幸せな手/シロクマ文芸部/詩のような物語
幸せな手。
それは、秋風に揺れる曼珠沙華を指さし、
「きれいだね」と無邪気に笑う、子供のようなあなたの手。
夕日に照らされ、赤く染まっている。
土手いっぱいに広がる、燃えるような赤の曼珠沙華。
権現堂の空は、茜色と群青色が混ざり合い、
風に揺れる黄金色の稲穂は、光を反射して、
生きている絨毯のようにうねっていた。
屋台の呼び声は、夕闇に溶け込み、
焼きそばの香りは、どこか懐かしい。
遠くからは、祭囃子が聞こえてくる。
騒がしい喧騒の中、そっと重ねられた、あなたの手のぬくもり。
夢見心地だった私を、一瞬にして現実に引き戻してくれる。
隣を歩くあなたの存在は、 いつも、私を支えてくれる。
あの秋の午後、 世界は、ただただ美しかった。
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