[エッセイ] 1999年大晦日のこと:心に残れない女の子
『すまスパ!第2回紅白記事合戦』に参加します。
これは年をまたいだエピソードなのだけど、全体的に終わってるお話なので年末🟥のエントリーとしたいと思います。
あれは1999年の大晦日。ノストラダムスの大予言が見事に外れて人類は存続し、私は一人暮らしの部屋でひっそり孤独に2000年を迎えようとしていました。
このころ私は実家に帰る習慣もなかったし、だいたい大晦日は友達と過ごしていたのだけど、この時なぜ一人でいたのかまるで記憶がありません。
とにかく私は独りでいました。
すると友人(♀)から「何してるの? 独りなの? 仕事の先輩と呑んでるから今すぐ来るように!」と連絡が入りました。
指定された場所は電車で一時間半くらいのわりと郊外で、店ではなく家飲みしてるようでした。
時刻は夜の十時。なんか年明けまで結構ギリじゃん…と思ったけど、私は向かうことにしました。
夜の郊外に向かう電車はチンタラ走ります。知らない場所で心細く、できれば電車でひとり年越しは避けたい…と私は焦っていました。
そうしてあと二駅ほどになったところで車内アナウンスが…。
「ただいま時刻は23:50です。2000年問題によるトラブル防止のため、しばらく電車を停止します」
…な、なん、だと!!
みなさん覚えていますでしょうか2000年問題。コンピューターが西暦を下二桁で処理してたため、2000年が00になり、1900年と認識されて誤作動を起こすかも…みたいなやつです。
これのせいで電車は停止したまま年をまたぐことになり、私の車内で独り年越しが決定した瞬間でありました。
見渡すと、車両には私と知らないおばさんの二人きりです。
おばさんもこちらを見ていて目が合うと、やれやれだね…という表情をしていました。
おばさんのおかげで孤独感はだいぶ薄れましたが、電車がいつ動くのかわからず不安なまま時は過ぎていきます。
当時はまだ携帯でインターネットとか見ない時代です。
しーんとした車内でひたすら待つしかない。
そしてついに2000年がやってきました。どこからともなく鐘の音が聞こえてきます。
私はおばさんの方を見て、「あけましておめでとうございます」と言いました。おばさんもにっこり笑って「おめでとう」と言ってくれました。
それからほどなくして、なんの問題もなかったのか、電車の運行が再開しました。
行き先の駅に着くと友人が迎えにきてくれて「わ〜ん、もっと早く呼べば良かった〜!!」と抱きしめてくれました。
タクシーに乗って友人の先輩宅に到着すると、そこは古い平屋を改造した自由の香りがする家でした。壁にニルヴァーナのでっかいポスターが貼ってあったのを覚えています。
家にいたのは野郎ばかりで皆んなもうだいぶ酔っ払っていました。
これは…女の子呼べって言われたやつだわ…。私は瞬時に状況を理解したのでした。無茶な時間に呼び出せて、どこに放り込んでも大丈夫…と言ったら私くらいしかおらんのです。
私はメンバーを見渡しました。そして出会ってしまった!!
まるで、ファンタジーに出てくる妖精王のような美しい青年に。
誰のどういう知り合いだったのか忘れてしまったが、彼はいたのでした。
ちょっと待って、何この子…? 妖精? エルフなの? と完全にロックオンしてしまいました。
私より五つばかり年下の未成年(💦)でした。
あ、今だったら成人扱いの歳ですよ。
そんな彼と出会えたので車内で独り年越しした寂しさは帳消しになりました。
こうして私は浮かれ気分で2000年を迎えたのでした。
このころの私は、いろいろあって暴食の悪魔に取り憑かれているころでした。
何をしても満たされない心。私の精神は飢餓的状況。
はないちもんめじゃないですが、私はこの子が欲しいと思ってしまったのです。
当時の私には段階を踏んで交友を深めてやがて恋仲になる…なんて悠長なことをやる概念が欠落していました。
後日、彼をデートに誘い一気に関係を進めてしまいました。
この子がもっと不真面目でチャラい子だったらよかったかもしれませんが、彼はとても誠実な子だったのです。
今思えば、あんなにイケメンなのにあんなに誠実だなんて、妖精ではなくむしろ神だったのかな…って感じです。
彼は去っていきました。私のことなどもう記憶から抹殺していることでしょう。本当にごめんなさい。
私が心の平穏を知るのはそれから何年も後になるんだけど、十代後半から二十代にかけてのこの頃は、めちゃくちゃだったなと回想します。
ひもじい心。
私は飢えたハイエナのようでした。よろこんで死肉も食うぜ、くらいの勢いで。
同じ失敗を何度も繰り返して学習能力ゼロでした。
身体を求められることと、人として必要とされていることを混同して、気がつけばひとり…。最後に残るのは虚しさばかりでした。優しくしてもらっても心は満たされるどころかすり減る一方です。
こんなに愛されたいのに、自分に好意を持ってくれる人にはひどいことをしたりして、本当にどうしょもない…。
そういえば、このころ出会った人たちって、忘れられない女の子の話を私によくしてくれました。
なぜか私はそういう話を引き出す能力があるみたいで。
本能的に、お前は別物…って言いたかったのか? そんな雰囲気。私はその心に残る女の子にはなれないのだと思い知らされる瞬間でもありました。
とりあえず、私の望んでいない角度ではありましたが、みなさん、ぶっちゃける程度に心は開いてくれていたのかもしれません。
そういう話を聞かされるのも、寂しいけれど嫌いではなくて。
私も、これまで出会った誰かの忘れられないひとりになっていたりするのだろうか…いや、ないわこれ…どちらかというと忘れたい相手だわwww って感じでwww
こんなふうに、緩やかに20世紀が終わっていく中、私自身も相当終わっていたのでした。
まさに世紀末。
でも、そんな時期に作った曲が、今では絶対書けないような曲だったりするんです。病んでる時の方が創作意欲が湧いたりするんですよね。
私の歌詞は妄想でリアルではないので、このエルフの彼について歌った曲などはないのだけど、なんとなく実体験が影響したりはします。
