忙しくても伝えられる看護師に━━コミュニケーション下手でも「笑顔で安心!」動ける3ステップ
「また今日も、心だけ置き去りか…」
執筆:認定看護師|ちびかん(急性期総合病院の認定看護師/感染対策委員会リーダー・教育・研究に従事)
「臨床×研究の両輪」で、ベッドサイドで迷わない実践にこだわっています。
※参考・引用文献を、適宜・巻末に掲載しています。
悩み
「また今日も、心だけ置き去りで帰るのか」と思っていた頃
ナースコールが重なった早番。
点滴、急変リスクのある患者さん、家族対応、申し送り。
そんな中で飛んでくる一言。
「ちょっと、あんた遅いんやけど」
「ちゃんと見てんの?」
「そこ邪魔やからあっちいって」
頭では「忙しいから仕方ない」「先輩たちもしんどい」と分かっているのに、胸のあたりだけじわっと痛くなる。
同僚からのキツい言い方や、主任の「それも仕事だからね」でトドメを刺されて、
僕が弱いだけなんか?
我慢できひん自分が悪いん?
相談したら「そんなの甘い」と言われそうやし…
と、自分ばかり責めてしまっていました。
夜、家に帰っても言葉がぐるぐるぐるぐる回る。
眠りに入る前まで「ごめんなさい」が頭の中に滞在してる感じで、心がずっと渋滞していました。
でも、データを見ると、これは「一部の弱い看護師の悩み」なんかではなかったんです。
WHOは、医療者の最大62%が職場でなんらかの暴力(言葉を含む)を経験しており、その多くがメンタル不調や離職意向と結びついていると報告しています。(世界保健機関)
日本の全国調査(厚労科研)では、85.5%の医療機関で、看護職が患者・家族からの暴力やハラスメント被害を報告。精神的不調や離職にもつながっていることが示されています。(厚生労働科学研究成果データベース)
ICNは公式文書で、「暴力は看護師個人の忍耐力ではなく、制度として“ゼロトレランス”で扱うべき職業上のリスク」と明言しています。(ICN - International Council of Nurses)
つまり、「暴言に耐えられない自分が悪い」のではなくて、
“暴言を前提にしている仕組み側がおかしい” というのが、国際的な結論なんです。
その現実に正面から名前をつけてくれたのが、この実践ガイドでした。
ガイドを使ってみた体験談
ガイドの3つの要素を、そのまま現場に持ち込んでみました
このガイドの中身をざっくり言うと、
暴言は「個人の問題じゃなく職業リスク」という認識を、データで確認する
その場で使える“言葉の防御線”を、定型文として準備する
記録・報告・相談・セルフケアを「根性論」ではなく「安全対策」として回す
という“道しるべ”が、一次情報ベースで並んでいます。
ここからは、実際のエピソードベースで、「試してどうなったか」を書きます。
① 暴言を「事実」と「評価」に分けてメモ
先輩ナースから
「だからあんたは何やってもダメやねん」と言われた日。
昔の自分なら「すみません」で終了し、帰り道に自分を殴っていました。
ガイドを読んだあとは、こう対応しました。
日時・場所
実際の言葉
自分が取った対応
だけを、そのままメモしました。
「人格否定のところは“事実ではなく評価”」と切り分けて書いたら、頭の中のモヤモヤが少しメモ側に移動した感じがしました。
② 同僚の刺さる一言:「なんでそんなこともできひんの?」
先輩からの冷たい言葉は、一番効きます。
ある日、忙しい時間帯でのインシデント報告後に言われた一言。
「こんなの基本やん。何年目?何してんの?」
「なんでそんなこともできひんの?」
その夜、ガイドにあった通り「事実」と「評価」を分解してメモしました。
事実:与薬直前にダブルチェックを依頼→相手が忙しく、そのまま遅れた
評価:「何年目?何してんの?」「なんでそんなこともできひんの?」という発言(人格評価)
対応:インシデント報告書提出・改善策は自分でも整理済み
次の勤務で、その先輩に短く伝えました。
「教えていただいてありがとうございます。ただ、「なんでそんなこともできひんの?」と言われたとき、自分への人格否定に感じて少し苦しかったです。」
勇気のいる一言でしたが、「そういうつもりじゃなかってん、ごめん」と返ってきました。
ここで分かったのは、
“すべてが悪意のいじめではなく、雑な文化が放置されているだけの場面もある” ということ。
ガイドがくれたのは、「感じたことを“事実ベースで”返していい」という許可でした。
③ 記録と相談:「これって相談していい案件?」に終止符
別の日。繰り返される特定家族からの暴言。
以前の自分:
「忙しい中で報告あげるのも迷惑かな」「これくらい耐えたほうが空気が荒れない」
ガイドに沿ってやってみたこと:
毎回:「日時/場面/具体的な言葉/対応」を簡潔にメモ
数件たまった段階で:上司に「個人攻撃として継続している」事実として共有
医療安全にも情報共有→主治医も交えて対応方針を可視化
すると、病棟として
対応者をローテーションする
一定ラインを越えた言動には医師同席で説明
職員への暴言は容認しない旨をパンフと掲示で明文化
という流れになりました。
「私が我慢すれば丸く収まる」のではなく、
→「エビデンス通り“見える化”すれば、職場全体の安全対策として動く」 ことを、身をもって実感しました。(世界保健機関)
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▼ おすすめする人
このガイドを素直におすすめしたいのは、こんな人です。
・患者・家族・同僚からの言葉に、家に帰ってからも引きずられてしまう人
・「暴言くらいで相談していいのかな」と、我慢と相談の間で迷っている人
・新人〜中堅で、“線の引き方”を誰からも教わってこなかった人
・師長・リーダーとして、スタッフのメンタルと暴言対応の“共通ルール”を作りたい人
・ハラスメント対策や医療安全担当として、一次情報ベースの資料を探している人
▼ 逆に、おすすめしない人
すでに職場として詳細な暴力対策マニュアルとサポート体制が整っていて、個人として困っていない人には、「新情報」よりも「整理された確認用」としての位置づけになるかもしれません。
僕自身が3つのガイドを使ってみて、
▶︎ どのような結果になったのか?
▶︎ 「良かったところ」「悪かったところ」を正直に。
▶︎ あなたに伝えたいこと
▶︎ 参考・引用文献(直接飛べるリンク付き)
では、「生の声を知りたい方」のみ、一緒にまいりましょう。
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