「こども基本法案」等に対する国会の附帯決議【会議録リンク追加】
国会で審議されていた主な子ども関連法案のうち、一時保護の際の司法審査、「意見表明等支援事業」の導入などについて規定した児童福祉法改正案は6月8日に可決成立しました。
さらに、6月15日には「こども基本法案」「こども家庭庁設置法案」「こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案」が可決成立しました。参院内閣委員会による附帯決議も6月16日に参議院のサイトで公表されましたので、追加しました(太字は平野による)。
【追記】(7月6日)こども基本法案・こども家庭庁設置法案等が審議された主要な会議の会議録リンク集を冒頭に追加しました。
【こども基本法案・こども家庭庁設置法案等に関する審議の会議録】
-衆議院:4月19日(本会議)/4月20日(内閣委)/4月22日(同)/4月27日(同)/5月10日(内閣委・厚労委連合審査会)/5月11日(内閣委)/5月13日(同)/5月17日(本会議)
-参議院:5月19日(内閣委)/5月24日(同)/6月2日(内閣委・厚労委連合審査会)/6月2日(内閣委)/6月7日(同)/6月15日(本会議)
【こども基本法案】
- こども基本法案
-【追記】(9月3日)内閣官房・こども家庭庁設立準備室のページにこども基本法の説明資料(PDF)などの資料が新たに追加されています。
こども基本法案に対する附帯決議(衆議院内閣委員会、5月13日)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 こども施策の実施に当たっては、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、こどもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を目指すこと。また、社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を担保するための方策について検討した上で、必要な措置を講ずること。
二 こども施策の実施に当たっては、いじめ、不登校、自殺、虐待等、こどもを取り巻く状況が深刻化していることを踏まえ、全てのこどもの生存と安全、教育を受ける権利等の保障に万全を期すこと。また、教育及びこどもの福祉に係る施策のより一層の連携確保を図ること。
三 こども施策を実施するための予算及び人員を十分に確保し、全てのこどもの成長の支援に万全を期すこと。また、教育を受ける機会が等しく与えられるよう、義務教育のほか、幼児教育、高等学校教育、大学教育など、教育の全過程について必要な負担軽減策に取り組むこと。
四 こども施策の推進は、全てのこどもについて、こどもの年齢及び発達の程度に応じて、こどもの意見を聴く機会及びこどもが自ら意見を述べることができる機会を確保し、その意見を十分に尊重することを旨として行うこと。
五 こども施策の実施に当たっては、希望する者が安心してこどもを生み、育てることができる社会の実現を図るため、結婚、妊娠・出産、育児及びこどもの成長に関する支援が切れ目なく行われるよう十分配慮すること。また、これまで支援が届きにくかった中学校卒業後又は高等学校中退後に修学も就業もしていないこどもや若者も支援の対象とすること。
六 長引くコロナ禍の影響等により、子育て世帯の生活が厳しさを増していることを踏まえ、子育て世帯への支援の拡充策について検討した上で、必要な措置を講ずること。
七 保護者の経済的な状況など生まれ育った環境によってこどもの成長が左右されることのないよう、子どもの貧困率の低減に取り組むこと。
八 保育士や幼稚園教諭をはじめ、子育て支援の現場で働く職員について、更なる処遇改善について検討を行うこと。また、子育て支援の現場で働く職員数の不足等により、必要な支援が停滞することがないよう新たな人材を確保するための方策を検討するとともに、職員の業務負担の軽減に努めること。
九 こどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置について、個人情報の適正な取扱いを確保するに当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の義務規定を遵守するだけでなく、その基本理念を踏まえ、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会勧告も参考としつつ、こども及び父母その他の保護者の私生活の自由に配慮するものとすること。
十 こどもに関するデータや統計の活用に当たっては、政府全体として収集すべきデータを精査し、各府省庁が連携してデータを収集・分析する環境を構築するとともに、収集したデータに基づいて各種施策の評価及び改善策の検討を行い、その内容を必要に応じ国会に報告すること。
