忙しくて一緒に食べられない罪悪感を持つ親へ——『週末だけの家族ごはん』でも意味がある理由
2,511人の追跡調査が示す、完璧でなくてもいい家族の食事時間
共働き、残業、子どもの塾や習い事——平日に家族全員で食卓を囲むのが難しい。そんな家庭は少なくありません。
答えから言うと、週末だけでも意味はあります。研究では、家族で食事をする回数が多いほど子どもの精神的不調のリスクが段階的に下がる「用量反応関係」(=量が増えるほど効果も増えるという関係)が報告されています。ただし、これは一つの研究結果であり、家庭環境や文化的背景による個人差があります。完璧でなくても、1回でも多い方がプラスになる可能性があるのです。
週末だけでも意味がある——回数が多いほどリスクは下がる
Agathãoら(2021)による2,511人の子どもを対象とした前向き縦断研究(=ある時点から未来に向かって対象者を追跡し、時間の経過とともに何が起きるかを調べる研究デザイン)では、朝食と夕食の両方を家族と週5回以上食べる子どもは精神的不調のリスクが25%低い傾向があり(調整RR=0.75。RRとはリスク比のことで、1.0より低いほどリスクが低いことを意味します)、どちらか一方でも家族と食べている子どもは13%低い(調整RR=0.87)結果が報告されています。
つまり、「毎日でなければ意味がない」のではなく、「1回でも多い方が良い傾向がある」ということです。週末だけでも、朝食だけでも、一緒に食べる機会を増やすことに価値がある可能性があります。
8か月の追跡調査で何が見えたか
この研究の特徴は、単なる一時点のアンケートではなく、8か月間にわたる追跡調査であることです。9〜17歳の2,511人を対象に、ブラジルの公立学校で実施されました。家族食事の保護的な関連は、追跡期間を通じて維持されていたことが確認されています。
また、この傾向に性別や年齢による大きな差は見られませんでした。男の子も女の子も、小学生も中学生も、同様の傾向が報告されています。
注意点——この研究の限界
この研究はブラジルの低所得都市部の公立学校で実施されたものであり、日本の家庭環境にそのまま当てはまるとは限りません。食事の頻度は子どもの自己申告に基づいています。
また、養育スタイルや家族間のコミュニケーションの質など、食事の頻度以外の要因が結果に影響している可能性も否定できません。個人差も大きく、すべてのお子さんに同じ効果があるわけではありません。
今日からできること
1. 平日が難しければ、まずは週末の食事を「家族の時間」として意識してみる。
2. 朝食だけでも一緒に食べる日を作る——5分でも、トーストとお茶でも十分です。
3. 「一緒に食べられなかった日」を責めるのではなく、「一緒に食べられた日」を喜ぶ。
4. 子どもの生活リズムに合わせて、無理のない範囲で一緒に食べる機会を増やす。
研究が教えてくれるのは、「完璧を目指さなくてもいい」ということです。忙しいなかで頑張っている自分を、まず認めてあげてください。
Agathão BT, Cunha DB, Sichieri R, Lopes CS. The role of family meal frequency in common mental disorders in children and adolescents over eight months of follow-up. PLoS ONE. 2021;16(2):e0243793.
※ 本記事は国際的な研究知見と保育現場の経験をもとにした一般的な情報提供です。個人差があり、すべてのお子さんに当てはまるものではありません。お子さんの健康や発育に関するご不安は、かかりつけの医師・専門家にご相談ください。
