260322「絶対可憐チルドレンを今読了した話」

思い出話

  • 椎名高志先生による「絶対可憐チルドレン」は、私の青春の一部の作品だ。

  • 椎名先生との初めての出会いは、実家にあった兄の「GS美神」や「椎名百貨店」だ。GS美神は、アニメの再放送もよく見た。小学生の頃から椎名先生の作品に触れ続け、ミスタージパングや一番湯のカナタも大いに楽しんだ。

  • 絵柄も大好きだったので、模写もよくやった。

  • 一番湯のカナタが打ち切りになったときはそれはもう悲しかった。自分が中学生頃の時だったか。それだけに、読み切りで絶対可憐チルドレンのプロトタイプが発表され、その後連載に移行した時は歓喜したものである。

  • そんなわけで、中学生の頃からサンデーを買い始めた。当時は金色のガッシュやからくりサーカスに夢中だったのだが、単行本派だった。そのような中絶対可憐チルドレンも連載されるとなっては週刊誌も買わないわけにはいかない。そんな感じだったように思う。

  • こうして、自分は大学院の2年生までサンデーを買い続けた。年月にすると10年以上だ。

  • 一方で、絶対可憐チルドレンはというと、実は中学生編あたりからあまり気合を入れて読んでいなかった。なぜか?

  • 理由は単純で、長期連載すぎて昔のことを覚えていられなくなり、だんだんついて行けなくなった…という感じだ。

  • そして、今から思うと、大学生だった自分は、感情移入先がよく分からなくなっていた。この作品は、チルドレンという子供たちを大人たちが良い方向に導いてあげるというストーリーでもあるが、どうにも、皆本にもチルドレンにも感情移入ができなかったのである。

  • 大学院の2年生にもなると、研究は非常に忙しく、また就職活動も大変だったため、ますます漫画とは距離が離れて行った。

  • そうして社会人になると、今度は現場が超絶忙しくなった。こうして私と絶対可憐チルドレンは一旦完全に途切れてしまった。

  • 次に絶対可憐チルドレンの名前を聞くようになったのは、最終回の頃だ。続いていたのは知っていたが、ついに完結するという。改めて読もうかな、と思ったものの、当時は丁度一級建築士の受験勉強中であり、とてもじゃないが60巻も読めないと思い、踏みとどまった。

  • そうして今、2026年。自分の親戚が、「絶対可憐チルドレンは面白い!」と自分に推してきた。偶然にも。

  • 自分は今や会社で中堅の立ち位置になり、皆本に感情移入できるような年代になった。今読むと、当時とは違った切り口で楽しめるかもしれない…そう思い、Amazonで電子書籍を一気に全巻買い直し、そして一気に読んだのであった。

面白かった!!

  • 結論、とても面白かった。これだけの巻数を数日で読んでしまったのは初めてかもしれない。

  • どうやら自分はサンデーで39巻あたりまでは読んでいたようなのだが、正直ほぼほぼ内容は忘れていた。ただ、エピソードごとに「あ、この話こういうオチだったかも」などと思い出したりした。

もはや大河ドラマ

  • 小学生編からスタートし、最終的に高校生編が終わるまで、相当丁寧に描かれた作品であり、もはやチルドレンが主人公の大河ドラマと言っても良いと感じた。すごい作品。

  • 自分は、やはり今回読んだところでは皆本に感情移入しながら読んでいた。もし自分に教え子がいたとすれば、どう接すればよいのか…そのようなことも考えながら読んだ。

  • これだけ長いことやっていると、登場人物の行動原理や心境の変化の説得力が非常に大きいと感じた。そして、これはひとえに椎名先生の心理描写の巧みさによるところである。

  • とにかくこの作品、薫が終始一貫して可愛い。そしてその可愛さの方向が巻を追うごとに変化していく様子が非常に面白い。

  • 小学生編の下ネタ大好きなキャラから、どんどんと(その名の通り)可憐な女性に変化していくグラデーションが大きな見どころであり、全てのタイミングで色々な魅力を見せてくれる彼女にはもう敵わないなと思った。それほどとにかくすごいキャラクターだ。

心理描写が上手すぎる

  • 繰り返すが、椎名先生、マジでキャラの心理描写が上手すぎる。

  • 個人的には、過去に兵部を撃った早乙女隊長の本当の心理描写、そして、未来に薫を撃った皆本のこれまた本当の心理描写にぞくっと来た。そして、非常に納得感があるものだった。

  • この作品には、「なぜあの時このキャラはこのような行動をとることになったのか?」という伏線…とは言わないまでも、謎が結構散りばめられていたのだが、最終的にとても納得できる形で回収されるのは気持ちが良いものだった。

とうぜん絵も上手い

  • さすがに60巻以上やっていると絵は結構変化しているのだが、やっぱりどのタイミングも上手いな~と感じた。女の子を可愛く描くことにかけてはGS美神の頃からピカ一である。

うーんなところもある

  • ということで、良い作品だったな~と思う一方で、う~んだった部分もある。

  • まず、やっぱり長い…!60巻かけたからこそ、キャラが生き生きしておりあらゆる行動原理に納得がいく…のは良いのだが、それはそれとして、多分40~50巻くらいの巻数には圧縮できたんじゃないかな~とも思ったりする。

  • そして、超能力バトルの出来に関しては、中盤からあまり…という気がした。どんどん複合能力者が出てくるわけだが、基本的にもう何でもアリの戦いになってくるのでノり切れなかった。

  • 特に、終盤は心象風景での戦いが極めて多くなる。キャラの独白や哲学が提示される場面なので重要ではあるのだが、それにしてもあまりにも何でもアリすぎるぜ…

  • あと、やっぱりこれも終盤の話なのだが、「頼りになっていた味方が敵に操られて強敵に…!」な展開の連発もストレスだった。そして、これに関しても「本人は自覚なく操られている」等の何でもアリな操られ方をするので、早く解決してくれとしか思わなかった。

  • とにかく、催眠能力が便利すぎるのだ。シナリオの都合で、高レベルだから効かないと言ったと思ったら、心の隙をつかれるとそうでもないという話がでてきたり、もう手に負えない。

それでもカタルシスはすごい

  • ということでう~んな展開のところもありはしたのだが、それでも最終巻は最高の出来だったと感じる。

  • 特に、皆本が薫に魅かれる気持ちを自覚し、そして告白するシーンは手をたたいて喜びそうになった。

  • 正直、自分が連載を追っていた当時は、きっとこの二人は結ばれないだろうと思っていた。あるいは、うやむやにして終わるのだろうなと。

  • しかしそうはせず、ちゃんと読者に望まれるラストを描き切った椎名先生はすごい…!!

  • そして最終巻のカバー裏表紙折り返しのあのイラスト!!泣かずにはいれないでしょ。

  • ここに来るまで、本当に丁寧に心理描写をやってきたからこその感動だよな~!!…と。

  • あと、作者自身が、きっとこの作品のキャラクターを愛しているんだろうな、と伝わってくるのも良かった。

おわりに

  • まだ一回通しで読んだだけなので、また見返してみたいと思う。

  • 椎名先生の描くセリフは私に刺さるものが多い。作中はコメディチックにふざけるような場面も多いのだが、それでもシリアスなシーンで決めるときは決める、というこの作品の方向性はやっぱり好きだ。

  • ああ、良い作品を再発見できてうれしい。

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