十一 日本国内のこども並びにこどもに関わる大人及びこどもを養育中の保護者を含むあらゆる大人に対する、児童の権利に関する条約の趣旨や内容等についての普及啓発に、その認知度を把握しつつ取り組むこと。
十二 基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策については、必要に応じ、本法の施行後五年を待つことなく、速やかに検討を加え、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずること。
こども基本法案に対する附帯決議(参議院内閣委員会、6月14日)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 こども施策の実施に当たっては、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、こどもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を目指すこと。また、社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を担保するための方策について検討した上で、必要な措置を講ずること。
二 こども施策の実施に当たっては、いじめ、不登校、自殺、虐待等、こどもを取り巻く状況が深刻化していることを踏まえ、関係機関・団体等と連携した包括的な支援等による全てのこどもの生存と安全、教育を受ける権利等の保障、オンライン教育やフリースクールにおける学習活動など多様な学びの在り方を含めた教育を受ける機会の確保に万全を期すこと。また、教育及びこどもの福祉に係る施策のより一層の連携確保を図ること。
三 こども施策を実施するための予算及び人員を十分に確保し、全てのこどもの成長の支援に万全を期すこと。また、教育を受ける機会が等しく与えられるよう、義務教育のほか、幼児教育、高等学校教育、大学教育など、教育の全過程について必要な負担軽減及び教育体制の充実に取り組むこと。
四 こども施策の実施を中心的に担うのは地方公共団体であることに鑑み、地方公共団体における更なるこども施策の拡充に向けて、財政上の措置を含めた支援について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるとともに、好事例の積極的な横展開に向けた情報共有、周知等に取り組むこと。
五 こども施策の推進は、全てのこどもについて、こどもの年齢及び発達の程度に応じて、こどもの意見を聴く機会及びこどもが自ら意見を述べることができる機会を確保し、その意見を十分に尊重することを旨として行うこと。
六 本法に定めるこども施策の基本理念にのっとり、施策を実施する者の視点のみならず、こどもが保護者や社会の支えを受けながら自立した個人として自己を確立していく「主体」であることを踏まえ、真にこどもの視点に立ったこども施策を実施すること。
七 こども施策の実施に当たっては、希望する者が安心してこどもを生み、育てることができる社会の実現を図るため、結婚、妊娠・出産、育児及びこどもの成長に関する支援が切れ目なく行われるよう十分配慮すること。また、これまで支援が届きにくかった中学校卒業後又は高等学校中退後に修学も就業もしていないこどもや若者のほか、性的少数者の当事者であるこどもや若者、同性カップルに養育されるこどもや若者等についても、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援の実施に努めること。
八 長引くコロナ禍の影響等により、子育て世帯の生活が厳しさを増していることを踏まえ、子育て世帯への支援の拡充策について検討した上で、必要な措置を講ずること。
九 児童手当制度については、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえ、少子化の進展への対処に寄与する観点から、児童の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方並びに児童手当の支給要件の在り方について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
十 保護者の経済的な状況など生まれ育った環境によってこどもの成長が左右されることのないよう、子どもの貧困率の低減に取り組むこと。
十一 保育士や幼稚園教諭を始め、子育て支援の現場で働く職員の更なる処遇改善について検討を行うこと。また、子育て支援の現場で働く職員数の不足等により、必要な支援が停滞することがないよう新たな人材を確保するための方策を検討するとともに、職員の業務負担の軽減に努めること。
十二 こどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置について、個人情報の適正な取扱いを確保するに当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の義務規定を遵守するだけでなく、その基本理念を踏まえ、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会勧告も参考としつつ、こども及び父母その他の保護者の私生活の自由等基本的人権に配慮するものとすること。
