『禁断の十字パイ』のフライヤーが新たに
『禁断の十字パイ』(洋菓子匠 維新之蔵/熊本県天草市)のフライヤーを新しくした。
全体のデザインはそのままに、タイトルを「禁断の十字パイ ABC」から「禁断の十字パイ 三姉妹」へ変更。さらに下部には、十字パイが生まれた物語と、三姉妹それぞれのこだわり、魅力を伝える解説文を添えた。
きっかけは、ある親しい方からいただいた他県のアップルパイである。大量生産の商品ながら、とてもよくできており、パイ生地はソフトで食べやすかった。ただ、あえて言えば、フィリングがリンゴジャムに近く、やや甘さが前に出ている印象であった。
もちろん、いただき物に不満を述べているわけではない。しかし、筆者がブランディングに関わっている熊本県天草市の小さなスイーツショップの商品と、どうしても比較せざるを得なかったのである。
結論から言えば、他県の人気アップルパイと比べても、現在の『禁断の十字パイ 三姉妹』は、数段上の完成度に達していると感じる。これは身内びいきではない。昨年11月30日に誕生したばかりの頃とは明らかに違う。いま目の前にあるのは、改良を重ね、物語と味が一体化した、進化形の焼菓子である。
先日、豪華客船が天草地方に停泊した際、有名人を含む数名の方々が同店をわざわざ訪れ、『禁断の十字パイ 三姉妹』を購入されたという。これは、素直に嬉しい知らせであり、商品が確かに人を呼び寄せ始めている証でもある。
その有名人は、商品をしっかりと見つめたうえで、こう語ったという。
「やはり、ストーリーですよね!」
この一言は重い。味だけではなく、見た目だけでもなく、その背後にある物語が人の心を動かす。まさに、筆者がこの商品に込めてきたブランディングの核心を、的確に言い当てられたように思えた。
実は、その方は13年ぶりの再訪であったという。前回は、筆者が手掛けた同店のロゴと書を褒めてくださったそうだ。その記憶が、今回の再訪へつながったのかもしれない。
小さな店の商品であっても、味に芯があり、姿に品格があり、物語に力があれば、人は足を運ぶ。
『禁断の十字パイ 三姉妹』は、単なる焼菓子ではない。天草という土地、隠れキリシタンの歴史、禁断の果実の物語、そして職人の手仕事が重なり合って生まれた、小さなブランドの結晶である。




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