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オーディション前に気づいた、大切なこと|ハッピーライティングマラソン#24(後編)

この記事は、こちらの記事の続きになります。


来週に控えたオーディションの前に、最後の伴奏合わせがありました。

予約していたスタジオに向かうと、すでに別の方が準備を始めていて──

あれ?と思いながら
「この時間で予約しているんです」と伝えると、どうやら予約を勘違いされていたようで、すぐに譲ってくださいました。

ところが、荷物を置いてなんとなくスマホのカレンダーを確認してみたら、見慣れない違和感が…

予約時のメールとカレンダーをよく見ると、予約した日付は

「昨日」だった…😱

そう、間違えていたのはわたしの方だったのです。

慌てて外に出て、先ほどいらした方たちを追いかけて謝罪。

「今日のつもりで昨日の日付で予約してしまったみたいで…本当にすみません」

相手の方は「自分もよく間違えますから」と笑って受け流してくださって、胸をなで下ろした。

それでも、ピアニストさんとの約束を反故にはできない。
急いで別のスタジオを探し、なんとか当日予約を確保。

グランドピアノではなくアップライトの部屋になってしまったけれど、1時間でも合わせができるならそれでよしとしようと切り替えて向かいました。

今回お願いしたピアニストさんは、同じ音大・大学院の出身で、在学中にわたしがピアノのレッスンでお世話になった先生のお弟子さん。

その先生は声楽伴奏の名手として知られていて、声楽伴奏を専門に学びたい多くの学生が教えを受けてきた方。
そんなご縁もあり、忙しい11月の合間をぬって引き受けてくださったのです。

合わせが始まる前に、現時点では集合時間の詳細が分かっていないことや、ここまでの経緯をピアニストさんと軽く共有。

すると彼女は少し考えた様子の後、真剣な表情で話し出しました。
 

「あなたはもう、オーディションなんて受けなくても、仕事は入っているでしょう。
SNSをほとんどしない私のところにも、あなたの舞台や稽古の投稿は届いてくる。
自覚がないかもしれないけれど、あなたは“売れっ子”の一人だと思う」
 

そして少し間を置いて、こう続けたのです。

「受ける前からいざこざがある団体のオーディションを、わざわざ受けに行く必要がある?

仮に通っても、後からトラブルに巻き込まれる人は私の周りにもたくさんいる。
もしあなたが“やめた方がいい”と感じているなら、私に頼んでいるからとか気にせず、迷わず辞退していい。

今日の合わせも、久しぶりに会えて一緒に音楽ができて嬉しかったし。
ノーギャラでも構わない。自分の気持ちを優先して決めてね。」


この言葉を聞いて、胸がいっぱいになりました。
わたしのことを音楽家として、ひとりの人として、真剣に見てくれている。
そう感じた瞬間でした。

一緒に音楽を作ること、演奏の中で気持ちを通わせること。
その積み重ねの中に生まれる信頼を感じる瞬間が、わたしにとっての“心から楽しい時間”なのだと思います。

だからこそ、誰と音楽を作るか、は大切に考えたい。
そんな気付きを得た時間でした。

音楽の道を歩く中で、こうして心を通わせられる人と出会うこと。
それが、いまのわたしにとって、何よりの「楽しさ」なのだと思うのです。

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