十三 こどもに関するデータや統計の活用に当たっては、国際比較の観点も含め、政府全体として収集すべきデータを精査し、各府省庁が連携してデータを収集・分析する環境を構築するとともに、収集したデータに基づいて各種施策の評価及び改善策の検討を行い、その内容を必要に応じ国会に報告すること。
十四 日本国内のこども並びにこどもに関わる大人及びこどもを養育中の保護者を含むあらゆる大人に対する、児童の権利に関する条約の趣旨や内容等についての普及啓発に、その認知度を把握しつつ取り組むこと。
十五 基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策については、必要に応じ、本法の施行後五年を待つことなく、速やかに検討を加え、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずること。
【こども家庭庁設置法案】
- こども家庭庁設置法案
- こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案
こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(衆議院内閣委員会、5月13日)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 こども施策の実施に当たっては、関係府省庁、地方公共団体等の連携を十分に確保すること。特にこどもの教育に関しては、こども施策に関する総合調整機能を担うこども家庭庁と教育行政をつかさどる文部科学省との緊密な連携の確保を図ること。
二 こども家庭審議会は、メンバー及び運営の公平性・透明性に加え、こどもを取り巻く諸課題に迅速に対処するために必要な課題の把握・検証を不断に行い、関係府省庁、地方公共団体、教育機関その他の関係機関などに対する実効性のある施策の実現に取り組むこと。
三 こども施策の検討に当たっては、こどもや若者の意見を把握するために、特定の手段によることなく多様な手法を検討・活用するとともに、こどもや若者が意見を表明しやすい環境整備に向けて、地方公共団体、教育機関その他の関係機関などと緊密に連携すること。また、こどもの意見形成を促進するために、こどもの年齢及び発達を考慮し、こどもが理解しやすくかつアクセスしやすい多様な方法で十分な情報提供を行うこと。
四 こどもの年齢及び発達の程度に応じ、こどもの意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮するための方針を早期に具体化し、その実施に当たっては、関係府省庁に対しその趣旨を徹底するとともに、実効性の確保に向けて恒常的な連携を図ること。
五 我が国の家族関係社会支出が諸外国と比べて低水準となっているとの指摘を踏まえ、政府はこども政策に関する予算の確実な確保とともに、更なる予算確保のための中長期的な方策及びそのための安定財源の確保の検討に早期に着手すること。
こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(参議院内閣委員会、6月14日)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 こども施策の実施に当たっては、関係府省庁、地方公共団体等の連携及び人材の育成確保に万全を期すこと。特にこどもの教育に関しては、こども施策に関する総合調整機能を担うこども家庭庁と教育行政をつかさどる文部科学省との緊密な連携の確保を図ること。
二 生活困窮家庭のこどもの学習・生活支援、いじめや不登校への対応、児童虐待防止対策等のこども施策はこども家庭庁設置後においても複数の府省庁が関わることから、こども家庭庁は、こども施策の司令塔として、企画立案、執行、評価及び改善の各段階を通じて積極的に関与し、こどもの最善の利益の実現を図ること。その際、必要に応じて関係府省庁との協働プロジェクトを展開するなど、組織の枠組みにとらわれない施策の実施に努めること。また、こども家庭庁がその「役割」を十分に果たせるよう、しっかりとした人員体制の構築を図ること。
三 こども家庭庁の所掌事務を掌理する内閣府特命担当大臣は、内閣府設置法第十二条の規定による関係行政機関の長に対する勧告等の権限を適切に行使すること。
四 こども家庭審議会は、メンバーの選定及び運営の公平性・透明性を確保するとともに、こどもを取り巻く諸課題に迅速に対処するために必要な課題の把握・検証を不断に行い、関係府省庁、地方公共団体、教育機関その他の関係機関などに対する実効性のある施策の実現に取り組むこと。
