なぜ、後輩看護師は翌日から変われたのか?━━めっちゃ単純な「5つ」の手順
夜勤でも日勤でも、「仕事できる人」って、手技が上手いだけじゃなくて、話しかけやすい人じゃないですか。
あの「話しかけやすい空気」があると、後輩は早めに相談できますよね。
確認も増えます。
結果として、連携のズレが小さいうちに見つかりやすくなります。
この記事では、後輩が落ち込んでいた日に、僕が人のいない場所へ誘って「聴く」に徹した話を書きます。
うまくいった点だけじゃなく、HSP気質のせいで入り込みすぎて自分がしんどくなった失敗もそのまま出します。
最後に、明日から真似できる手順と、失敗しやすいポイントも置いていきます。
後輩が落ち込んでた日、何が起きていたか
その日、後輩の顔がずっと硬かったんです。
動きが小さくて、記録もいつもより遅い。
で、「大丈夫?」と聞いても、「はい…」で終わる感じでした。
申し送りの場面も、声が小さかったです。
質問が飛ぶと一瞬止まって、言葉を選んでいるのが僕には分かりました。
ナースステーションに人が多いほど、余計に黙ってしまうタイプだな、とも感じていました。
そのとき頭に浮かんだのは、「困ってる内容」より先に、話しかけにくさのほうなんじゃないかなってことでした。
聞きたいことがあっても、空気がピリピリしてると、後輩ナースは口を開きにくくなります。
で、そこから確認が遅れて、情報が抜けやすくなったりします。
人のいない場所でやったこと(指摘ゼロ、助言ゼロ)
彼女を、休憩室でもナースステーションでもなく、人のいない場所に誘いました。
「今ここやと話しにくそうやから、ちょっと移動しよか」って、軽く言いました。
そこで僕がやったことは、めっちゃ単純なことです。
指摘しない
アドバイスしない
結論を急がない
途中で止まったら、待つ
僕からが出した言葉も、ほぼこれだけでした。
「うん」
「そうやったんや」
「それ、しんどかったな」
しばらくして、後輩がぽつぽつ話し始めてくれました。
中心にあったのは、技術の話というより、こっちでした。
「先輩が怖い」
「聞いたら怒られそう」
「忙しそうで声をかけられない」
あとから振り返ると、あの時間は解決するための話じゃなくて、とにかく彼女にとって安全な場所を一回つくる時間だったんだと思います。
WHOの資料でも、引き継ぎを安全にする工夫として、標準化だけじゃなく、質問できる時間を確保することや、「repeat-back / read-back(確認のやりとり)」を入れることが挙げられています。
「聞き返せる空気」をつくるのは、患者安全の話ともつながってきます。
翌日から変わったこと(僕が見た変化)
翌日、後輩の顔が少し明るかったです。
いちばん分かりやすかったのは、声の出方でした。
「これ、確認してもいいですか?」のような声が増えました。
申し送りでも、短いけど質問が出るようになりました。
それからというもの、僕の体感としてはヒヤリとする場面が少し減りました。
「ゼロになった」というわけではありません。
(もしかすると僕のほうが、ヒヤリが多いかも…😅)
ただ、「迷ったまま進む」ことが減って、途中で止まって確認できる感じが増えました。
ここは僕の解釈なんですが。
「聴いたからミスが減った」と言い切るのは違うと思っています。
でも、確認が一回入るだけで、ズレは早めに見つかりやすくなります。
その小さな差が、現場では大きいんです。
「話しかけやすさ」は“センス”じゃなくて、作れる
僕も昔は、「話しかけやすい人って、もともとの性格やろ」って、思ってました。
でも現場を見ていると、そうでもないんです。
TeamSTEPPSでは、チームの力として**「Communication」が柱に入っています。
さらに、使える道具として SBAR / Check-Back / Handoff みたいな型が並んでいます。(GovInfo)(GovInfo)
つまり、
「話す・確認する」などは、教えられるスキル**として扱われているんです。その人の性格だけじゃないってことなんですよね。
だから僕も、後輩に何か教えるときは、いきなり「正論」や「とにかくがんばれ」論にしないようにしています。
まずは言葉の形・方法なんかを必要そうであれば手渡す。
このとき一緒に伝えるのは、「強要ではないよ」です。
知識として知ってたほうが、怖い場面でも声が出やすいかもしれないって思いです。
僕が失敗したところ(入り込みすぎて、自分がしんどくなった)
正直に言うと、あの話し合いのあと、僕もしんどくなりました。
家に帰っても、後輩の顔が頭に残って、ずっと考えてしまったんです。