こんな背景を妄想しつつ、よかったら聞いてください。結構いい曲なんですよw
歌詞だけでも読んでもらえたら嬉しいです。
▽こちらは録音も当時のものです。
うすべに
空は花の色 まだ遠く
淡いうすべにの雨長く
雨は花のうた まだ止まず
水に流れゆく 雲またず
駅のホームには今日も雨
まどろむ恋も流した
ひとり帰り道 声はなく
水に流れゆく街並みに
淡いうすべにの雨長く
空は花の色(想い) まだ遠く
目に映るものは全部ウソ
傘の向こうで流れた
▽こちらは2000年前後に作った曲を最近リメイクしたものです
Sound of Widening Love
明けてゆく夜の色を 人差し指でなぞる
身体中で響く音を もっと奥の方へ隠す
目を開くのは誰のために?
今はまだ教えてあげない
忘れられる夜がいやで
わざと扉を開けた
I need you baby you know
(あなたが必要なの)
Just I wanna be your girl
(ただあなたのものになりたいだけ)
Be with me please
(一緒にいてお願い)
You have never show me that
(あなたはまだ見せてくれていない)
People can hear the Sound of widening love
(人は広がって行く愛の音を聞くことができると)
昨日に戻れないものだから今日に昨日を作って持て余してみたりした
そんなことだから私は同じところでぐるぐる回って帰れない
家(うち)がどこだかわからない迷子の子供みたいに
西へ東へ街をさまよい探している
どこかでばったりあなたに会うことを期待して
まだ見えない形を決めて
名前をつけてあげる
▽こちらも同時期の曲のセルフカバーです
Mind Keeps Silence
Get up! Now, I want to tell you.
(起きて。今、わたしはあなたに伝えたい。)
My name is "Thinking Monster" which has half colored eyes.
(わたしの名は “熟考の怪物”。半分色がついた眼を持っている。)
Walking on the pedestrian crossing.
(横断報道を渡る。)
Nobody turns back in this city that makes me laugh.
(この街では誰も振り返らない。笑っちゃう。)
I was searching what gives real.
(わたしは実感をもたらしてくれるものを探していた。)
Try to tell me that was love.
(それが “愛” だと自分に言い聞かせて。)
Something collapsed with a noise.
(何かが音をたてて崩れていった。)
I could hear it in your cradle.
(あなたのゆりかごの中で私はそれを聞いたんだ。)
My mind keeps silence from the force of emancipation which was mine.
(わたしの心は沈黙してしまう。かつては自分のものであった“解放の力”に。)
I never found it. There be the answer which we were looking for.
(わたしには見つけられない。ずっと探し求めていた答えがそこにあるのに。)
Get up! From your secure cradle.
(出ておいで。あなたの安全なゆりかごから。)
Your name is "Bleeding Monster" haunted by desire.
(あなたの名は “流血の怪物”。欲望に囚われている。)
Walking in the sunrise road.
(朝日の道を歩く。)
There was only blue sky high.
(そこにはただ青い空の高さ。)
Nothing could be doubted here.
(疑うものは何もないと思っていた。)
I found out you stood in shadow.
(だけど、あなたが影の中に立っているのを見てしまった。)
My mind keeps silence from the force of emancipation which was mine.
(わたしの心は沈黙してしまう。かつては自分のものであった“解放の力”に。)
I never found it. There be the answer which we were looking for.
(わたしには見つけられない。ずっと探し求めていた答えがそこにあるのに。)
You were searching what gives real.
(あなたは実感をもたらしてくれるものを探していた。)
Try to tell you that was love.
(それが“愛”だと自分に言い聞かせて。)
Something collapsed with a noise.
(何かが音をたてて崩れていった。)
I could hear it in your cradle.
(あなたのゆりかごの中で私はそれを聞いたんだ。)
My mind keeps silence from the force of emancipation which was mine.
(わたしの心は沈黙してしまう。かつては自分のものであった“解放の力”に。)
I never found it. There be the answer which we were looking for.
(わたしには見つけられない。ずっと探し求めていた答えがそこにあるのに。)
それからこの時期に書いた病んでる小説もどっかに保存してるかも。
見つけたら公開するかもしれません。
年末のエッセイとして、私が20世紀に置いてきた心について書いてみました。
とりとめもない話ですね。読んでいただきありがとうございます。
いまこうして、私が健全に生きておれるのも奇跡の一つかもしれません。
