見出し画像

食事中のテレビ・スマホで子どもの食行動は変わるのか——41件のレビューが示す傾向

41件の系統的レビューの統合から考える

食事中にテレビやスマホがついている家庭は珍しくありません。子どもが静かに食べてくれるから、つい頼りにしてしまうこともあるでしょう。

Snuggs & Harvey(2023)が41件の系統的レビューをまとめたアンブレラレビュー(*)によれば、家族で頻繁に食事をする子どもは、果物・野菜・乳製品の摂取量が多く、ファストフードや清涼飲料水の摂取が少ない傾向がありました。一方で、食事中のテレビ使用はこうしたメリットを打ち消す可能性も報告されています。背景と今日からできることを整理します。

(*)特定のテーマに関して発表されている複数のシステマティックレビューやメタアナリシスを統合・分析し、最高レベルのエビデンス(科学的根拠)を要約する「レビューのレビュー」手法をアンブレラレビューという。

スクリーンタイムと食行動の関係——研究が示す傾向

Hammons & Fiese(2011)のメタアナリシス=複数の研究結果を統計的に統合する手法では、週3回以上の家族食事で子どもの肥満リスクが12%低下するという関連が報告されています。ただし、これは相関であり、家族で食事をすれば必ず肥満を防げるという因果関係を示すものではありません。

食事中のテレビ使用は、食の質の低下と関連している可能性が複数の研究で指摘されています。また、家族食事の頻度は栄養面だけでなく、抑うつ症状の低減や自己肯定感の向上、摂食障害リスクの低下とも関連が報告されています。

研究の詳細——何がどこまで分かっているか

この知見はSnuggs & Harvey(2023)による41件の系統的レビューを統合したアンブレラレビューで報告されたものです。アンブレラレビューはエビデンスの階層の中でも高い位置づけにありますが、注意点もあります。

含まれた研究はほぼ全てが観察研究であり、因果関係は確立されていません。また「家族食事」の定義が研究間で統一されておらず、含まれるレビュー間で原著論文の重複もあります。

日常への取り入れ方としては、「テレビを完全に禁止する」のではなく、「食事中だけは消す」という小さな変化から始めるのが現実的です。それだけでも、親子の会話が増える可能性があります。

この研究を読むときに知っておきたいこと

この研究は海外で行われたものが中心です。日本の食文化は欧米とは異なりますので、結果をそのまま当てはめるには慎重さが必要です。

個人差も大きく、同じ環境で育ったきょうだいでも食行動は異なります。研究は「傾向」を示すものであり、目の前のお子さんの姿を見ることが最も大切です。

今日からできること

1. まずは週に1〜2回、「テレビを消して食べる日」を決めてみる。
2. テレビを消す代わりに、簡単な会話のきっかけを用意する。「今日の給食は何だった?」など。
3. スマートフォンやタブレットも食卓から少し離れた場所に置く。
4. 「いただきます」のタイミングで消す、という段階的な方法も有効です。

毎日完璧にテレビを消す必要はありません。テレビがついている日があっても、一緒に食卓を囲んでいること自体が子どもにとってプラスになっています。できる範囲で、少しずつ。個人差がありますので、お子さんの健康や発育に関する不安は、かかりつけの医師・専門家にご相談ください。

Snuggs S, Harvey K. Family Mealtimes: A Systematic Umbrella Review of Characteristics, Correlates, Outcomes and Interventions. Nutrients. 2023;15(13):2841.

※ 本記事は国際的な研究知見と保育現場の経験をもとにした一般的な情報提供です。個人差があり、すべてのお子さんに当てはまるものではありません。お子さんの健康や発育に関するご不安は、かかりつけの医師・専門家にご相談ください。情報は投稿時点のものであり、新しい研究によって見解が変わる場合があります。

いいなと思ったら応援しよう!