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【無料公開】寧夏で食べた1 - 砂漠と黄河と羊肉と

気づけば、いつのまにやら夏休みである。

我が家の旅は、どうしても料理が主役になりがちだ。いや、なりがちというより、ほぼそれしか考えていないと言ってもいい。どこへ行くかを決めるときも、まず浮かぶのはその土地の名物料理である。

しかし、せっかく中国にいるのだ。食だけでなく、この国ならではの大きな景色も、我が子に見せてやるべきではないか。

珍しくそんなことを考え、今回の行き先は寧夏回族自治区にした。

寧夏、と聞いてすぐに地図上の位置が浮かぶ日本人は、そう多くないかもしれない。中国の西北部、黄河が流れ、砂漠と山と草原が広がる小さな自治区である。人口の約35%を回族が占め、食文化にはイスラムの影響が色濃い。つまり、豚肉ではなく、羊肉と牛肉の世界だ。

大人の関心事は、もちろん現地の羊肉料理である。中国で羊肉と言えば新疆や内モンゴルを思い浮かべる人も多いだろうが、寧夏もまた、羊の名産地として知られる。とりあえず羊か牛を食べておけば間違いない土地。そう思えば、胃袋はすでに旅支度を始めている。

もうひとつ気になっているのが、寧夏産ワインだ。寧夏は近年、中国ワインの産地として注目を集めている。賀蘭山の麓にワイナリーが点在し、国内外で評価を高めているという。羊肉を食べ、中国ワインを飲む。回族文化圏ではあるが、飲酒には割と寛容な土地柄だという点も、決め手のひとつだ。

一方、我が子に見せたいのは、砂漠と黄河である。

まず向かうのは、中衛。都市を離れ、砂漠の真ん中のホテルに泊まる予定である。店選びに悩もうとしても、悩みようがない環境だ。ホテルのレストランでベタな名物料理を楽しみつつ、夜は砂丘を眺めて酒を舐めるとしよう。

砂漠では、ラクダに乗ったり、砂滑りをしたりするつもりだ。見渡す限り砂の世界に身を置くことで、普段の都市生活とはまるで違う中国の大きさを味わってもらえたらと思っている。

砂漠を楽しんだあとは、黄河のほとりの宿へ向かう。ここで楽しみにしているのが、羊の胃袋で作ったいかだでの川下りである。とうとうと流れる黄河を下りながら、この土地ならではの景色に触れる。これもまた、食だけを追いかけていたら出合えない体験だろう。

普段の我が家なら、観光アクティビティは後回しになりがちだが、今回は珍しくそちらにも軸足を置いている。

そして、旅の締めくくりは、寧夏の中心地・銀川へ。回族料理の店を巡り、羊肉を食べ、寧夏産ワインも試してみたい。いや待て、かつて歴史専攻だった身としては、世界遺産の西夏陵くらいには立ち寄って、我が子に遥かなる過去に思いを馳せてもらうことにしよう。

さて、どんな景色と味が待っているのだろう。

飛行機は、銀川空港へ向けて高度を落とし始めた。

<時期:2025年8月/公開:2026年7月>

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