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小鳥のようにうたいながら 2022 ( 長月 September 〜 師走 December)

2022年は沖縄返還50周年でした

その1972年、わたしの父と母は結婚しました
ふたりの新婚旅行は沖縄の美しい海でした
今年は結婚50周年でした


8月、父の命日に実家へ帰省した時、 「もうすぐ金婚式やねぇ」なんて話をしていました
9月、母はあまりにも突然 父のいる空へと旅立ちました
10月の金婚式は ふたりそろって空で迎えることになったのです

ふたりはちゃんと逢えたかなぁ
ふたりできれいな星空の海を眺められたかなぁ


両親はお見合い結婚でした
ふたりは自宅の一階で酒屋を営みました
半分が小売り、もう半分が立ち飲みのいわゆる“角打ち”と呼ばれるお店です
母はOLを辞め 商売人となり、亡くなる直前まで50年間カウンターに立ち続けました

結婚してからの母は 自分のための自由な時間というのは ほとんどありませんでした
慣れない商売に加えて、当初から目が不自由で 病気がちで、おまけに頑固でヤキモチ焼きだった父との結婚生活は とても苦労が多かったと思います
昔は大きな声でケンカもしょっちゅうしていました
何度も壊れるんじゃないかとハラハラしました
けれど 一度だって母は 裏切ることも見放すこともせず最後まで添い遂げました

母はいつも冗談まじりに「お母さん 死んでもお父さんのとこには行かへん」って言っていました

だけど、わたし 知ってる
お母さんはお父さんを放っておけないこと
お父さんに不安や寂しい思いをさせないように気づかっていたこと
なんだかんだ言って いつもちゃんと手を繋いでたこと

だからこのタイミングだったのかもしれないなって
今はそんな気がしています
母らしいな、そんな感じです
たぶんお父さんのことをちゃんと探して、腕を組んで金婚式を迎えたと思います

明るい声と笑顔がトレードマークだった母
いつも自分のことはそっちのけで 人のことばかり気にかけていた母は、台風が過ぎるのを待ってから明るい空へゆきました
母はさいごまで母らしかった
母はどこまでも母だった
ブラボーーー!


***

2022  〜夏から秋、そして冬〜



長月 September

⭐︎イヤなことぜんぶ暑さのせいにして 「夏のバカ!」ってせーので叫ぼ

⭐︎カーディガンの肩へピンクの百日紅さるすべり夏の未練を空へ投げたり

⭐︎ さようならという言葉は苦手なの 秋風のようなバイバイをしよう

⭐︎差し出したの温度差よ どちらからともなく別れのときは来たりて

⭐︎無理をして笑うことなんてないのよ、ただ空を見上げればいいのよ

⭐︎「こちょばい」と言ったらなぜか笑われて「なんで?」と聞けばまた笑われて

★しずかなる日曜 朝日新聞を父母の染み込むカウンターにて

★手のひらに包むプラムは熟れすぎて いのちのように柔く儚い

★亡き母の自転車に乗る 好物の丹波屋のおはぎを買いにゆく

神無月 October

★ ひとりきり 迷子のように呟いて ねぇ、かみさまはどこへいったの

★それは愛?それとも未練?空へ問う 何も答えず燃える夕空

★銀婚の記念にえらぶ 銀色しろがねのまばゆし大阪ふるさとすずの酒器

★コスモスとトルコキキョウの花束に貼りついた付箋にはカタツムリ

★五十年前の新婚旅行ハネムーンは沖縄 金婚式は空のうみにて

霜月 November

★先月の検査結果の封筒は痛みをはぐらかすようなピンク

★天井で行き止まりたる言葉たち 届けたいのに戻り下りて来

★仰向けに寝そべったまま空を欲し 十センチカーテンに届かず

★あと少し頑張れよ っていうように黄金銀杏の木々のまぶしく

★ドイツ制す なみだは健全に流れサムライは歴史を刻みゆく

師走 December

濛々もうもうと加湿器の吐き出す雲をつかむ遊びにそろそろ飽きて

★くつしたがいやだと泣いて困らせたこと浮かべつつ丁寧に履く

★間に合った 小さなサンタとトナカイがミュズレの椅子にスタンバイする

★今朝もアドベントカレンダーあけられた ご褒美のチョコレート頬張る

★地下鉄の駅のホームに彷徨さまよいて ねぇまだ冬よ、淡き黄蝶よ

  ー ちる ー





夏から秋、そして冬…

さまざまなことがこの短い間に重なりました
風の温度に沿うように 心身はつめたくなっていきました
涙を流せば そのぶん体温や感覚までもが奪われ
痺れてカサカサに白くなっていくみたいでした
けれど 冬を越えれば かならず春はやってきて
風もあたたかくなっていきます 
涙は乾いて 冷たさも違和も和らげば
潤いや色を取り戻してゆくのだと思います
ゆっくり ゆっくりと


***


一年間にnoteに掲載した短歌を3回に分けてまとめてきました
9月の半ばからしばらくnoteをお休みしていましたので、そこにはその時期に詠んでいた歌を数首ずつ加えました

三十一文字みそひともじにただよう空気感、楽しんでいただけたでしょうか
景色が浮かぶような、心にふれるような歌はあったでしょうか
わたしもアルバムを見返すように出来事や気持ちを振り返ることができました

三行日記も三日坊主になるような私には、心が大きく動いた時に短歌で思いを残しておくというくらいがちょうどよくて
そして たとえそれが 悲しみや淋しさであったとしても、三十一音のわずかであれば まるで道を辿るためにそっとつけた目印のように 不思議とほっとできるのです

さぁ 2023年はどんな出来事、どんな出会いがあるでしょう
またご一緒に笑っていただけたら嬉しいです

大切な友達、仲間、家族、そして自分自身…
心の真ん中を大切に

⭐︎ 手をつなごう血はつながっていなくても
仲間っていう意味のファミリー



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