見出し画像

誕生日クーポンに支配されてる

6月1日を迎えると、誕生日クーポンが山ほど届く。メールやアプリを通じて、ファミレスから10%オフ券が、服屋から20%オフ券が「HAPPY BIRTHDAY!」と華やかな文字とともに送られてくる。

自動で来るメールについ嬉しくなってしまう。下手したら友達よりも沢山の企業が僕の誕生日をお祝いしてくれる。

だから、せっかく来た誕生日クーポンは「せっかくなら使わなきゃ」という気持ちにさせられる。家族と外食に行く時は、必然的に誕生日クーポンがあるファミレスから選んでしまう。「こっちの方が割引率が高いよ」とよりお得なファミレスから優先的に食べに行く。

デニーズの誕生日クーポンは素晴らしい。他のファミレスがせいぜい10%オフなところ、デニーズは20%オフという太っ腹ぶり。しかも、誕生日のスペシャルデザートまで無料で食べられる。店員さんが「お誕生日おめでとうございます♪」とにこやかに届けてくれて、ボリューム満点なアイスが乗ったパンケーキが食べられる。

20%オフになると思えば、自然と食べる量も増える。僕はステーキとハンバーグとチキンが乗ったミックスグリル「GRILLブラザーズ」に、オニオングラタンスープまで付けて注文する。僕の前に広がる豪華な品々を見て、「欲張りすぎじゃない?」と母が文句を言うけれど、誕生日クーポンで安くなると見込んでいるから頼めるのだ。こんな時くらい好きなものを食わしてくれ。

会計はいつもよりも弾んだが、颯爽とアプリを掲げれば、お得な値段に様変わり。デニーズよ、心からありがとう。思えば、6月の誕生日が来る度に毎年デニーズに行っている気がする。

しかし、これが問題なのだ。

誕生日クーポンを使いたいがために、外食が増えている。お得になった気でいるけれど、「一ヶ月トータルの出費は増えているのでは?」というひとつの疑念がよぎる。本当は2週間に1回くらいしか外食しない家庭なのである。

嫌なことに気付いてしまった。外食する場所も全て誕生日クーポンがあるファミレスを選んで行っている。行かされている。

あれ?俺たち誕生日クーポンに支配されてね?

企業からしたら誕生日クーポン目当てでもお店に来てくれたら勝ちなのだ。結局企業が一番得するように出来ている。我々はその手の平の上で踊っているだけ。しかし、その真理に気付いてしまっても、誕生日クーポンがある店に行く足は止められない。人参をぶら下げた馬のように、目の前のエサに釣られて走り出してしまう。

新しい服が欲しいと思ってなくても、店内からそれなりの服を選んで安く買っている時がある。やめたい、誕生日クーポンを使うことを切実にやめたい。

さらに、最悪なことにうちの家族には6月生まれが3人もいる。姉も父も揃いも揃って6月生まれなのである。誕生日がある分だけ、消費しないといけない誕生日クーポンも増える。

「もっと誕生日がバラバラだったら良かったのに、なんでみんな6月生まれなのよ!」

唯一8月生まれの母がそう嘆いたが、そんなこと知ったこっちゃない。てかあんたが6月に産んだんだろ!!

誕生日クーポンの期限がくる月末までに、まだまだ家族で行かないといけない飲食店が沢山ある。家族間で誕生日クーポンの情報も共有してるから、姉に「サーテイーワンの誕生日クーポンはアイス1個無料だよ!」と教えて貰った。アプリを確認したら、僕にもちゃんと届いていてそれも早く使いたい。

会社の近くのサーテイーワンに行ったら、期間限定で販売してるキットカットのコラボアイスが売ってなかった。これを誕生日クーポンで食べないと意味がないと思い、その日は買うのを断念した。今度自転車を走らせて、近くのサーテイーワンにリベンジしに行くつもりだ。無駄な時間と労力が増えているだって?

誕生日クーポンを使うためならその労力も厭わない。


いいなと思ったら応援しよう!