五 こども施策の検討に当たっては、こどもや若者の意見を把握するために、特定の手段によることなく多様な手法を検討・活用するとともに、こどもや若者が意見を表明しやすい環境整備に向けて、地方公共団体、教育機関その他の関係機関などと緊密に連携すること。また、こどもの意見形成を促進するために、こどもの年齢及び発達の程度を考慮し、こどもが理解しやすく、かつ、アクセスしやすい多様な方法で十分な情報提供を行うこと。
六 こどもの年齢及び発達の程度に応じ、こどもの意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮するための方針を早期に具体化し、その実施に当たっては、関係府省庁に対しその趣旨を徹底するとともに、実効性の確保に向けて恒常的な連携を図ること。
七 政府は、こどもに関するデータや統計について、国際比較の観点も含め、更なる充実を図ること。
八 我が国の家族関係社会支出が諸外国と比べて低水準となっているとの指摘を踏まえ、こども政策については、こどもの視点に立って、必要な政策を取りまとめた上でその充実を図り、十分な予算確保のための方策及びそのための安定財源の確保の検討に早期に着手すること。
九 こども家庭庁設置法の施行後五年を目途として行われる検討に当たっては、文部科学省が所掌する事務のうち初等中等教育等に関する事務及び同法第四条第一項に規定する事務を含むこども施策の総合的な推進を図るための行政組織の連携などその在り方について、検討し、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
十 九の検討を行うに当たっては、特に、こどもの権利の擁護に関する施策の実施の状況についても十分に勘案すること。
【児童福祉法改正案】
児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(衆議院厚生労働委員会、5月13日)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の再編や支援計画の作成については、地方自治体における負担増によって、それぞれの機能が停滞することのないよう、必要な人材確保のための支援を行うとともに、円滑な施行に向け、地方自治体と適切に連携すること。
二 保育士の人材確保が困難な状況にある中、新たに身近な子育て支援の場として保育所等を活用し、地域子育て相談機関とするに当たっては、保育士等の一層の処遇改善と職員配置基準の改善を併せて検討すること。
三 子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業及び親子関係形成支援事業の各事業の実施に当たっては、各市町村による担い手の確保が重要であることから、必要な人材確保のための支援を行うとともに、業務に見合った処遇について検討を行い、必要な措置を講ずること。
四 一時保護所の設備・運営基準の策定に当たっては、職員の立場ではなく子どもの視点に立って子どもの最善の利益を考慮するため、子どもから意見を聴取し、可能な限りその意見を反映すること。
五 里親支援センターの設備・運営基準の策定に当たっては、里親等の当事者から意見を聴取し、可能な限りその意見を反映して実効性のあるものとすること。
六 自ら公的な支援にアクセスできない妊婦との接点を持つための具体的方策を検討するほか、妊産婦等生活援助事業の実施に当たっては、支援が必要な妊産婦に対し適切な支援を提供できるよう、新たな人材を確保するため職員の処遇改善を含む方策を検討し必要な措置を講ずるとともに、充実した研修を実施し、資質の向上を図ること。また、人材不足を理由とした人員配置の弾力運用を安易に行うことのないようにすること。
七 意見表明等支援事業に関し、子どもの意見・意向表明や権利擁護に向けた環境整備について、都道府県によって差が生じることで子どもに不利益となることがないよう、一定の要件を提示すること。また、子どもへの意見聴取等が適切に実施されているかについて評価及び検証を行うこと。
八 意見表明等支援事業が都道府県等の努力義務であるため、子どもの意見等が適切に反映されないおそれがあることから、導入した自治体と導入しなかった自治体を科学的に比較して効果測定を行い、適宜その仕組みを改良していくこと。また、次期児童福祉法改正時に都道府県等の体制が整備されるよう、義務化を含め必要な見直しを検討すること。
九 意見表明等支援事業が児童相談所等による意見聴取等の補佐的な事業として位置付けられていることについて、当該事業が権利主体である子どもの自由な意見・意向の表明を支援する独自の機能を持つべきものであることに鑑み、必要に応じて見直しを検討すること。
十 意見表明等支援員が児童相談所、都道府県その他の関係機関から独立した立場で子どもの自由な意見・意向の表明を支援することが可能となるよう、独立性及び守秘義務等の必要な措置を講ずること。
十一 意見表明等支援員には専門的な知識や技術が求められることから、科学的な評価がなされているプログラムにより育成することとし、十分な資質を持つ者を活用すること。
