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【最期の家探し】③ 理想だったのに選べなかった。希望の物件を見送った本当の理由

道路拡張による立ち退きが、いよいよ現実のものとして動き始めました。
「そのうち考えればいい」では済まされなくなり、本気で移転先を探す段階に入ったのです。

これまで候補物件はいくつかのルートから情報が入ってきていました。

・道路計画事務局の担当者からの紹介
・自分たちで探す物件情報

事務局の方とは定期的に話し合いを重ね、希望条件や予算を伝えてきました。
広告に出る前の段階で物件を紹介してもらえることもあり、これは行政に相談している大きなメリットでもあります。

そんな中、このシリーズを書き始める直前に連絡がありました。

「希望に近い物件がいくつか出ました。内見されますか?」

正直、胸が高鳴りました。
ようやく動き出したのだ、と。

なぜ、理想の物件がなかなか出てこなかったのか

私たちはこれまで、「今の家の近く」という条件を最優先にしてきました。
幼少期から慣れ親しんだ土地に戻って家を建てた経緯もあり、このエリアを離れることは考えられなかったのです。

けれど、ここ数年の土地価格高騰は想像以上でした。

近隣で条件の良い土地は、到底手が届かない価格。
予算内に収まる物件は、希望していない沿線やエリアばかり。

「少し郊外に行けば、今より広い家が建てられますよ」

そんな提案を受けるたびに、現実とのギャップを突きつけられていました。

まさかの場所に現れた“希望通りの土地”

そんな中で届いた内見のお誘い。

「お住まいのすぐ近くに候補地が出ました」

それは道路計画事務所から歩いて行ける距離、
つまり本当に今の家の近所でした。

しかも土地の一部だけが道路予定地にかかり、
持ち主の方が全体を手放す決断をされた場所。

うちは交差点ど真ん中で立ち退き。
候補地は一部だけが対象。

――道路計画にかからない、しかも近所。

正直、この時点ではかなり前向きでした。

「3階建てにすれば、なんとかなるかもしれないね」

そんな希望を抱きながら見学に向かいました。

実際に歩いて初めて見えた現実

候補地はいくつかあり、どれも今の家から本当に近い場所でした。
新しくできる道路沿いで、今住んでいる家が見えるほど。

「ここに決まったら引っ越し楽だね」

そんな軽い会話をしながら歩いていました。

一部はまだ交渉中、
一部は分譲予定で予算オーバー。

けれど、ついに現実的な移転先が見つかった――
そう思った矢先でした。

わたしたちは、この場所を選ばない決断をすることになります。

見に行って初めて気づいた「選べない理由」

① 近すぎることが、あまりにも辛かった

移転先から元の家が見えるということは、
長年暮らした家が壊され、更地になっていく様子を毎日目にするということ。

思い出が詰まった場所が消えていく過程を、
「日常」にしてしまうこと。

そして道路予定地の近くであるだけに、これからも取り壊しや道路整備、ガス、水道管工事が続くすぐ側で生活し続けることで、騒音と振動は今後も長くついて回る。

それらは想像以上に心を削るだろうと感じたのです。

慣れれば大丈夫、とはとても言えない。
わたしたちには耐えられそうになかったのです。

② 道路完成後の街の未来が見えてしまった

商店街や数百世帯が立ち退き、新しい道路ができる。
その先に待っているのは、大型マンションや大規模開発。

すでに近くには高層マンションも建ち始めていました。

「この街は、これからどんな景色になっていくのだろう」

そう考えたとき、ここが本当に“最期の家”にふさわしい場所なのか、
どうしても首を縦に振れませんでした。


こうして、条件としては理想に近かった候補地を見送ることになりました。

現在は夫婦で希望や譲れない条件を改めて整理しながら、
第一希望となる物件について不動産会社と具体的に動き始めています。

次回は
「どの不動産会社に頼むべきか 〜今ドキの物件探しと不動産広告のリアル〜」
をテーマにお届けします。


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