半実在性的消費の前線―同人誌『GMNさんのSKB』感想

同人誌『GMNさんのSKB』を電子版で読みました。これはVRChatのユーザーのじむの朔さんが、ご自身のアバターに酷似した狐のキャラクター「GMNさん」をテーマに企画された成人向け合同誌です。じむのさんはVRChat内で文芸系のクリエイターを応援する活動をされており、その一環としてラジオ局「FM言ノ葉」を運営されています。そのうちの番組の一つ「言ノ葉ラジオ」に、私も時折作品を投稿させていただいています。

本記事は『GMNさんのSKB』に収録されている全作品への、私の一言感想です。私は、アバターを介して実在人物(以下「原作」)と性的さとの間にいい塩梅の距離を作ることの可能性を皆さんと共有したいと思っており、また性表現「について」の言論は性表現自体よりもさらにオープンであっていいと考えていますので、感想を公開することは私なりの正義に適います。

BOOTHのリンクを含んだじむのさんのツイート:



まず表紙ですが、たぶんSKBクライアントから届いたリクエストのシチュエーションをGMNさんに実際にやってもらうという状況で、クライアントの妄想とGMNさんの現実が接続されてしまっているというのが既にVR的だと私は思うのですね。

p.4(千鳥ねころさん)、写真によってシーンが増えてお得です。愛のある雰囲気なので、これからも写真が増えていくという期待が演出され、巻頭から読者の期待も高まる配置。

p.5(ココローグさん)、脇と肩に見える毛の跳ねと脛の骨が、大胆なシルエットの中で細部への気配りを示していると思います。

p.6(いんぐれさん)、男水着チャレンジでしょうか。肩幅が骨ばって広く見える感じが少年的でもあり動物的でもあり、その印象を保ちつつも膨らみを主張する胸の大きさが絶妙です。

p.7(狐乃実さん)、脱いでいるのに不思議な暑苦しさがありますね。毛皮か、太腿の肉感か、服の貼りつき具合のせいか。

p.8(ねずみっきさん)、これも鎖骨・肋骨や腹筋・上腕二頭筋の描き込みによって暑苦しさが出ていて、シチュエーションとよく合っていると思います。

p.9(ざくろさん)、腋窩も太腿も股間も見えるローアングルで、お姉さんめいた描き方とも相性がよく、マズルも毛並みも主張していて贅沢な絵です。

p.10(黒海月さん)、人ならニーソックス(某書店ワールドの服にはないオリジナル)の上にお肉が乗るところ、毛が乗っているのが芸の細かいポイントです。

p.11(碧井ムアさん)、性徴がほとんどないくらいの幼児体形(胸はある?)に、あえて原作のラジオ要素を合わせるのはギャップが大きくていいですね。

p.12(さくらぎよみさん)、このアングルとマズルを両立させる工夫が光ります。青のハートはなかなか見ないですが、このキャラなら案外合いますね。

p.13(tenyatiさん)、表情と乳首の出し具合にハーモニーがあります。お相手は犬というより獣人に見えますね、ケモ度の異なる組み合わせだとするとストーリーに奥行きが出ます。

p.14(すいまさん)、尻尾を掴むのがケモならではでいいですね。目の見開き具合も私の好みです。

p.15(の☆あさん)、思うにケモには毛皮とは別に「褐色肌と色白を都合よく混ぜられる」という側面があり、ここでは褐色肌としての健康的な肢体が印象的です。それが状況の破滅的さを強調してもいます。

p.16(おぼろ豆腐さん)、ケモアナルよりも、大きく見える手の方に私は人外感と、従って倒錯感を覚えます。

p.17(Doubt.さん)、既に好きにした後では? しかし髪の乱れ方と目の閉じ具合で気だるい感じが出ていていいです。腕の毛の色の境目やおへその上の毛などの描き込みが細かいのもいいです。

p.18(Wolfeedさん)、道具を贅沢に使いますね。毛並みを細かく描き込みながら、ケモなのにさらに肉球ミトンで手足を拘束するのも、飛沫を尻尾で受けるのも、ケモの身体の尊厳を否定することへの執念を感じます。

p.19(氷鼠さん)、毛のボリュームがあり、プールで濡れた後の様子への想像が捗ります。

p.20(有紀ハルさん)、上半身は人に近いのですが、足に爪があることによってケモだったと思い出す、そのギャップがいいです。

p.21(らなえちよさん)、背景と、下が恐らく筋肉ふたなりケモであることによって物語への想像が捗ります。分身は、画面外にGMNさんがもう一人いるとより私の好みですが……

p.22(om茸さん)、強制発情の顔にも増して、ワナ発動の時の顔が私にはえっちに見えるのですね。欲を言えば石化が見たいです。

p.23(甘口さん)、ケモ度は抑えめですが、眼鏡と目の伏せ具合が堅物な印象を作っており、そこに原作の面影がある気がします。

p.24、耳と毛の色以外のトレードマークがないのは、剥ぎ取られた結果だと見ればいいのだと思います。

p.25、一人がしっかり腕を押さえているのが嗜虐的でいいですね。汗の描き込みが曲面と重力に沿っているのも湿度の高い空気感を演出しています。


全作品を通して見ると、相手方が画面内に描かれている場合に、それが人外に偏っているのが気になります。ケモ界隈の不文律なのか、あるいは人外をより強い人外で蹂躙することのよさが共有されているのかもしれませんが、人外はそれと対峙する者をも人外にすると見れば原作の世界にも活かせそうです。

読む側には、作品単体でのシチュエーションや描写のよさと、原作をどう料理しているかという二つの視点からの読み方があります。原作の面影を残しながらギャップを呑み込ませ、ついには原作へフィードバックするという営みに私は興味があるので、このような企画がもっと増えてほしいと思っています。

今後GMNさんで見たいシチュエーションとして、石化と露出お散歩とふたなり拘束発情誘発剤投与を挙げておきます。責められすぎてパニックになり、一時的に(永久的にでも構いませんが)人間の言葉が話せなくなる展開があるとなお私の好みです。

次回の合同誌で小説の募集があれば自分で書くかもしれませんが(小説で読みたいシチュエーションは絵とはまた別です)、それは期待せずに待ちます。


〈以上〉

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