十二 意見表明等支援事業において、子どもの視点に基づいたKPI(重要業績評価指標)で表すこと。
十三 子どもの最善の利益のため、一時保護時の子どもへの意見聴取等を適切に行い、子どもの意見・意向を考慮した対応の徹底を図ること。
十四 一時保護時の司法審査の運用や実務の詳細を施行までに定める作業チームには、一時保護が子どもの権利や親権の行使等に対する制限であることを踏まえて、現に一時保護を経験した子ども又は親権者等及びその意見を正確に反映できる実務者も構成員に加えること。
十五 一時保護時の司法審査に対応するための児童相談所の人材確保と処遇改善を検討すること。
十六 国連児童の権利委員会の日本政府に対する総括所見が、親子分離は子及びその親の意見を聴取した後に行われるよう要請していることを踏まえて、裁判所が一時保護状を発するに当たっては、子ども及び親権者等の意見が裁判官に正確に伝わるよう適切な方策を講ずること。
十七 裁判所が一時保護状を発した場合、行政不服審査や行政訴訟の提起が可能であること等を理由に子ども又は親権者等の不服申立て手続を設けなかったことに鑑み、児童の権利に関する条約第九条第二項の趣旨を踏まえ、行政不服審査や行政訴訟の活用実態を把握し、次期児童福祉法改正時に必要な見直しを検討すること。
十八 新たな子ども家庭福祉分野の資格取得者の質の担保を図るほか、資格取得者の児童相談所、市町村、児童福祉施設等における配置が進み、地方自治体において実効性が上がるような方策を財政措置を含めて検討し、必要な措置を講ずること。
十九 子どもをわいせつ行為から守る環境整備について、保育所等では保育士資格を持たない者が保育補助として勤務している実態があることから、保育士に限らず、子どもに接する業務に携わる者全体を対象に対策を講ずることについて検討すること。また、万が一冤罪等であった場合には、身分回復を行う等の必要な対応を講ずること。
二十 アダルトビデオ出演被害の問題は重大な人権侵害であり、かつ、成年年齢引下げにより未成年者取消権行使ができないために高校生のアダルトビデオ出演が増えるような事態は、高校生や子どもへの性犯罪・性暴力を助長するなど児童福祉法の理念である「児童の健全育成」に反するものであることを踏まえ、アダルトビデオ出演被害の問題の解決に向けた取組を一層強化すること。
児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(参議院厚生労働委員会、6月7日)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の再編や支援計画の作成については、地方自治体における負担増によって、それぞれの機能が停滞することのないよう、必要な人材確保のための支援を行うとともに、円滑な施行に向け、地方自治体と適切に連携すること。
二、保育士の人材確保が困難な状況にある中、新たに身近な子育て支援の場として保育所等を活用し、地域子育て相談機関とするに当たっては、保育士等の一層の処遇改善と職員配置基準の改善を併せて検討すること。
三、子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業及び親子関係形成支援事業の各事業の実施に当たっては、各市町村による担い手の確保が重要であることから、必要な人材確保のための支援を行うとともに、業務に見合った処遇について検討を行い、必要な措置を講ずること。
四、一時保護所の設備・運営基準の策定に当たっては、子どもの視点に立って子どもの最善の利益を考慮するため、子どもから意見を聴取し、可能な限りその意見を反映すること。また、一時保護される子どもの個別事情に十分対応できるものとするよう、十分検討を深めること。
五、里親支援センターの設備・運営基準の策定に当たっては、里親等の当事者から意見を聴取し、可能な限りその意見を反映して実効性のあるものとすること。
六、自ら公的な支援にアクセスできない妊婦との接点を持つための具体的方策を検討するほか、妊産婦等生活援助事業の実施に当たっては、支援が必要な妊産婦に対し適切な支援を提供できるよう、新たな人材を確保するため職員の処遇改善を含む方策を検討し必要な措置を講ずるとともに、充実した研修を実施し、資質の向上を図ること。また、人材不足を理由とした人員配置の弾力運用を安易に行うことのないようにすること。
七、児童養護施設等において年齢を理由として一律に措置を解除する運用がなされないよう、措置延長や児童自立生活援助の積極的活用に向けた取組を行うこと。
八、社会的養護自立支援拠点事業においては、措置解除後のみならず、十八歳までに社会的養護につながれなかった子ども等も幅広く支援するとともに、安心して相談できる場となるよう、一定期間住まいを提供する支援や社会的養護経験者によるピアサポートを積極的に活用すること。また、通えない子どもたちも想定し、アウトリーチによる支援も実施すること。
