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虹の橋を渡り切って、また逢えますように | ねこの突然の看取り


「レンが虹の橋を渡りました」



昨日の朝のことだった。
いつも通りnoteを書いて「ふぅっ」と一息ついたころ、母から突然LINEが届いた。
「え、」と思わず声が出て、スマホを持ったまま固まってしまった。


レンは、実家で飼っている5匹のねこのうち、上から2番目の男の子。
13歳でシニアと呼ばれる年齢だけど、病気もとくになかったはず。



レンが? なんで?
「嘘でしょ」って返信してしまったけど、さすがに嘘じゃないことはわかっていた。



とにかく、実家に帰ろう。
火葬には明日行くらしいから、今日帰ればまだレンに逢える。
昼に入れていた外せない用事を済ませて、夜に入れていた友だちとの予定をキャンセルさせてもらって、2時間ほどかけて実家に戻った。




実家に着くと、昼から戻っていた妹と、母と父が揃っていた。
みんな、案外落ち着いてるな。
私と同じように、現実感がないのかもな。
戻った私に、母が「ごくろうさん」って声をかけてくれた。


リビングは、お線香のにおいがした。
レンは、段ボールの中で、ブランケットにくるまって、顔と前足だけ出して横になっていた。
よく「ただ寝ているだけで、すぐにでも起きてきそう」なんて表現がされるけど、まさにその通りだった。
寝顔を見て、思わず「かわいいね」なんて、笑顔になってしまうくらい。
現実味がなさすぎて、涙も出てこない。



レンの身体は、思ったよりも柔らかかった。
硬いんだけど、表面に弾力があって、毛もふかふかしている。
ちょっと太り気味の、むちむちとした身体は、いつも通りに思える。
なのに、体温だけがない。
不思議な感覚だった。


6年前、先代の女の子を乳がんで見送ったときは、身体がもっと硬くなってしまっていた記憶がある。
病気でやつれていたからなのかな。
あのときと対照的なレンの柔らかさが、余計に「亡くなった」ってことを信じられなくしていた。




レンの最期のときにそばにいた父が、そのときのことを語ってくれた。


直前まで、俺の腹の上でごろごろ言ってたんだぜ。
それで、その後、俺のすぐそばで毛づくろいしてて。
いきなり「ギャッ」て叫んで、バーッてソファのほうに走っていって、ドンってぶつかって。
「虫かなんかがいて、びっくりしたのかな」って、あまり気に留めてなかったんだけど。
レンは、そのまま動かなくなっちゃったんだ。



あまりにも突然で、あっという間の出来事。
「心臓発作だったのかな」って話をした。


もし、私が父のように、目の前でそれを体験していたら。
とてもじゃないけど、耐えられないと思う。



「びっくりしたね」
父の話を聞いたあと、私はレンのそばに言って声をかけた。
私もみんなもびっくりしたけど、レン自身が一番びっくりしたよね。
まだ「レンが亡くなった」なんて信じられてないけど、レン自身ももしかして、気付いてなかったりするのかな。



実家では、4時間ほど過ごした。
5匹から4匹になってしまったねこたちに、ごはんをあげた。

晩ごはんはカレーだった。
ナンもお米も用意して、ルーも2種類作って、いっぱい食べた。
「段ボールに、体温のないレンがいる」ということ以外、いつもどおりの過ごし方だった。



「こんなことってあるんだね」と、何度か口に出した。
それ以外、この状況と感情を表す言葉がなかった。


こんなことってあるんだ。
これまで見送った先代は3匹いたけど、みんな老衰と病気とで、少しずつ覚悟をすることができてたのにね。
レンよりも年上のねこがもう1匹いるのに、レンのほうが先だなんて。
突然の心臓発作なんて。
遠い誰かの話みたいなことが、自分たちの身に起こるなんて。


でも。
ひとりで逝ってしまって、あとで見つけるんじゃなくて。
最期に一緒にいてあげられたことだけは、よかったよね。
とりあえず、人間もねこも、健康診断には行っとこうね。
そんなふうなことを話した。




私は次の日に朝から予定があったので、実家で泊まらずに自宅に帰ることにした。
部屋で支度を済ませて、リビングに戻ると、レンのそばに座っていた妹が笑顔で私を見ていた。


「え、なに?」と声をかけると、
「ねぇ、脂肪ってさ、硬くならないんだね。
レンのおなか、ぽにょぽにょのまんまだよ。」
なんて言いながら、レンのおなかを触っていた。


私もレンのそばに座って、おなかを触ってみると、確かに脂肪の部分がぷにぷにとしていた。
ブランケットから出ている肩や背中のあたりしか撫でていなかったから、おなかが柔らかいことには気が付かなかった。


え~、レンちゃん、ほんとにおデブだったんだ。
身体の表面もなんか柔らかいなって思ってたけど、これも皮下脂肪だったんだね。
そう言って、みんなで笑ってしまった。



ちょっと気が弱くて、顔は小さいのに身体はぽちゃっとしているレン。
父のことが大好きで、いつも、リビングで寝転がる父のおなかの上にいたレン。
ごろごろ音が変わっていて、甘えるとき「ぐおぉぉ」みたいな声を出すレン。
あごが少ししゃくれ気味だったレン。
ストレスがあったのか、身体を舐めこわすほどに毛づくろいしていたレン。
舐めこわし防止で着ていたお洋服まで舐めちゃって、あちこち穴をあけていたレン。


亡くなっても、私たちに笑顔をくれている。
というより、多分みんな、悲しいって気持ちが湧くほど、心が現実に追いついてないんだと思う。

でも、しんみりしない、ふわふわとしたあったかい空気感が、なんだか「レンらしいな」とも思えた。




このnoteは、私の心の整理のために書いたものでした。
不謹慎とか反省とか後悔とか、ほんとは考えるべきなのかもしれないけど。
何かを学んだり、教訓に思ったりするほどにも消化できていないし、まだ現実だって気がしないけど。


ここまで書いて、やっと涙が出てきました。
時間をかけて、言葉にして、少しずつ受け入れていけるのかもしれないですね。



私は立ち会えなかったけど、レンの火葬は終わっているはず。
もう、空に昇ってしまったかな。
虹の橋って、ほんとにあるのかな。



私、生まれ変わりって信じるほうなんだ。
虹の橋を渡り切ったら、またこっちに戻ってきていいんだよ。
先代の子たちにも言ってるんだけどさ、みんなまだ戻ってきてくれないみたいなんだよね。
お空でみんなに逢えたら、「はやく戻ろうよ」って言っておいてね。



レンちゃん、また逢えたら、きっと私たちを笑顔にしてくれるよね。

レンちゃん。
またね。



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