【わたしの3冊】 「どう生きるか」の答えをくれた、私の羅針盤。
子どもの頃から、本が好きだった。漫画も好き。読むことが、とにかく好きなのだ。何度も読み返した本がある。これからも読むだろうと確信している本が、3冊ある。
京都在住エッセイスト・ライターの江角悠子さんが主催しているオンラインサロン「京都くらしの編集室」での「noteチャレンジ」がはじまった。4月は【本】。
【本】私という人間を定義した3冊。今の自分の価値観の土台になっている本。2026年度のはじまりに、自分の現在地を確認する。
どれにしよう。あれかな、これかも。悩んだけれど、シンプルに決めた。
体育学科出身の管理栄養士として、アスリートのこと、食べること、そして生と死について考えること——私の価値観の核にあるものを、さらに育んでくれた3冊。
『心を整える。』 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 長谷部誠

2011年3月末。白いシャツの表紙が、すでにそれを物語っていた。華やかな世界にいながら、長谷部誠という人は、どこか内側が静かだった。この本を読んで、その理由がわかった気がした。
正直、最初は少し意外だった。トップアスリートが、自己啓発本?でも読み始めてすぐ、そんな先入観は消えた。まさに「心を整える。」——これが必要だと思った。
勝負の世界に身を置きながら、長谷部選手が大切にしていたのは、意外なほど地味なことだった。
意識して心を鎮める時間をつくること。言葉をノートに書いて、脳に刻むこと。時間を自分で支配すること。そして、立場や相手の気持ちやこれから起こることを、想像すること。
整えるのは、外側じゃなく、内側だ。私も、そう生きたいと思っている。
『ライオンのおやつ』 小川糸

本屋さんで店員さんの手書きポップに引き寄せられて購入した。初版サイン入り。

瀬戸内海の小さな島で、人生最期を迎える人たちが、想い出のおやつを食べる物語。
いつか、ホームホスピスを仲間たちとつくりたい。この本は、その理想の世界観を見せてくれた。
私は、緩和ケア病棟の管理栄養士として、同じことをしていた。患者さんに「何か食べたいものはありますか」と問い続けた日々。食べたいものを食べたい時に、病棟のキッチンで作って差し上げた。
それはただの食べたいものではなく、人生の記憶や、その人が大切にしてきた価値観が詰まっていた。それを教えてくれたのは、患者さんたちだった。
食べることは、その人の生き方そのものだ。
これからも食べることを、大切にして生きていきたい。
『欧米に寝たきり老人はいない』 自分で決める人生最後の医療 宮本顕二・礼子

正直、自分では手に取らなかったかもしれない。でも、尊敬する緩和ケア医に紹介してもらった一冊。読んで、正解だった。
日本の平均寿命は世界一。でも健康寿命との差は、約10年。その10年が、寝たきりの長さだ。簡単には死なせない。どれだけ高齢になっても「枯れるように旅立てない」日本の医療と、死生観の話。
緩和ケア病棟で、ある患者さんが伝えてくださった言葉。
「食べないから死ぬのではない。死ぬから食べないのだ。」
この言葉と、この本は、私の中でひとつに重なっている。それは、管理栄養士としての私のアイデンティティでもある。
死から逆算して、どう生きるかを考えること。それが今も、私の生き方の根っこにある。
私はどう生きるのか
3冊を並べると、一本の線が見えた。
整える、食べる、死と向き合う。その全部が、「どう生きるか」につながっている。
2026年度も、この羅針盤を手元に置いておこうと思う。