九、意見表明等支援事業に関し、子どもの意見・意向表明や権利擁護に向けた環境整備について、都道府県によって差が生じることで子どもに不利益となることがないよう、一定の要件を提示すること。また、子どもへの意見聴取等が適切に実施されているかについて評価及び検証を行うこと。
十、意見表明等支援事業は、意見聴取とともに関係機関との調整を行うものであるから、子どもから聴取した意見について、これを代弁し、意見の実現に向けて関係機関との調整及び交渉を行うための運用方策について検討すること。
十一、意見表明等支援事業の成果と問題点の双方について実施状況を調査し、次期児童福祉法改正時に、同事業を全ての都道府県の義務とすることを含め必要な見直しを検討すること。
十二、意見表明等支援員が児童相談所、都道府県その他の関係機関から独立した立場で子どもの自由な意見・意向の表明を支援することが可能となるよう、独立性及び守秘義務等の必要な措置を講ずること。
十三、意見表明等支援員には高度の専門性が必要であることから、弁護士や社会福祉士等、その担い手を確保し、専門的な知識や技術を身につけるにふさわしいプログラムにより必要にして十分な研修が行われるよう、ガイドラインを作成し都道府県に対して周知すること。
十四、一時保護された子どもが自由に意見を表明する権利を確保するために、児童の権利に関する条約第十二条第二項に照らし、代理人との相談・面会を希望する子どもに対し弁護士を派遣することができる事例を都道府県に対して周知すること。
十五、一時保護された子どもについて、意見表明を支援するとともに、意見の実現に向けて交渉し法的手続をとることを内容とする弁護士の活動について実態を把握し、その結果を踏まえ、子どもと伴走する弁護士と児童相談所の連携方策を検討すること。
十六、子どもの最善の利益のため、一時保護時の子どもへの意見聴取等を適切に行い、子どもの意見・意向を考慮した対応の徹底を図ること。
十七、一時保護時の司法審査の運用や実務の詳細を施行までに定める作業チームには、一時保護が子どもの権利や親権の行使等に対する制限であることを踏まえて、現に一時保護を経験した子ども又は親権者等及びその意見を正確に反映できる実務者も構成員に加えること。
十八、一時保護時の司法審査に対応するための児童相談所の人材確保と処遇改善を検討すること。
十九、児童相談所が裁判官に一時保護状の請求をするに当たっては、子ども及び親権者等の意見が裁判官に正確に伝わるよう適切な方策を講ずること。
二十、裁判所が一時保護状を発した場合、行政不服審査や行政訴訟の提起が可能であること等を理由に子ども又は親権者等の不服申立て手続を設けなかったことに鑑み、児童の権利に関する条約第九条第二項の趣旨を踏まえ、行政不服審査や行政訴訟の活用実態を把握し、次期児童福祉法改正時に必要な見直しを検討すること。
二十一、新たな子ども家庭福祉分野の資格取得者の質の担保を図るほか、資格取得者の児童相談所、市町村、児童福祉施設等における配置が進み、地方自治体において実効性が上がるような方策を財政措置を含めて検討し、必要な措置を講ずること。
二十二、子どもをわいせつ行為から守る環境整備について、保育所等では保育士資格を持たない者が保育補助として勤務している実態があることから、保育士に限らず、子どもに接する業務に携わる者全体を対象とする、いわゆる「日本版DBS制度」の導入に向けた検討を加速すること。また、万が一冤罪等であった場合には、身分回復を行う等の必要な対応を講ずること。
二十三、児童に対するわいせつ行為を行う可能性が高い者を保育所等で保育に従事させないことが重要であることから、こうした者が保育所等で保育士として採用されないための適切かつ実効性のある採用過程の在り方等について検討すること。
二十四、児童が保育士による児童生徒性暴力等を受けたと思われる事案が発覚した際の地方自治体や保育所の設置者による事実確認に当たっては、被害児童の人権に配慮し、再発防止に資するものとなるよう、留意すること。また、被害児童及び保護者等への負担に十分に配慮した上で、実施すること。
二十五、前項の地方自治体や保育所の設置者による事実確認は、必要に応じて、専門家の協力や関係機関間での連携を図りながら、事実関係を客観的に確認するため、公正かつ中立に行うこととし、通報者の保護なども含め、国において、具体的な確認方法や客観的な判断基準を定めること。
二十六、保育所の設置者が、地方自治体の支援を受けながら、専門家の協力を得つつ、児童生徒性暴力等を受けた児童の保護及び支援並びにその保護者等に対する支援を継続的に行うことができるよう、必要な措置を講ずること。
二十七、保育所が送迎バス等の付加的サービスを含めた児童の安全確保に関する計画を策定することを、都道府県等が従うべき国の運営基準として定めること。その際、計画内容の職員間の共有や体制確保、定期的な訓練や研修、保護者への説明の実施などにより、その実効性を確保させること。
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