短編小説|透明な意志/シロクマ文芸部/詩のような物語
シャボン玉
ふわりと浮かんだそれは、
空に触れる前に、もうどこか遠くへ行こうとしていた。
手のひらを離れた瞬間、
私のものではなくなる。
けれど、確かに私の息で生まれたものだった。
光をまといながら、
誰にも触れられずに、
ただ静かに、形を保っている。
あんなにも薄くて、頼りなくて、
少しの風で壊れてしまうのに、
なぜか、強く見えた。
追いかけようとして、やめた。
届かないものは、
きっと、届かないから美しい。
空のどこかで、
小さな音も立てずに消えたそれは、
きっと最後まで、
自分のかたちを守りきったのだと思う。
そして私は、
次のひとつを、またそっと吹いた。
今度は、
どんな景色を見ていくのだろう。
シロクマ文芸部に参加させていただいています。
小牧部長さま、いつもありがとうございます!
今回のお題
「シャボン玉」から始まる文芸作品です。
【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
もし、今日の物語が、あなたの心にふれていたら
──それだけで、うれしいです。ありがとうございます。
これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
🌸【詩のような物語】🌸
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