に暇がないのだが。
とりあえず一通りクソデカ感情昇華できて満足したのでタイ旅行の支度と訪問可能な聖地がないか改めて精査してこよう。


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