カタツムリ 〜まいごのマイマイ〜
蝸牛 【 land snail 】
かぎゅう
カタツムリ
デンデンムシ、マイマイとも呼ばれる
みなさんご存知だと思います。
わたしも もちろん知っています。
けれど実際に見たという記憶は、これまでの人生でたった2回だけ。
忘れていることがあったとしてもほんの数回だけだと思います。
都会にだって きっとどこかにいるはずなんです。
けれど出会うことはなかなかなくて……。
気にしてないから 見えてないだけのかもしれません。無意識で見過ごしてることって たくさんありますもんね。
*
キッチンのステンレス製の水切りラックのはしっこ。
なんか ぽこっとしている違和感……
なんか……くっついてる……?
ゴミ? 泥? 小石? ん?
ほんの数ミリのちっちゃなマルを、ティッシュでつまんでよく見てみたら…
え?
貝?
なんか巻き巻きしていますけど…
まじまじと見つめていたら…
え?
いまなんか動きませんでした?
ねぇいま動きましたよねぇ?
確かにちょっと動いたよ?
どうしよう……
(ちょっとこわい)
とりあえず なんか入れ物を…と あわてて探す。
巻き巻きは干からびてるみたいにカサカサしてる。
使っていない植木鉢の受け皿にのせてみて……
よくわからないまま少しお水をたらしてみると……
中からなんか、なんか出てきたーー
(こわい)
(めっちゃこわい)
こわいけど 顔を近づけないとよくわからない。そのくらいに小さい。
ズームアップして写真を撮ってみる。
なんか、カタツムリみたいなんですけど……
検索、検索
カタツムリ
頭には 目のある大触覚(後触覚)と、味覚を司る小触覚(前触覚)がある
背上には巻いた殻をもつ
5〜6層の螺旋模様で、突然変異の一部を除いてそのほとんどが右巻きである
巻き方は遺伝する
雌雄同体であり 両方の生殖器を有している
カタツムリーー!
(※ 以下 カタツムリの写真あります
小さいですが 苦手な方はご注意ください)
まさかのこんなところで出会う?
どこからきたの? 迷子なの?
それにしたってちっちゃいね
あかちゃんなの? 何なの?
カタツムリ、、ですよね?
どうしよう 生きてるよ?
とりあえずごはん?
検索、検索
レタス、にんじん、きゅうり、大根、キャベツ、かぼちゃ などの野菜を食べる
ネギ類など香りの強いものは苦手なので避ける
毎日新鮮なものにとりかえる
霧吹きなどでたまに水分も補給
ふむふむ…
個体によって好き嫌いもあるので食べないこともある
へぇ…
とりあえずレタスをちぎって横に置いてみると……
頭が出てきて、ツノが伸びてきて、ツノを左右に揺らしながら ジワリジワリとレタスに向かってやってくる。
何かを確かめるようにしばらくレタスの前で立ち止まり、GOサインが出たようにレタスに乗ってきた。

長い二本の触覚が 杖のような役割をして、
周囲の危険物を察知しながら前に進む
この 大触覚の先っぽが目
明るさがわかる程度で、色や形はあまりわからない
大触覚の前にある小触覚で においや味を感じている
ほぅ……
レタスの山を登って下りて、ゆっくりゆっくり移動して、
お皿の中を用心深く徘徊しては、殻の中にうずまったり出てきたりする。
なんか元気が出てきたみたい。
レタスの裏側がお気に入り。
夜行性で、強い光や直射日光は苦手のようで。
本能的に 暗いところが落ち着くのかな。

カタツムリは卵から生まれる
直径2ミリほどの球体の卵を土に生みつける
孵化したばかりでもちゃんと渦巻の殻がある
殻の中には 心臓、肺、腸、生殖器などの内臓がある
殻は体内で分泌した炭酸カルシウムでできているため 剥がすと死んでしまう
殻もからだ本体なんだね。
栄養はビタミンの他に 殻の成育のために炭酸カルシウムが必要で、卵のカラを与えるといいらしい。
なるほどー …
野生のカタツムリはコンクリートなどから摂取しているそう。

よろしければ 遠慮なく
お口に合うかわかりませんけど…

カタツムリは梅雨や雨のイメージがありますね。
基本的に貝の仲間(軟体動物)はえら呼吸だけどカタツムリやナメクジは陸生の有肺類。
水は好きだけど、肺呼吸のため 大雨にあたると溺れてしまうこともあるそうです。
肺があるなんて知らなかった。
わたしたちと同じ、なんですね。
カタツムリとナメクジの違いは殻の有無。
祖先は同じで、進化の過程で殻を不要とした種が ナメクジとなったのだとか。


貝殻みたいに硬くはなくて ソフトな感触
やっぱり まだちびっこなんだね
※触ったらよく手を洗いましょう
*
カタツムリといえば、狂言の『蝸牛』も有名だし、俳句では夏の季語でよく詠まれます。(なめくじも夏の季語)
短歌でも 昭和を代表する歌人のおひとり河野裕子さんの歌にもいくつか詠まれていました
・蝸牛休まず登れ殻透きて
うつくしき昼は雨の木もひかるなり
・梅雨夕日うすく差しゐる粗壁を
銀の唾ひきあゆめる蝸牛
・勉強せぬ息子に腹立て家出せり
かたつむりニ、三個ひろひて帰る
・帰り来し母の家には水蕗の
葉の上に安らふ大かたつむり
(1946- 2010)
古典の他にもカタツムリは 童謡や童話、絵本やかわいらしいイラストにもなるし、昔から愛着をもって親しまれてきました。
殻があるかないかだけなのに、なんだかナメクジとは印象に大きな差がありますね……。
*
それにしても、何も考えず そのままポイッとしてしまうところでした。
まさかカタツムリだとは思わないし、生きてるなんて思わなかった。
こんなに小さくてもちゃんとカタツムリの形をして生きてるんですね。

だんだんかわいくなってきて、ちょこちょこのぞいてしまいます。
でもやっぱり 自然にかえしたほうがいいですよね。
“かえす” というより “すてる” みたいな気持ちになっちゃうなぁ……。
でも、このまま大きくなっても困るかな。やっぱり外へ放さなくちゃ。
近年、自然界ではカタツムリの数は減少してきているそうです。

以前に見たカタツムリや、イメージしていたものよりもはるかに小さい。こんなに間近で見たことも、写真に撮ったことも初めてでした。
とてもびっくりしたけれど、勉強になったし楽しかったです。
小学生の頃の 夏休み最後ギリギリの自由研究を思い出したりなんかもして、ほんと そんな感じ。
思い出のひとつにもなりました。
*
こんなふうに 何かに運命的に出会うことってあるんですよね。
人とか、ものとか、出来事なんかも、それは ありふれた日常のなかにまぎれています。
きっかけやタイミングを逃さずキャッチできたら、その先には何か楽しいことが待っていたりして、そしてそれは 自分にとって大切なものになったりするかもしれません。
秋のさわやかな風を待ちわびるこのごろです。
どうぞよい一日を、よい一週間を。
#88. 『 蝸牛 』
⭐︎父母のDNAを思い知る 時計回りのうずの蝸牛
⭐︎バックパックたったひとつで旅に出る 蝸牛のように音も立てずに
ー ちる ー

カーソン・エリス 「わたしのいえ」
とてもかわいい絵本です