「もっと早く気づけたんじゃないか」とか…。
助けたい、寄り添いたい気持ちが強いと、相手の荷物まで持てしまう傾向があるんですよね。
でも聴くって、本当の意味ではそういうことじゃない気がしています。
でも僕はその境界が、たまにあいまいになってしまいます。
なので次からは(似たようなことがあった時、いつも思ってはいるんですが)、ここを守ると決めました。
「聴く」けど、「背負わない」。
そのために、「話し合いの時間と終わり方」を最初から決めるようにしてます。
あなたが試すなら(手順・成功条件・失敗しやすい点)
手順(10分でできる形)
1️⃣ 場所を変える
人が多い場所だと話しにくそうでした。
だから最初に「ちょっと移動しよっか」で、落ち着ける場所へ。
2️⃣ 最初の一言は「評価」じゃなく「観察」
「何が悪かった?」とかじゃなく、
「今日、ちょっとしんどそうに見えた」で入る。
3️⃣ 例えば、10分だけにする(終わりを決める)
終わりが見えたほうが、相手も話しやすいと思う。
自分も入り込みにくい。
4️⃣ 聴き方は「3つ」だけ
相づち:「うん」「そうやったんや」
要約:「つまり、○○が怖くて聞けなかった感じ?」
感情の確認:「それ、悔しかった? こわかった?」
5️⃣ 「明日やってみること」を1つだけ決める
(例)
明日の申し送りで「確認していいですか?」を1回言う
言いにくかったら、メモに書いて僕と一緒に聞きにいく
*️⃣ うまくいきやすい条件
その場で答えを出そうとしない
周りに人がいない、または聞こえない環境へ。
質問できる時間もちゃんと取る
WHOも、引き継ぎの安全策として「質問できる時間」や「repeat-back/read-back」を含めることを挙げています。
*️⃣ 失敗しやすい点
アドバイスを急ぐ(相手が黙りやすい)
公開の場で聞く(余計に話せなくなる)
自分が背負いすぎる(家に帰ってもしんどい)
まとめ
インシデントが多い同僚看護師を見て、「実力がない」とか決めつけないでほしいです。
怖くて聞けない空気があると、確認が遅れやすくなりますし、抜けも起きやすくなります。
ミスの原因の1つは、ミスを犯した看護師「以外」にあることも多いんじゃないでしょうか?
もし今、「先輩が怖くて声が出ない」看護師がいるなら。
まずは、
あなたがが話しかけやすい同僚を一人だけ見つけるところからで大丈夫です。
小さく確認できる場所ができると、必ず看護は持ち直していきますから。
著者:認定看護師|ちびかん(急性期/教育/研究・論文)
📚 参考・引用文献(一次情報優先・使いやすさ順)

WHO Collaborating Centre for Patient Safety Solutions
Communication During Patient Hand-Overs (Patient Safety Solutions | volume 1, solution 3 | May 2007)
https://cdn.who.int/media/docs/default-source/patient-safety/patient-safety-solutions/ps-solution3-communication-during-patient-handovers.pdfTeamSTEPPS™ Pocket Guide (Strategies & Tools to Enhance Performance and Patient Safety)
https://www.govinfo.gov/content/pkg/GOVPUB-HE20_6500-PURL-gpo24004/pdf/GOVPUB-HE20_6500-PURL-gpo24004.pdfThe Joint Commission (News, Published Aug 22, 2024)
Reducing Handoff Communication Failures and Inequities in Healthcare
https://www.jointcommission.org/en-us/knowledge-library/news/2024-08-reducing-handoff-communication-failures-and-inequities-in-healthcare
(※本文中の各主張は、上記一次資料・公的機関資料に基づいています。必要に応じて院内規程・地域事情に合わせて運用してください。)
さいごに

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